“政策”論争から“言葉尻”論争へ…イ−ハト−ブ議会の威信、失墜〜首長の”化けの皮”がはげる時!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
“政策”論争から“言葉尻”論争へ…イ−ハト−ブ議会の威信、失墜〜首長の”化けの皮”がはげる時!!??


 

 「言葉尻をとらえるのでなく、互いに前向きに検討していこうではありませんか」―。むきになって答弁する上田東一市長の態度に機能不全に陥った議会の姿を見せつけられた思いがした。5日開会した花巻市議会9月定例会の一般質問で、伊藤盛幸議員(はなまき市民クラブ)が、いわゆる新花巻図書館の駅前立地と花巻駅橋上化(東西自由通路)という二大プロジェクトが表裏一体の「セット」構想ではないかとただした。私自身もそのように受け止め、2日付当ブロブで取り上げた。上田市長の「言葉尻」発言がその通りなのかどうか、おさらいのために当該発言の出典文書を以下に再録する。

 

 「(JR所有の)駅前の土地については、購入するためにJR本社の社長の許可が必要となる。現在でも盛岡支社と話し合いをしているが、花巻市としてJRの社長が許可を出した際には図書館を建設するという決定に近い話がなければ社長に話せないと言われている。JRは花巻駅の橋上化をやりたいと思っており、橋上化の話が進めば、土地の売買について真剣に話をしてくれる可能性はある。橋上化がなくなった際には、駅前に図書館を建設することについてもどうなるか分からない」(6月28日開催の松園地区の市政懇談会の会議録から)―

 

 どんなに逆立ちしても「セット」構想と読解するしかない。私自身が複数の市民に聞いた結果も同じだった。伊藤議員はこうした市民の“疑問”を市政を託された議員の使命としてただしたにすぎない。今回の「言葉尻」発言は議員の質問権を否定するだけではなく、議会制民主主義をないがしろにする暴挙とさえ言える。議会中継を視聴した市民のひとりとして、上田市長の謝罪と議事録からの削除を求めたい。

 

 ところで、上田市長はこの日の答弁で「図書館と橋上化は別物である」と改めて強調した上で、「仮に図書館が駅前のJR所有地に立地できなかったとしても、駅周辺の活性化のため、橋上化は着実に進めていきたい」と答えた。では、市民の立場から伺いたい。「40億円もの巨費を投じる橋上化がもたらす波及効果をどう試算しているのか。つまり、こうした一大プロジェクトに欠かせない将来見取り図(グランドデザイン)をきちんと示すべきではないか」―。このあたりから、上田流の強引な「こじつけ」論法、つまりは例の詭弁(きべん)が本領を発揮する。「橋上化」論争が燃え上がった昨年6月定例会の光景がまだ、頭にこびりついている。

 

 上田市長はその時の答弁でこう述べた。「後世の方々にとって、有意義な遺産とはなれ、決して“負の遺産”になるものとは考えていない。橋上化は新しい駅建設やまちが動いているというイメ−ジを与え、市街地活性化の起爆剤になり得る」―。かと思ったら、返す刀でこう言ってのけた。「国の補助を受けるからやるのではなくて、必要な事業を国の補助を受けられることによって初めて実施できる。しかし、いまの時点で将来に向けた過大な計画を策定すること自体が逆に『絵に描いたモチ』になる」

 

 そういえば、上田市長が議員の質問を揶揄(やゆ)する時に好んで使う言葉が”白日夢”だった。だからなのか、「絵に描いたモチ」になることを涼しい顔で認める一方で、”やらせ要請”という批判など何するものぞと橋上化に向けて、一瀉千里(いっしゃせんり)の勢い。「二律背反」を地で行くようなこの”便法”を私は到底、理解することができない。弁明を繰り返せば繰り返すほど、図書館と橋上化との「セット」構想が透かし絵のように浮かび上がってくるではないか。まるで、二つの顔を使い分ける「ヤヌス」(双面神)みたいに…

 

 「橋上化整備は新しい図書館を花巻駅東側に整備することを目的として、整備するのではありませんか?」―。当局側は昨年6月に作成した「想定問答集」(Q&A)の中で、まるで予防線を張るように、こんな答えを用意していた。「橋上化の整備の必要性は、新図書館とは別にお考えいただくように…」。市民に“誤解”を与えるような「言葉尻」発言は今後、厳に慎んでもらいたい。「上手の手から水が漏れた」ということかもしれない。やっと、“本音”を聞けたと思っている。「イーハトーブ」とは郷土の詩人、宮沢賢治が「ドリームランド」(夢の国)と名づけた理想郷のこと。本当に夢を描くことのできない盟主ではある。「綸言(りんげん)汗のごとし」という故事を知らないわけはあるまいに…

 

 

 

(写真は橋上化特集号と見まごう9月1日号の「広報はなまき」)

 

 

 

 

 


2022.09.05:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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