「市民参画」という名の虚構…ワ−クショップの罠:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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「市民参画」という名の虚構…ワ−クショップの罠


 

 「この手のワ−クショップに参加するたびに、多様なメンバ−間での対話や議論の可能性と同時に難しさを感じます。…くれぐれも『市民の声をきいて作りました』というアリバイとして使われるだけの時間となりませんように…」―。現在、策定が進められている「第2次花巻市まちづくり総合計画」に際し、市民の声を反映させるための「まちづくり市民ワ−クショップ(WS)」に団体推薦枠で参加している委員のひとりが冒頭のような“危機感”をSNS上で発信している。今回のWSでは最初から公募枠を廃止するなどその人選方法に批判が挙がっていた(9月7日付当ブログ「“異論”排除のWS」参照)。そして今度は当事者の推薦委員から、そのあり方についての認識が示されたことになり、今後「WSのあり方」論議に拍車がかかりそうだ。

 

●「たとえば付箋にアイデアを書いて貼り出すという手法も、『なんとなくやった気にはなる』ものの、その結果として出てきたものに主催者・参加者は本当に満足しているでしょうか。まず、往々にして起こりうるのが『ワ−クショップという名のヒアリングをおこなったにすぎない』という状況です。図書館関係者だけではなく、社会の多くの人がこのワ−クショップの罠に陥っていると思うのですが、『何十、何百ものアイデアが出てよかった!』、『活発な議論が展開されてよかった!』といったワ−クショップは、基本的には失敗していると思っていいでしょう」

 

 

●「ワ−クショップでのアイデア創造で大切なのは、集団の中でアイデアが構造化され、集約されること。つまり、一人のアイデアが全員のものとなっていくワ−クショップの過程のなかで『一人ひとりが意見を出し合ったからこそ多様化したアイデア』と『一人では考えつかなかった、まさに求めていた唯一のアイデア』を同時に達成することに意味があるのです」(岡本真/森旭彦著『未来の図書館、はじめませんか?』)

 

 図書館問題のスペシャリストである岡本さん(編集者&キュレ−タ−)のこの言葉をまざまざと思い出した。冒頭の委員はこうもつぶやいている。「そもそも現行計画はおろか、市政の現状の理解もバラバラのメンバ−でやるので難しいですね。ワ−クショップの前に研修を通じて正しい知識を共有してからじゃないと建設的な議論にならないような気がして、本気でリタイアしようかとも…」

 

 昨年、新花巻図書館に関わるWSに公募枠で参加し、散々、煮え湯を飲まされた経験者としてはこの発言に無関心を装うわけにはいかない。そして紆余曲折を経た末、上田東一市長がJR花巻駅前を立地の第1候補に挙げた「新花巻図書館」構想の市民への説明会が10月11日から26日まで、笹間振興センタ−を皮切りに市内16か所(うち、21日はZoomによるオンライン説明会)で開催される。市民の皆さまの「声なき声」を届けるおそらく最後の機会になると思うので、ぜひ足を運んでいただきたい。詳しい日程は近く、広報はなまきや市HPで告知される予定。

 

 

 

 

 

(写真は1昨年秋に開かれた図書館WSのひとこま=花巻市葛の市交流会館で)

 

 


2022.09.26:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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