「日本で一番美しい県は岩手県である」…その地「イーハトーブ」の表と裏と〜シビック・プライドは今いずこに!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
「日本で一番美しい県は岩手県である」…その地「イーハトーブ」の表と裏と〜シビック・プライドは今いずこに!!??


 

 拙著「『イーハトーブ”図書館”戦争』従軍記」が販売されている花巻市内の書店に表題のタイトルの『日本で一番美しい県は岩手県である』(柏書房)が隣り合わせで、平積みされているのに気がついた。著者の三浦英之さんの名前にびっくりした。三浦さんは朝日新聞の後輩記者で、現在は盛岡総局に籍を置く敏腕記者として知られる。『五色の虹/満州建国大学卒業生たちの戦後』(第13回開高健ノンフィクション賞)、『南三陸日記』(第25回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞)、『牙/アフリカ象の「密売組織」を追って』(第23回小学館ノンフィクション大賞)、『太陽の子/日本がアフリカに置き去りにした秘密』(第22回新潮ドキュメント賞、第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞)など数々の受賞歴に輝いている。

 

 今回の新刊本の帯には宮沢賢治の詩『永訣の朝』の一節「この雪はどこをえらばうにも/あんまりどこもまっしろなのだ」ーの部分が引用され、こう記されている。「ニューヨーク・タイムズが『行くべき52ヵ所』に選んだ盛岡、神と人がともに生きる風土、震災を経て歩み続ける人びと―賢治が桃源郷『イーハトーブ』と呼んだ100年後の岩手を旅する」

 

 一方の拙著にはそのイーハトーブの今について、こう書かれている。「5年余りの“従軍”体験で思い知らされたのは、いわゆる“民意”がいかに当局側に都合よく作り上げられていくのかという、まさに民主主義の危機―いわば、ナチス化の実相だった。『民主主義の砦』とも呼ばれる図書館がその舞台だったという事実は地方自治のあり方そのものへの深刻な問いかけでもあった」(まえがきから)―。三浦さんは帯にこうも書いている。「なぜ、岩手県はそれほどまでに美しいのか。それはこの地で息する人間にとって、目の前に立ちはだかる自然があまりにも過酷で、残酷で、無慈悲だからである」

 

 この天と地ほどの表現の落差に驚かされたのは、他ならない私自身である。そしてまた、とても偶然とは思えない書店側の本の配列の妙にいたく感動してしまった。まるで「この2冊はイーハトーブを知るための必読書ですよ」と呼びかけているみたいではないか、と。「イーハトブは一つの地名である。(…)ドリームランドとしての日本岩手県である」(『注文の多い料理店』広告文)―。三浦本の冒頭には賢治の有名な「イーハトーブ」宣言が置かれている。

 

 なお、本書は「神が棲む山々」(第1章)、「雪国の暮らし」(第2章)、「クルミの味」(第3章)、「盛岡の城下町」(第4章)、「宮沢賢治の子どもたち」(第5章)ーの章立てになっている。

 

 

 

 

 

(写真は三浦さんの新刊本と拙著が並べられた「岩手県」の特設コーナー=1月11日午後、花巻市桜台のエムズエクスポ花巻店(アルテマルカン)で)

 

 

 

 

≪追記ー1≫〜「行くべき52ヵ所」、2026年は長崎と沖縄

 

 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は世界各地の旅行先として「2026年に行くべき52カ所」を選定した。日本からはリストの17番目に長崎、46番目に沖縄が選ばれた。25年は富山と大阪を、24年は山口を選んでいた。盛岡市が第2位にノミネートされたのは3年前の2023年。ついでに言うと、再放送中のNHKの朝ドラ「どんど晴れ」の主人公、夏美が盛岡で寄宿する下宿屋の名前も「イーハトーブ」である。

 

 

 

≪追記ー2≫〜シビック・プライドということについて

 

 花巻市長選(今月18日告示、25日投開票)を前に14日、花巻青年会議所主催の公開討論会が市内で開かれ、立候補を表明している新人3人が将来のまちづくりなどについての考えを述べた。設問のひとつに「シビック・プライド」(郷土愛や誇りなどよりも深い地に根差した感覚)という項目があった。私は討論の成り行きを聞きながらふと、宮沢賢治の有名なエピグラムを思い出していた。

 

 「イーハトブは一つの地名である。(…)ドリームランドとしての日本岩手県である」(『注文の多い料理店』広告文)―。上記ブログで紹介した『日本で一番美しい県は岩手県である』の冒頭にも賢治のこの有名な「イーハトーブ」宣言が置かれている。ハタと我に返って、舞台に耳を傾けた。私が思っているだけかもしれないが、元祖「シビック・プライド」であるはずの”賢治”のケの字も聞こえて来なかった。このまちの未来は暗いな。猛烈な吹雪の中、私は悄然とした気持ちで帰路についた。

 

 ちなみに、当市は全国で唯一個人の名前を冠した「賢治まちづくり課」を設置し、将来都市像として「イーハトーブ花巻」の実現を掲げている。いずれの候補予定者が市長になろうとも、当選の暁(あかつき)にはこのスローガンをただちに返上すべきであろう。三浦本『日本で一番美しい県は…』にはシビック・プライドの宝の山がビッシリ詰まっている。”舌先三寸”の候補予定者にはぜひ、一読をすすめたい。

 

 

 

≪追記ー3≫〜シビック・プライドと”聖地”との雲泥の差!!??

 

 花巻市のHPに賢治生誕130周年を記念した、移住者交流会と銘打った「賢治さんのふるさと花巻をあじあうバスツアー」なるイベント開催の告知が掲載された。「賢治作品の聖地巡礼」などという言葉が踊っている。「イーハトーブ」を賢治の”聖地”に祭り上げ、賢治自身を神格化する愚(ぐ)を繰り返してはならない。シビック・プライドとは真逆の発想である。

 

 

花巻市移住者交流会「賢治さんのふるさと 花巻をあじわうバスツアー」を開催します(2月7日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★オンライン署名のお願い★

 

 

 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の(昨年)7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。

 

 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

●オンライン署名の入り口は以下から

 

https://chng.it/khxdhyqLNS

 

 

●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ

・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」 https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba

 

・ヒカリノミチ通信(増子義久)  https://samidare.jp/masuko/

 

・おいものブログ〜カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」   https://oimonosenaka.seesaa.net/ 

 

 

 


2026.01.10:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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