「Mr.PO」の思想と行動(9)…その強権支配の実態:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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「Mr.PO」の思想と行動(9)…その強権支配の実態


 

 一方が脱輪しただけで、車が走行できなくなるように「Mr.PO」(上田東一市長)にとって「JR花巻駅の東西自由通路(駅橋上化)」と「新花巻図書館の駅前立地」がまさに“車の両輪”であることが開会中の花巻市議会6月定例会の質疑の中で鮮明になった。その両輪が現在、議会側の必死の抵抗によって、脱輪状態になっているということはある意味で「不幸中の幸い」ということもできる。それにしても「Mr.PO」はどうしてこうまで強引に事を進めようとしているのか。自らの失政を糊塗(こと)しようという意図はミエミエだが、その強権支配を支えているのは何か。たとえば、図書館問題について―

 

 「新花巻図書館の整備は本市にとって、きわめて重要な事業。この整備計画の決定の権限と責任は社会教育を所管する教育委員会にあるのではないか」―。伊藤盛幸議員(市民クラブ)が6月22日の一般質問でこうただした際、“伝家の宝刀”のように振りかざしたのが、いわゆる「補助執行」という取り決めだった。花巻市は平成19年3月、地方自治法(第180条の7)の規定に基づいて、「花巻市教育委員会の権限に属する事務の補助執行に関する規則」を制定。「花巻市教育委員会の権限に属する事務を市長部局の職員に補助執行させるに当たり、必要な事項を定めるものとする」とし、それまで所管していた花巻市立図書館や宮沢賢治記念館、花巻新渡戸記念館などの事務を首長部局の生涯学習部に移管した。しかし、決裁手続きの権利などは従前のまま、市教委側に残るとされた。

 

 その後、2019年(令和元年)5月の、いわゆる「第9次地方分権一括法」(「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」)の成立に伴い、社会教育法や図書館法などの関連法が改正され、「補助執行」の法的根拠については「地教行法」(「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」)で、以下のように定められた。「地方公共団体は、条例の定めるところにより、当該地方公共団体の長が、教育に関する事務のいずれか又は全てを管理し、及び執行することとすることができる」(第23条1項)。この「教育に関する事務」には図書館のほか、博物館や公民館など社会教育に関する教育施設が含まれる。

 

 一方、文科省は法律制定に当たって「担保措置」を喚起する文書にこう記している。「教育委員会が所管する公立の図書館、博物館、公民館その他の社会教育に関する教育機関について、まちづくり、観光など他の行政分野との一体的な取組の推進等のために地方公共団体がより効果的と判断する場合には、社会教育の適切な実施の確保に関する一定の担保措置を講じた上で、条例により地方公共団体の長が所管することを可能とする」

 

 「(生涯学習部職員の指揮監督や図書館を含む教育財産の取得・処分、ならびに契約や予算執行などは)地方公共団体の長が事務を管理し、執行することになっている」―。「Mr.PO」は伊藤議員の質問に対し、法律の条文を早口で並べたてながら、まさに一刀両断の勢いで切って捨てた。ちょっと、待ってよと言いたい。こうした“暴走”に歯止めをかけるための「担保措置」の規定を知らないとは言わせない。たとえば、2年前の「第9次地方分権一括法」に際しては、「社会教育法」でこんな釘をさしている。「教育委員会は、事務の管理及び執行について、その職務に関して必要と認めるときは、当該特定地方公共団体の長に対し、意見を述べることができる」(第8条の3)。さらに、当時の文科省総合教育政策局長の「通知文書」の中にはこうある。

 

 「(図書館のような)当該機関が社会教育法、図書館法、博物館法等に基づく社会教育機関であることに変わりはなく、社会教育の政治的中立性、継続性、安定性の確保、地域住民の意向の反映、学校教育との連携等に留意するとともに、多様性にも配慮した社会教育が適切に実施されることが重要である。教育委員会には、総合教育会議等を積極的に活用しながら、首長部局やNPO等の多様な主体との連携・調整等を行い、社会教育の振興のけん引役としての積極的な役割を果たしていくことが求められる」(2019年9月26日発出)

 

 5月24日開催の「令和3年第6回花巻市教育委員会議定例会」で、市川清志・生涯学習部長が所管の図書館計画室が作成した「新花巻図書館整備基本計画(試案)」について「報告」した。佐藤勝教育長ら6人の委員が出席。内容に対する注文や疑問点が出されたが、文科省通知が求める“当事者”意識は皆無。「なにを今さら。犬の遠吠えではないか」とうつろな気持ちになった。「Mr.PO」の「パワハラ&ワンマン」とはひと言で言ってしまえば「独裁」ということである。その首に縄をかけるのは教育委員会、あなた方の出番ですよ。一般質問で別の議員が新花巻図書館のレファランス機能や学校図書との関係を問うた際も「Mr.PO」は議場に同席する佐藤教育長を差しおき、いけしゃあしゃあと答弁するという破廉恥(はれんち)ぶりを発揮していた。議会側も頑張っている。いまからでも遅くはない。

 

 

 

 

(写真は発言者も少なかった「第1回新花巻図書館整備基本計画」試案検討会議=4月26日、花巻市のなはんプラザで」

 

 


2021.06.25:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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