号外―「住宅付き」図書館構想を撤回…上田市長、“公民連携”も断念へ:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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号外―「住宅付き」図書館構想を撤回…上田市長、“公民連携”も断念へ
2020.11.12:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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「WS(ワ−クショップ)において、住宅付き図書館に賛成する市民がひとりもいなかったという報告を受けた。この事実は深刻に受け止めなくてはならない。その上でこれまで『最善』としてきたこの構想案(1月29日付)はなかったことにしたい」―。花巻市の上田東一市長は12日開催の議会側の「新花巻図書館整備特別委員会」(伊藤盛幸委員長)で、いわゆる“上田私案”を撤回することを正式に表明した。これを受け、議会側は12月定例会に向け、当局側が当初立地を計画したJR所有の花巻駅前の市有化の可能性や他の建設候補地の選定、複合化の是非などを含めた最終報告書を提出することで一致した。
この日の特別委で、上田市長は「まだ、駅前立地を最終的にあきらめたわけではない。今後もJRとの交渉の余地はあるが、“公民連携”の手法は取るつもりはない」と話した。そもそも“上田私案”は本来、中心市街地の活性化や定住促進をねらいに立案された構想であり、住宅と図書館は表裏一体の関係にあり、その逆は想定されていない。だとすれば、その構想の根幹が崩れたことになり、事実上の“白紙撤回”と受け止めることもできる。席上、上田市長は「儲(もう)け」という言葉を再三口にし、「(住宅の)家賃収入が期待できなくなる以上、小ホ−ルなどの複合化もかなり、限定的なものにならざるを得ない」と言及。さらに、市民の間から出ている「まなび学園」周辺へ立地についても「歩道や取り付け道路の設置など難問が山積しており、実現するとしても相当先になる」という認識を示した。
「WSや今月末から予定されている市民説明会での意見を最大限、尊重したい」と繰り返した上田市長だが、今回の混乱の原因は元をただせば、市民や議会の頭越しに公表した“上田私案”そのものにさかのぼる。理念(ソフト)よりも建物や場所(ハード)を優先させたという意味で、最初から順序が逆さまだったのである。「本当の図書館の姿とは?」―。行政任せのツケが回ってきたとも言える。今度こそ「議会力」そして、“市民力”が試される番である。そのことを肝に銘じたい。
(写真は“上田私案”の撤回を表明する上田市長=11月12日午後、市議会委員会室で)
《追記》〜図書館特別委の伊藤委員長から当ブログへ訂正申し入れ
花巻市議会の「新花巻図書館整備特別委員会」の伊藤盛幸委員長から12日、当ブログ(11月7日付「『新図書館』問題で、“政治利用”!?)に関連し、以下のような訂正申し入れがあったので、報告したい。
「(図書館)アンケ−ト」→「意見交換と話したはずです」、「特別委の討議資料〜公表されるとは…」→「そのように話していません」、「伊藤委員長は憤慨する」→「冷静に見ていると言いました」、「伊藤委員長は〜話している」(最後部分)→「話していません。捏造(ねつぞう)です」―。私はこの日、改めて今後の対応をただしたところ、伊藤委員長は「アンケ−ト調査は高校生の自主的は活動だと認識している。議員個人の活動については特別委として関与するものではない」と話した。
個人の認識と表現との乖離(かいり)についてはあえて弁明はしないが、「冷静に見る」とは一体、どういうことなのか。私の元には新聞報道を見た市民から「(図書館の)駅前立地を望む若い世代の考えも尊重すべきではないか」という声が多く寄せられている。特別委小委員会の委員を務める当該議員の振る舞いがこうした世論形成に幾ばくかでも影響を与えているのだとすれば、事は公職選挙法が禁止する議員の地位を利用した“選挙運動“という誤解さえ生みかねない。ましてや、今は18歳以上の高校生にも選挙権が与えられている時代である。伊藤委員長の「不関与」発言は到底、納得できものではない。
ちなみに、当該議員のフェイスブックにはこんな書き込みが掲載されている。「1昨日(11月7日)、北高生と市長との懇談会の様子が新聞に載りました。なかなか若者たちの意見をお聞きする機会が少なく、今回は図書館について訪問しましたが、それがきっかけで2人の女子生徒さん達が生徒会でアピールしアンケートをとり、それをベースに新図書館について提案していただきました」ー。なお、当花巻市議会は当該議員が議会先例集で禁止されている各種委員会の委員を”兼務”している件については不問に付したままである。