号外―“追認”機関からの脱却!?…女性委員が正論発露:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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号外―“追認”機関からの脱却!?…女性委員が正論発露
2020.11.12:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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「協議会は、図書館の運営に関し、各図書館長の諮問に応じるとともに、図書館の奉仕につき館長に対して、意見を述べる機関とする」(第2条)―。花巻市立図書館協議会規則の規定を読み上げ、「これは自由討議を指すのか」という女性委員の発言がきっかけとなり、11日に開かれた令和2年度第2回同協議会は白熱した議論の発露の場となった。今年2月、「住宅付き図書館」の駅前立地(いわゆる“上田(東一市長)私案”)を十分な議論を経ないままに「了」とした同じ組織とは思えない様変わりにこっちの方が目を白黒させられた。一体、何があったのか?
この種の協議会や審議会は往々にして「異議なし」として、当局側に“お墨付き”を与えるのが本分だと勘違いしてきたきらいがある。図書館に関する“本家”筋のこの協議会も例外ではなかった。“追認”機関と揶揄(やゆ)されてきた所以(ゆえん)である。ところが、この日は深い眠りから突然、目を覚ましたかのように本音の議論が飛び交った。同協議会は公募委員(2人)や学校関係者、ボランティア団体の代表など12人で構成。今年7月の改選で、半数が新顔に入れ替わった。この間、“上田私案”をめぐって、議会側に「新花巻図書館整備特別委員会」が設置されたり、市民サイドでの「考える会」の立ち上げなど情勢も大きく変化した。
「まずは場所の選定が先決。どこでも決まってしまえば、そこに『(図書館が)ある』と思えるようになる。これ以上引き延ばしてよいのか」―。教育現場に身を置く2人の男性委員がこう発言すると、いっせいに女性委員が反論を浴びせかけた。「これまでは行政主導の箱物づくりが優先されてきた。これを黙認してきた私たち委員にも責任があるのではないか」、「そもそも、図書館の管轄は教育委員会ではないのか。当局直轄の生涯生涯学習部が担当することに違和感がある。予算の獲得が有利になるとでもいうのか」、「議会側の意見交換会と市主催のWS(ワ−クショップ)のアンケ−ト結果を比べると、立地場所の回答に大きな差異がある。なぜなのか」、「これまでは“言いっぱなし”と“聞きっぱなし”で終わっていた気がする。図書館職員(司書)はもっと、こころざしを持ってほしい」……
「傍聴席にも聞こえるようにマイクを近づけて発言していただきたい」―。私は真摯な議論を聞き逃すまいと、議長にこう要求した。コロナ禍の今日この頃、マスク越しでの発言が余儀なくされ、離れていると聞き取りにくい。この種の会議では主にヤジなどの不規則発言は禁止されているが、この日はおとがめはなかった。新しく公募委員に任命された2人の女性委員がきっぱりとした口調で言った。「将来世代に悔いを残さない、文化の拠点となる図書館を目指してほしい。納税者としての市民の義務も果たしていきたい」―
迷走する“図書館戦争”の中で、久しぶりに地に足のついた「図書館論争」を耳にした思いがした。外部を遮断してきたこれまでの”身内”意識からやっと、解放された瞬間だったのかもしれない。
(写真は当局側(手前後姿)もたじたじとなるような活発な議論が展開された図書館協議会=11月11日、花巻市若葉町の花巻市立図書館で)