似て非なるもの…”パワハラ”首長の天と地と:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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「強制不妊 国に初の賠償命令/旧優性保護法は『違憲』 大阪高裁判決」―。23日付新聞各紙にこんな大見出しが躍っていた。旧優性保護法(1948―1996年)の下で不妊手術を強いられたとして、原告が損害賠償を求めた控訴審判決で、大阪高裁が初めて国の責任を認めた画期的なニュ−スを伝える内容だった。「(旧法は)特定の障害や疾患がある人を一律に『不良』と断定するもので、子を産み育てる自己決定権を保証した憲法13条や、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」―。人権の復権を認めた判決文に心を震わせながら、一方で私は眼前に二人の首長の振る舞いが透かし絵のようにせり出してくる感覚におそわれた。
「誰ひとり取り残さない共生のまちづくり」―をスロ−ガンに掲げる兵庫県明石市は昨年12月、「旧優性保護法被害者等の尊厳回復及び支援に関する」条例を制定した。国はそれに先立つ2019年、不妊手術を受けた人に対し、一律320万円を支給する「一時金支給法」を定めた。明石市の条例では不妊手術以外に中絶手術を受けた人に対しても300万円を支給するとし、泉房穂(ふさほ)市長はこう語っている。「命に優劣をつける理不尽な優性思想で人生をあきらめなければならなかった人たちにとって、国の法律だけでは不十分。市民に最も身近な自治体ができるのは、条例という形で具体的な施策を残すことだ」
実は泉市長はかつて、“パワハラ”首長として勇名を馳せたことで知られている。3年前、職員に対する暴言について、自ら「パワハラ」と認めて辞職。その直後の出直し選挙で奇跡の再選を果たすなどして、現在4期目。弁護士でもある泉市長はNHK勤務の後、衆議院議員を歴任の後、市長の座に。福祉政策に精通し、「誰ひとり取り残さない」という理念が今回の条例化に結実したと言える。
泉市長は当時、自らの振る舞いを謝罪し、こう語っている。「明石市政の混乱を招いた責任は私にあり、本当に深く反省している。職員としっかり信頼関係を築き、明石のまちづくりをしっかりやっていきたい…。自分自身の欠点は、苦手分野を後回しにすることと感情のコントロ−ルの2つ。苦手分野は、これから職員から学び取り組んでいきたい。感情のコントロ−ルについては、この1ヶ月以上日記を付けたり、専門講座を受け続けて、55歳にして改めて自分自身の至らなさを知った。その点についてもしっかりと改めていきたい」(当時の新聞記事などから)
同じ“パワハラ”疑惑にまみれながら、3選を果たした上田(東一)市政が25日開催の花巻市議会3月定例会で本格スタ−トする。「誰ひとり取り残さない」―。僅差で苦杯をなめた小原雅道氏(前市議会議長)のスロ−ガンが泉市長と軌を一にするというのはいかにも皮肉なことではある。「似て非なるもの」―というたとえはこのことを言うのであろう。この二人の”パワハラ”首長がそろって、日本の最高学府(ちまたでは「東大」というのだそうである)の出身というのも考えれば、何か因縁めいた話である。62年前、「生命尊重行政」を掲げ、全国に先駆けて老人医療費の無料化に踏み切った旧沢内村長(現西和賀町)、故深沢晟雄(まさお)さんの言葉が口元に浮かんだ。「法律には反するかもしれないが、憲法違反ではない」(2月13日付当ブログ参照)……
(写真は「勝利判決」を原告に伝える泉市長(左)=インタ−ネット上に公開の写真から)