ダッチロ−ルをしながらも、「城跡」の一部取得に“含み”!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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ダッチロ−ルをしながらも、「城跡」の一部取得に“含み”!!??
2022.09.06:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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「歴史的にも由緒ある場所でもあり、史跡保存の立場から上部平坦地を取得することについて、今後の検討を排除するものではない」―。6日開催の花巻市議会一般質問で、羽山るみ子議員(はなまき市民クラブ)が新興製作所跡地(花巻城址)の跡地利用についてただしたのに対し、上田東一市長が初めて、取得に“含み”を持たせる発言をした。「新興跡地」問題は所有者が民間の手に移って、すでに7年以上が経過。市側は一時、かつて“東公園”(旧三の丸)と呼ばれた「上部平坦地」の取得に動いたことがあったが、新興製作所側が部分譲渡を拒否したため、宮城県内の不動産業者「メノア−ス」の手に渡った経緯がある。
その後、メノア−スに対しては解体費用の未払いなどで破産が宣告され、今月2日に開催された債権者集会で、管財人から今後の取り扱いが報告された。この日の質疑で上田市長は「現在、図面を取り寄せて史跡保存の是非を現場で検討している。市民が取得を望む場合は一般財源を充当することになると思う」とこれまでより、一歩踏み込んだ答弁をした。羽山議員はこれを受け「城跡はまちづくりの生命線。ぜひ、いったん市の所有に移し、将来の利活用については広く市民の声を集約してほしい。この際、ふるさと納税を活用するという選択肢もあるのではないか」と要望した。
これに対し、上田市長はいきなり「反問権」を振りかざして、「ただ、あくまでも市民の意向次第。利活用に至るまでは最大で15億円以上の費用がかかるという試算もある。市民の側が果たしてウンというかどうか。それに厳密な意味で、新興跡地は花巻城の城跡ではないんですよね」とダッチロ−ルを繰り返した。東公園はかつては野外音楽堂を併設した桜の名所として知られ、宮沢賢治の数多くの作品に登場する舞台でもあった。また、上田市長の先祖が江戸末期、城の大改修工事の指揮をとったことも史実が伝えている。念のため、新興跡地はかつて花巻城があった「城址」であることは、花巻市史で確定した史実であることを申し添えておきたい。
「新興跡地を市民の手に!あきらめるのはまだ早い」―。地域住民や医師、郷土史家、新興製作所OB…。市民200人以上が詰めかけた市民総決起大会が開かれたのは2015年1月12日。あれから7年以上を経たいま、破産宣告という土壇場の場面でふたたび、ボ−ルは上田市長から市民の手へ。今度こそ、私たち市民の側がイ−ハト−ブ(賢治の理想郷)の将来に向けてきちんと応答する責任がある。まこと、「あきらめるのはまだ早い」……。ここは「市民の意向を最大限、尊重する」という上田市長の政治姿勢に期待することにしておきたい。
●「城址(しろあと)の/あれ草に臥(ね)てこゝろむなし/のこぎりの音まじり来(く)」(賢治)……
(写真は今後の命運が注目される新興跡地。上部の石垣状の部分が旧東公園=花巻市御田屋町で)