廃墟と桜、そしてワクチン接種:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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「公園地内は7、8百の紅提灯を吊るし連ね、城跡の中腹下辺りには数百の灯籠を立て並べ、宿場内市中は各戸の軒に提灯を吊るし、大変に賑わいました。同日は特に好天だったため、近郷近在より老若男女の参詣が非常に多く、公園地内は人がぎっしりと詰まっており、かき氷屋は最も繁盛しました」(明治17年8月25日付「岩手新聞」)―。満開を咲き誇る桜の花びらの先にまるで、陽炎(かげろう)か蜃気楼(しんきろう)が立ち上がったような錯覚に陥った。記事はこの光景を「打ち上げ花火の明かりに照らされながら剣術や柔術、歌俳諧が夜半まで続けられた」とも描写している。
いまから136年前、郷土のいしずえを築いた文学や武芸、書画、和歌、俳諧などの人士194人の名を刻んだ「鶴陰碑」が花巻城三の丸跡に建てられた。その完成を祝う“群霊祭”の様子を伝える記事である。当時、この城跡は「東公園」と呼ばれ、音楽堂や東屋、池などを配し、見事な桜並木がトンネルをつくる花見の名所でもあった。今年、早咲きの桜は4月初旬から中旬にかけてつぼみがふくらんだ。しかし、花見を楽しむ人の姿はいない。コロナのせいではない。瓦礫(ガレキ)の荒野が人を寄せ付けなくなってもう、久しい。
東公園は戦後、デ−タ通信の先駆けとなったテレプリンタ−(印刷電信機)の開発を手がけた「新興製作所」に払い下げられ、戦後花巻の復興を支えた。その後の社屋移転に伴い、7年前に「公有地」として一般に売りに出された。優先取得が法律で認められていたが、上田東一市長は「利用目的ははっきりしない」という理由で取得を断念。その後、不動産業者の手にわたり、無惨な姿をさらけ出したまま、現在に至っている。
城址(しろあと)の/あれ草に臥(ね)てこゝろむなし/のこぎりの音まじり来(く)―。郷土の詩人、宮沢賢治は東公園に寝ころびながら、こんな歌を詠んでいる。その背の下には不動産業者が不法に放置した有毒物質のPCB(ポリ塩化ビフェニル)が秘匿(ひとく)されているらしい。陽炎と蜃気楼がす〜っと、目の前から消え、むき出しの廃墟が迫ってきた。いまが盛りの桜が廃墟をいっそう、廃墟たらしめている。上田失政の“負の遺産”の光景として、目に焼き付けておきたい。“永久保存版”として…
(写真はコントラストの妙を描き出す光景。いまや、“負の名所”とでも名付けたくなる。後方の残骸(旧東公園)のどこかにPCBが隠されているらしいが、行政側も現地確認するまでには至ってない=4月15日、花巻市御田屋町の新興跡地で)
《追記》〜裸の王様
上田”パワハラ&ワンマン”市長が15日に行われるワクチン接種のシュミレーション会場に立ち会うとのこと(HPの市長予定)。「福島原発事故の際、無理やり視察して現場対応を妨害した菅直人(当時の首相)みたい」というフェイスブック上の書き込みを見つけた。ったく、同感。そういえば、この人は特定定額給付金(10万円)の支給時にも現場に押しかけ、職員たちの不評を買っていた。あぁ、部下を信用できない”裸の王様”の悲しい性(さが)よ!?