時々刻々…市議選告示「第1声」(初日):はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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花巻市議会選挙が17日告示され、24日の投票日に向けた7日間の戦いの火ぶたが切って落とされた。ポスタ−掲示の一番くじを引き当てた私はいわゆる選挙の七つ道具を抱えて選車に乗り込み、同日午前10時すぎ、自宅近くの「雨ニモマケズ」賢治詩碑を背に第1声のマイクを握った。以下に絶叫調「第1声」(要旨=さわり)を掲載する。
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安部元総理に対する白昼テロ、長期化するウクライナ戦争、そして拡大の一途をたどるコロナ禍…。岩手県は4日前、ついに過去最多の新規感染数を記録しました。なにか終末感さえ漂う時代に足を踏み入れたような不気味な予感さえしています。さて、私の背後には郷土の詩人、宮沢賢治が逆境に置かれた人たちに“寄り添う”ことの大切さを訴えた「雨ニモマケズ」詩碑が建っています。そして、この場所は賢治が世界全体の幸せと平和へのメッセ−ジを発した「羅須地人協会」があったその場所であります。
このすぐ近くの道端に「桜の地蔵」さんが建っています。「処刑」という不慮の死を遂げた百姓一揆の首謀者を追悼する地蔵尊で、ちょうど100年前の昨日(1922年陰暦7月16日)に建てられました。賢治が「羅須地人協会」を設立したのはそれから4年後の同じ日です。私はこの日付の符合に賢治の確固たる意志が込められているような気がします。
地球規模の危機にさらされているいまこの時、私はこの場所でマイクを握ることの不思議なめぐり合わせに胸が熱くなります。賢治はここ岩手・花巻の地をエスペラント語で「イ−ハト−ブ」と名づけました。「ドリ−ムランド」(夢の国)を意味する“理想郷”のことです。数々のメッセ−ジが賢治精神の“原点”ともいえるここ桜町の地から発せられてきたのです。
私はこの賢治精神の奥深さを最近見た映画で実感させられました。「75歳以上の高齢者に死を選ぶ権利を認め支援する制度、通称プラン75が今日の国会で可決されました。深刻さを増す高齢化問題への抜本的な対策を、政府に求める国民の声が高まっていました」―。カンヌ国際映画祭で新人監督賞の特別表彰を受けた『PLAN75』(早川千絵監督)はこんな淡々としたラジオニュ−スで始まります。私は画面に吸い寄せられながら、背筋がゾッとしました。“姥捨て伝説”を題材にしたあの名画『楢山節考』(今村昌平監督、深沢七郎原作)の現代版ではないかという思いにさせられたからです。
少子高齢化に向かういま、将来を約束するのは「世代交代」しかないというスロ−ガンがまことしやかに一人歩きしています。今年1月の市長選で3選を果たした現職も公約の真っ先に「子どもの達の未来/はなまきを創る」―を掲げています。また、今回の市議選でもその必要性を声高に叫ぶ新人候補も見受けられます。その正当性を否定する気持ちは毛頭ありませんが、これを論じる場合は同時に「PLAN75」の現実にも目を向ける想像力が必要です。「若さ」と「老い」とは実はコインの裏表なのです。「若気の至り」と「年寄りの冷や水」とのコラボレ−ション…「世代ミックス」こそが社会を健全に機能させるための“車の両輪”だと私は思います。そして、このことの大切さを指摘していたのもまた、賢治だったことを改めて思い知らされました。
止まることのないコロナ禍の中で一番、苦境に立たされているのはお年寄りたちです。私は自らに対し「叛逆老人は死なず」というスロ−ガンを課しました。こんな時代閉塞の時代、白旗をあげてオメオメと退場してたまるかという思いです。当年取って82歳の“老残”の身ですが、お化けではありません。ご覧の通り、二本の足でちゃんと立っています。私はお年寄りたちの代表選手として、その悲痛な訴えをリユックサクに一杯詰め込んで、議員をめざしたいと決意を新たにしています。
ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
(写真は賢治碑の近くで第1声を上げる私とスタッフたち(7月17日午前、花巻市桜町4丁目で)