上田流「コロナウイルス」対応のちぐはぐ…末端の社会活動も麻痺状態に!?:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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上田流「コロナウイルス」対応のちぐはぐ…末端の社会活動も麻痺状態に!?


 

 「市民の安心・安全を最優先した迅速な対応」、「備えあれば、憂いなし」―と”もろ手”を上げたいところだが、花巻市の上田東一市長が今回の新型コロナウイルス感染症に対して決定した措置は逆にそのちぐはぐさを浮き彫りにする結果になった。政府が全国の小中学校などに3月2日から春休みに入るまでの「臨時休校」を要請したことを受け、同市は28日午前9時に「感染症対策本部」(本部長、上田市長)を立ち上げ、(3月)19日までの休校を決めたほか、市や市関連団体の主催行事のすべてを当面、中止することにした。

 

 一方で、文化やスポ−ツなどの公共施設についても同期間、休館に踏み切るなど“過剰反応“と言われかねない措置も明らかになった。宮沢賢治記念館や博物館、文化会館、総合体育館、図書館、各振興センタ−などその数は30か所以上に及んでいる。私自身が余暇を楽しむ場として、利用している「まなび学園」もそのひとつ。県内の他市町村も相次いで、休校や行事中止の決定をしたが、公共施設の利用制限をした例はほとんど見られない。たとえば、隣の北上市では休校期間中の図書館への児童生徒の入館は禁止したものの、一般人の利用には制限を設けていない。

 

 「花巻市民の皆さまへ 新型コロナウイルス感染症に関して」―と題したチラシがある。2月21日に作成し、3月1日付の市の広報誌に折り込んで全戸配布することになっている。「持病のある方、ご高齢の方はできるだけ人混みの多い場所を避けるなどより一層、注意してください」などと留意事項が書かれている。このチラシが作成された2日後の2月23日、市所有の公共施設「花巻中央広場」で多くの市民の参加を呼びかけた「どでびっくり市・冬の陣」が開かれた(2月21日付当ブログ「追記」参照)。当日はあいにく、暴風雪警報が発令され、災害対策本部が設置されるという不運に見舞われ、さらに“コロナ”騒動の渦中にあったにもかかわらず、主催団体に対する市からの中止勧告もなく、イベントは強行された。この人の「ちぐはぐ」(というよりも、その無責任性)とはこのことである。

 

 仙台市でも陽性患者が見つかるなどパンデミック(大流行)の恐怖が近づきつつある今、私たちは「転ばぬ先の杖」を準備しなければならない。しかし、上田「ワンマン」市政がこの国のトップワンマン(安倍晋三首相)の号令にただ付き従うだけでは、現場は右往左往するだけである。さらに、今回の公共施設の一斉休館によって、地域の各種行事も相次いで中止を余儀なくされ、末端の社会活動は一部で麻痺状態を起こしつつある。果たして、当該施設の責任者や現場職員ときちんと話し合ったうえでの措置だったのかー

 

 新図書館構想、”怪文書”騒動、そして今回のコロナ対応…。宮沢賢治の理想郷―「イーハトーブ」の”迷走”は止まるところを知らない。ひょっとして、この人にとっての「危機管理」とは「自己保身」そのものではないのか、とそんな思いにもとらわれてしまう。

 

 

 

《追記−1》〜「来庁」自粛の異例の呼びかけ

 

 花巻市は1日付のHPで、小中学校の臨時休校に伴って、子どもの面倒をみなければならない職員が休暇を申請することが想定されるとして、2日から19日までの間、窓口業務を縮小することを決め、必要な場合を除く「来庁」の自粛を呼びかけた。今回の措置について市側は窓口の混雑も想定され、混雑により人込みとなった場合は感染の危険性が拡大する」と説明している。事後対策を後回しにしたまま、当市の行政機能は制御不能の状態に陥りつつある。メルトダウン(炉心溶融)とはこういう状態のことを指す。「コロナ」ならぬ「ウエダウイルス」という言葉がちらっと、頭をかすめた。

 

 

《追記―2》〜イタリアからのメッセ−ジ;本を借りたくても、当市の図書館は「閉館中」

 

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて休校しているイタリア・ミラノの高校の校長が、学校のホームページ上で生徒に向けて書いたメッセ−ジが話題になっている。メッセージを書いたドメニコ・スキラーチェ校長は、イタリアの文豪マンゾーニが19世紀、ペストが流行した様子を描写した国民的文学作品「いいなづけ」の一節を紹介しながら、社会生活や人間関係を「汚染するもの」こそが、新型コロナウイルスがもたらす最大の脅威だと説いた。以下に全文(要旨)を転載する。

 

 

 

ボルタ高校の生徒へ

 

 「ドイツからミラノに来るのではと恐れられていたペストが、本当に入ってきた。それはとどまることなくイタリアの大半を侵略し、人口は減った……」―。引用したのはマンゾーニの小説「いいなづけ」の第31章で、1630年にミラノを襲ったペストの感染について書かれています。このころ起きている混乱を、並外れた新しさと鮮やかな文章で描いており、注意して読んでみることをお勧めします。そこには外国人への恐怖、感染源のヒステリックな捜索、専門家への軽蔑、デマ、ばかげた治療法、必需品の盗難……すべてのことがあります。これらはマンゾーニの小説からではなく、今日の新聞から出てきたかのようです。

 

 みなさん、学校は休校になりましたがお話ししておくことがあります。我が校のような教育機関は規則正しく動いており、当局が強制的に休校とするのはきわめてまれな場合です。私はこうした対策を評価する立場にありませんし、専門家でもありません。当局の慎重な判断を尊重しますが、皆さんには、冷静に、集団の妄想にとらわれることなく、必要な予防をした上でいつもの生活を送ってください、と言いたいです。

 

 こんな時だからこそ、散歩をしたり、良い本を読んだりしてください。元気であれば家に閉じこもっている必要はありません。スーパーや薬局に駆け込むのはやめましょう。マスクは病気の人のためのものです。病気が急速に世界に広がっているのは、私たちの時代が残した結果で、何世紀も前には速度は少しだけ遅かったですが、同じように広がりました。それを止めることができる壁は存在しません。このような出来事での最大のリスクの一つは、マンゾーニが私たちに教えてくれているように、社会生活や人間関係に「毒を盛ること」と、市民生活を野蛮にすることです。目に見えない敵によって脅かされていると感じる時には、私たちは同じなのに、他人を脅威や潜在的な侵略者のように見たりする危険があるというのが、先祖から受け継いだ本能なのです。

 

 17世紀と比べ、私たちには近代的な医学があり、進歩し、正確になりました。私たちは社会組織と人間性という貴重な財産を守るべく、合理的な考えを持つようにしましょう。もしそれができなければ、ペストが本当に勝ってしまうかもしれません。学校で待っています。

ドメニコ・スキラーチェ

(3月2日付朝日新聞「電子版」)

 

 

 

 

 

(写真は「コロナ」危機で休校・休館措置を次々に発表する上田市長=2月28日、3月定例会初日の市議会議場で。インタ−ネット中継の画面から)


2020.02.29:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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