“ドウリズム”としての「米軍基地」問題:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
“ドウリズム”としての「米軍基地」問題


 小学校の校庭に米軍ヘリの部品が落下した光景を目撃した刹那(せつな)、この列島に住む多くの人たちの頭には恐らく、「もしこれが、わが町、わが村だったら…」という思いが一瞬でもよぎったに違いない。仮に次の瞬間、「オキナワで良かった」とホッと胸を下ろしたとしても…。この「一瞬の思い」こそが沖縄における「米軍基地」問題の本質をほんの少しでも照らし出す一筋の道筋である。

 

 戦後、郷土の詩人・宮沢賢治が「イ−ハト−ブ」(夢の国)と名づけた、合併前の「花巻町」の町長を2期務めた政治家がいた。社会党(当時)に籍を置き、後に国政に転じた北山愛郎(1905―2002年)である。終生、国民服(中国の人民服)を着用し社会党の副委員長にまで上りつめたが、町長時代の“思想”は「ドウリズム」に徹していた。「まつりごとが『道理』にあっているか、どうか」—「愛郎的デモクラシ−」の原則はここにあった。

 

 今回の「落下」事故があった13日、共同通信社は全国47都道府県知事を対象に沖縄の「負担軽減」問題についてのアンケ−ト調査の結果を公表した。たとえば、普天間飛行場(海兵隊)所属のMVオスプレイの安全性に不安や懸念を示したのは14人で、地元沖縄の配備撤回要求に理解を示したのは10人にとどまった。設問は、 屮スプレイの飛行拡大に不安や懸念はあるか」(無回答を含む「その他」30人)、◆峅縄県の配備撤回要求に理解や共感はできるか」(同36人)、「訓練の県外移設の賛否は」(同38人)、ぁ峽盈の地元受け入れの賛否は」(同39人)、ァ日米地位協定の改定は必要か」(同30人)、Α峅甬邵念の事故率について」(同31人)―。沖縄の現状にある程度の理解を示しつつも「ニンビズム」Not In My Back−Yard=わが地元に来てもらっては困る)という消極姿勢が目立った。

 

 今回のアンケ−ト調査に対し、岩手県は「(米軍基地問題は)国の専権事項だ」として賛否を明確に示さなかった。こうした自治体側を議会側が後押しするという構図も全国的な傾向になっている。

 

 7年前、この問題を取り上げた私を批判する文書(議会報告紙)が花巻市議会所属の共産党議員によって、ばらまかれた。こんな内容だった。「『沖縄の痛みを受け入れ、米軍普天間基地を花巻空港に』との趣旨のようですが、とんでもない発言が飛び出したものです。女性暴行などの米兵による犯罪と騒音被害は想像を絶しており、花巻市民がそれを受け入れなければならない理由などありません」―。しかも、「訓練の一部引き受け」という質問の趣旨をねじ曲げた悪質な内容だった。以来、公開質問状などによって、その真意を問い続けてきたが、同党所属会派は現在に至るまで口を閉ざし続けている。一方、東日本大震災の被災者から提出された「日米地位協定」の改定を求める請願審査でも、いわゆる“革新会派”が陣頭指揮を執る形で反対に回るなど自治体側を補完するという奇妙な構図になっている。

 

 「先生の声が聞こえなくなる。みんなの声も聞こえなくなる。ぼくは『もうどうでもいいや。、えんぴつをなげた」―。12月14日付「朝日新聞」天声人語は、『私たちの教室からは米軍基地が見えます』(渡辺豪著)と題する本の中から、今回被害にあった普天間第二小学校の文集を紹介。作家の池澤夏樹さんがかつて、「トラックに大きなスピ−カ−を積んで日本中の学校を巡り、普天間第二小の騒音を再現してはどうか」と提案したことを伝えている。

 

  普天間飛行場をぐるりと取り囲むようにして広がる基地の町—宜野湾市の姿が掲載した写真である。この光景を凝視する時、私たちの脳裏にはどんな思いが去来するであろうか。基地と背中わせの、このたたずまいが果たして「ドウリズム」(道理)に適合していると言えるのか―。せめて今日一日だけでも、この写真から目を背けないでいたいと思う。同じismでも「ドウリズム」と「ニンビズム」とは最も遠い位置関係にある。この懸隔(けんかく)に黒々と横たわるのはウチナンチュ(沖縄)に対する、ヤマト(本土)の、気の遠くなるような「差別意識」ではないのか。フェンスを隔てて、基地と接する子どもたちの悲しみの表情が私たちすべての「思想の根本」を問うている…。

 

 

(写真は街のど真ん中に「基地」(普天間飛行場)がドカンと居座る宜野湾市。まさに”基地城下町“の様相=インタ−ネット上に公開の写真から)

 

《追記》

 

●「沖縄県宜野湾市の普天間第二小学校に13日、米軍ヘリコプターCH53Eの窓が落下した事故。普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を進める政府は、相次ぐ事故に危機感を強めている。『このような事案の発生はあってはならない』。小野寺五典防衛相は13日、羽田空港で記者団にこう強調。政府は原因究明と安全が確認されるまでの間、飛行を自粛するよう在日米軍に要請した。また、外交ルートを通じて米政府に『遺憾の意』を伝えた」

 

 「山本朋広防衛副大臣も同日、防衛省でマルティネス在日米軍司令官と会談し、飛行自粛を求めた。山本氏によると、午後7時時点で、在日米軍は沖縄県内にあるCH53E13機すべての飛行を中止し、機体の安全性を確認しているという。今回事故を起こしたCH53Eの同型機は、10月に沖縄県東村高江で不時着炎上事故を起こした。だが、米軍は事故原因を明らかにしないまま同型機の飛行を再開。政府も追認した」(12月14日付「朝日新聞」電子版)

 

●「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に隣接する市立普天間第二小学校の校庭に米軍大型ヘリコプターCH53Eの窓が落下した事故から一夜明けた14日午前、普天間飛行場では米兵らが同型機を点検しているとみられる様子が確認された。県警の捜査員も事故機の調査に当たっている。一方、同県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は同日午後に防衛省や外務省、在日米国大使館などを訪れて日米両政府に抗議する」

 

 「関係者によると、普天間飛行場では同日午前に米軍ヘリの離陸が確認された。CH53Eではない。米軍嘉手納基地(嘉手納町など)でも米軍機が飛び立つのが確認されたという。県は米軍に対し、沖縄県内の全米軍機の緊急総点検の実施と安全が確認されるまでの飛行中止を求めているが、県の要請は無視された形になった一方、自民党県連や公明党県本部、社民党県連も14日午前、防衛省沖縄防衛局や外務省沖縄事務所を訪れて抗議するなど沖縄では党派を超えて落下事故への反発が広がっている」(12月14日付「毎日新聞」電子版)

 

●「沖縄県宜野湾市の普天間第二小学校の校庭に米軍ヘリの窓が落ちた事故を受け、翁長雄志(おながたけし)知事は14日、防衛、外務両省や米大使館を訪れ、強く抗議した。政府は福田達夫防衛政務官を沖縄に派遣し収拾に動いたが、米軍は、県が求めた在沖全米軍機の飛行中止には応じず、米軍機は次々と飛んだ。事故におびえ学校を休んだ児童もいた。事故機が所属する米軍普天間飛行場ではこの日、県警の捜査員が基地内に入って事故機や同型機の写真撮影などをした。米軍の協力を得ての調査で、米軍が日本の警察を基地内に入れて調査させるのは異例という。県警によると、米軍から『落ちたのはコックピットの右の窓』と説明があった。米軍は『緊急脱出用の窓』としている」

 

 「翁長氏は午後、防衛省で山本朋広防衛副大臣と面会。県内の全米軍機の緊急点検やそれが終わるまでの飛行停止、普天間飛行場の5年以内の運用停止などを求める抗議文を渡し『子供たちの安全にかかわる事故で、多くの県民が憤っている』と述べた。山本氏は『あってはならないことで大変遺憾だ』と応じ、窓を落としたCH53Eと同型機は日本国内では現在1機も飛行していないと説明した。ただ沖縄では14日も、普天間からを含めオスプレイなどが次々と飛び立った。翁長氏は記者団に『本当にとんでもない話。ほかの都道府県でこんなことがあったら、とても無関心ではいられないはず。日米地位協定などの見直しがいる』と強い口調で言った」

 

 「一方、福田防衛政務官は、窓が落下した普天間第二小を訪れた。学校を含む住宅密集地の上空はできるだけ避けて飛ぶという日米合意があるにもかかわらず、視察中も米軍ヘリやオスプレイが何度も上空を飛行した。福田氏は喜屋武(きゃん)悦子校長と面会し『あってはならないことが起きた。申し訳ありません』と謝罪。同席した市教育委員会の職員によると、喜屋武校長は『米軍機が学校の上空を飛ばないよう(米軍に言って)回答してほしい。ここは教育現場。最低限の安全確保をお願いします』と訴えた。市教委によると、普天間第二小は、米軍側が学校上空を飛ばないと回答するまで、体育の授業や休み時間に校庭を使わないと決めた。この日、2年生の1人が事故を怖がって休んでおり、その他の児童についても保健師や臨床心理士らが支援にあたる。福田氏は佐喜真淳市長とも面会。佐喜真市長は「生命に危険を及ぼすような落下物は極めて異常。徹底的に、政府を挙げて米軍に注意喚起、安全管理を求めてほしい」と訴えた」(12月15日付「朝日新聞」電子版)

 

宜野湾市議会大城政利議長)は15日、12月定例会の本会議で、米軍普天間飛行場所属のCH53Eヘリが普天間第二小の運動場に窓を落下させた事故に対する抗議決議を全会一致で可決した。被害を受けた児童や保護者、学校関係者への謝罪、事故原因の公表までの飛行停止などを求め、同日、全議員で米軍や沖縄防衛局など関係機関に出向き、抗議・要請する。決議では、一歩間違えれば人命に関わる深刻な事故だと指摘し『米軍の安全軽視の姿勢に激しい憤りを覚える』と強く批判。7日にも市野嵩の緑ヶ丘保育園にも同型ヘリから円筒の部品が落下したとみられる事故に触れ『市民の不安と恐怖、米軍に対する不信感は頂点に達している』と訴えている。要求項目には実効性のある再発防止策の実施とその状況の公表、飛行場の早期閉鎖返還、5年以内の運用停止の実現、日米地位協定の抜本的改定も盛り込まれた。また、11月に那覇市であった米海兵隊員による飲酒運転死亡事故に対する抗議決議も全会一致で可決された(12月15日付「沖縄タイムス」電子版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2017.12.14:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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