「議員になることで精いっぱいで、その辺のこと(議員の解職など)の法的な根拠については恥ずかしながら、つまびらかではありません」―。23日から3日間の日程で開かれている「市民と議会との懇談会」(花巻市議会報告会)の席上、私は若干意地悪な質問とは思いつつ、地方議会の解散や議員の解職を定めた「リコ−ル(解職請求)」(地方自治法第13条)について質問した。5人の参加議員は困惑した表情で互いに顔を見合わせ、しぶしぶマイクを握ったのが冒頭発言の古参議員だった。真っ正直というのか、余りにもあっけらかんとした発言に逆に虚を突かれた。己が身を置くそのポジションについての「無知」をさらけ出してなお議席にしがみつく…さ〜て、その正体が暴かれた動転劇の顛末(てんまつ)とは―
【第1幕】〜病院の巻
上田(東一)市政の看板政策は「病院」と「図書館」という二大プロジェクト(10月2日付並びに8日付当ブログ参照)である。半年後に迫った公益財団法人「総合花巻病院」の旧県立厚生病院跡地への移転をめぐっては、当初予定された23科目から4減の19科目でスタ−トすることが最近になって明るみに出た。この事業には当市はじまって以来、最大規模の19億7,500万円の補助金が支出されることがすでに議会で承認されている。しかし、規模縮小に連動して補助金の額にも変動が出てくるのが当然である。そんな疑問にこんな返答が返ってきた。
「正直言って、その補助金の減額などについての議論は議会内ではまだ、起きていません。ただいま指摘を受け、大変大事なことだと思うので、何らかの機会をとらえて当局の見解をただしたいと思います」―。これじゃ、台本作りも他人まかせの学芸会と同じではないか。いや、小学生たちだって、脚本はみんなで知恵を出し合ったつくるはず。一事が万事である。当局の下請けと化したこの体たらくでは「議会無用論」がささやかれても仕方があるまい。
【第2幕】〜図書館の巻
「新花巻図書館整備基本構想」(2017年9月)が公表されて、すでに2年以上が経過したが、その全貌がいまもって見えてこない。映画「ニュヨ−ク公共図書館」を見て、その「知的インフラ」の重要性を再認識させられた直後だけに、私は図書館構想に対する議会の取り組みを問いただした。その返答にまた、腰を抜かした。「そろそろ、実施に向けた基本計画が出てくるころだと…。運営の方法などについては我われ議員側にも知らされていません。いずれ、当局の出方を見ながら」―。私のイライラも限界に近づきつつあった。「これだけの大きな事業に対し、ただ手をこまねいているだけでよいのか。特別委員会を設置するなどして、議会としての独自の対案を示すべきではないのか」
班長だという議員が制するようにして口を開いた。「貴重なご意見と受け止め、今後、議会として検討させていただきます」―。この手の慇懃無礼(いんぎんぶれい)な言葉はこれまでも随分、聞かされてきたような気がする。そういえば、どこかの新聞の川柳欄にも「土下座って舌を出しても分からない」という皮肉が載っていたなぁ…
【第3幕】〜蚊帳(かや)の外の巻
ある住民が手狭になった地元の学童保育の拡張計画について、質問した。「当局側に確認している現段階ではそうした計画はありません」とある議員がきっぱりした口調で言った。もうひとりの住民が手を挙げた。「実は私は学童保育の運営に携わっているひとりだが、60人の定員を80人まで増やすという計画がすでに地元には伝えられていますが…」―。会場にざわめきが広がった。蚊帳の外に置かれた議員たちをあざけ笑う、“嘲笑”(ちょうしょう)のように私には聞こえた。居並ぶ議員たちはバツが悪そうに下をうつむいていた。
※
「おもしろうてやがてかなしき鵜舟(うぶね)かな」―。一連の動転劇を見ているうちに、芭蕉のあの名句が口の端に浮かんだ。鵜匠(うしょう)に操られる鵜たちの哀れな姿が二重写しになったのである。リコ−ルを本気で考えなくてはならないかもしれないな、と段々そんな気になってきた。宮野目振興センタ−での報告会に出席した議員は以下の通り(敬称略)。議会報告会は25日までの3日間、全市内15か所で開催される。
横田忍(市民クラブ)、藤井幸介(無所属=公明党)、高橋修(市民クラブ)、本舘憲一(花巻クラブ)、藤原伸(明和会)
(写真は住民の参加者がわずか10人と空席が目立った会場=10月23日午後、花巻市西宮野目の宮野目振興センタ−で)
《第4幕=番外編》〜ブラックユ−モア?、いや、これは悲劇、いやいや悪夢そのものだ!!!
「自治体経営を考える/花巻/市議と高校生、話し合う」(岩手日日新聞)―。議会報告会最終日の10月25日、地元紙にこんな見出しの記事が掲載された。若者たちでつくる市民団体の呼びかけで、市議と高校生とがまちづくりを模索するワ−クショップを開催したという内容だった。「自治体経営を考える」というテ−マで、現職市議4人と地元高校生ら12人が参加。予算編成や事業の見直しをなどについて、行政手法を疑似体験する様子が写真つきで紹介されていた。
市議の顔ぶれを見て、ふたたび腰を抜かしてしまった。4人のうち2人が以前、公職選挙法違反(寄付行為の禁止)の疑いで話題になった人物で、もう1人が今回の”慇懃無礼”居士(班長)だったからである。花巻市が進める「消防団員育成強化」事業の一環として、登録店を利用した団員に対し、料金割引などの特典を与えるという制度で、2人が経営する店も登録指定を受けていた。平成29年9月定例会の決算特別委員会で、私がその事実関係をただした結果、当時の消防本部の担当者は「恩典そのものが寄付行為に当たる」と法律違反を認め、登録を除外した事実を明らかにした。
傍らのテレビは菅原一秀・経済産業相が同じ公職選挙法違反容疑の責任をとって辞任したというニュ−スを流し続けている。コンプライアンス(法令遵守)を鼻先でせせら笑うような愚劣な輩(やから)があちこちに生息している。「どの面(つら)さげて、自治体経営だと?!」―。この倒錯した光景はもう「悪夢」そのものでしかない。(コメント欄の「悪夢の光景」を参照)
「自治体経営を考える」をテーマにしたワークショップのひとこま(10月25日付「岩手日日新聞」から)。呼びかけ人代表の久保田微代さん(東北芸術工科大学4年、花巻出身)は「今の花巻を担う議員と今後を担う高校生が対話する場を設けることで、花巻について深く考える機会にしたい」と抱負を述べている。行政と議会の役割を定める「二元代表制」の原則もわきまえず、あげくの果てはコンプライアンスを踏みにじって、なお恬(てん)として恥じない市議連中が指南役とは!?…聞いた方が気絶してしまう。この光景は悪夢を通り越して、もはや若き感性に対する”冒涜”(ぼうとく)、いやもう立派な”詐欺”(さぎ)行為である。
「議員になることで精いっぱいで、その辺のこと(議員の解職など)の法的な根拠については恥ずかしながら、つまびらかではありません」―。23日から3日間の日程で開かれている「市民と議会との懇談会」(花巻市議会報告会)の席上、私は若干意地悪な質問とは思いつつ、地方議会の解散や議員の解職を定めた「リコ−ル(解職請求)」(地方自治法第13条)について質問した。5人の参加議員は困惑した表情で互いに顔を見合わせ、しぶしぶマイクを握ったのが冒頭発言の古参議員だった。真っ正直というのか、余りにもあっけらかんとした発言に逆に虚を突かれた。己が身を置くそのポジションについての「無知」をさらけ出してなお議席にしがみつく…さ〜て、その正体が暴かれた動転劇の顛末(てんまつ)とは―
【第1幕】〜病院の巻
上田(東一)市政の看板政策は「病院」と「図書館」という二大プロジェクト(10月2日付並びに8日付当ブログ参照)である。半年後に迫った公益財団法人「総合花巻病院」の旧県立厚生病院跡地への移転をめぐっては、当初予定された23科目から4減の19科目でスタ−トすることが最近になって明るみに出た。この事業には当市はじまって以来、最大規模の19億7,500万円の補助金が支出されることがすでに議会で承認されている。しかし、規模縮小に連動して補助金の額にも変動が出てくるのが当然である。そんな疑問にこんな返答が返ってきた。
「正直言って、その補助金の減額などについての議論は議会内ではまだ、起きていません。ただいま指摘を受け、大変大事なことだと思うので、何らかの機会をとらえて当局の見解をただしたいと思います」―。これじゃ、台本作りも他人まかせの学芸会と同じではないか。いや、小学生たちだって、脚本はみんなで知恵を出し合ったつくるはず。一事が万事である。当局の下請けと化したこの体たらくでは「議会無用論」がささやかれても仕方があるまい。
【第2幕】〜図書館の巻
「新花巻図書館整備基本構想」(2017年9月)が公表されて、すでに2年以上が経過したが、その全貌がいまもって見えてこない。映画「ニュヨ−ク公共図書館」を見て、その「知的インフラ」の重要性を再認識させられた直後だけに、私は図書館構想に対する議会の取り組みを問いただした。その返答にまた、腰を抜かした。「そろそろ、実施に向けた基本計画が出てくるころだと…。運営の方法などについては我われ議員側にも知らされていません。いずれ、当局の出方を見ながら」―。私のイライラも限界に近づきつつあった。「これだけの大きな事業に対し、ただ手をこまねいているだけでよいのか。特別委員会を設置するなどして、議会としての独自の対案を示すべきではないのか」
班長だという議員が制するようにして口を開いた。「貴重なご意見と受け止め、今後、議会として検討させていただきます」―。この手の慇懃無礼(いんぎんぶれい)な言葉はこれまでも随分、聞かされてきたような気がする。そういえば、どこかの新聞の川柳欄にも「土下座って舌を出しても分からない」という皮肉が載っていたなぁ…
【第3幕】〜蚊帳(かや)の外の巻
ある住民が手狭になった地元の学童保育の拡張計画について、質問した。「当局側に確認している現段階ではそうした計画はありません」とある議員がきっぱりした口調で言った。もうひとりの住民が手を挙げた。「実は私は学童保育の運営に携わっているひとりだが、60人の定員を80人まで増やすという計画がすでに地元には伝えられていますが…」―。会場にざわめきが広がった。蚊帳の外に置かれた議員たちをあざけ笑う、“嘲笑”(ちょうしょう)のように私には聞こえた。居並ぶ議員たちはバツが悪そうに下をうつむいていた。
※
「おもしろうてやがてかなしき鵜舟(うぶね)かな」―。一連の動転劇を見ているうちに、芭蕉のあの名句が口の端に浮かんだ。鵜匠(うしょう)に操られる鵜たちの哀れな姿が二重写しになったのである。リコ−ルを本気で考えなくてはならないかもしれないな、と段々そんな気になってきた。宮野目振興センタ−での報告会に出席した議員は以下の通り(敬称略)。議会報告会は25日までの3日間、全市内15か所で開催される。
横田忍(市民クラブ)、藤井幸介(無所属=公明党)、高橋修(市民クラブ)、本舘憲一(花巻クラブ)、藤原伸(明和会)
(写真は住民の参加者がわずか10人と空席が目立った会場=10月23日午後、花巻市西宮野目の宮野目振興センタ−で)
《第4幕=番外編》〜ブラックユ−モア?、いや、これは悲劇、いやいや悪夢そのものだ!!!
「自治体経営を考える/花巻/市議と高校生、話し合う」(岩手日日新聞)―。議会報告会最終日の10月25日、地元紙にこんな見出しの記事が掲載された。若者たちでつくる市民団体の呼びかけで、市議と高校生とがまちづくりを模索するワ−クショップを開催したという内容だった。「自治体経営を考える」というテ−マで、現職市議4人と地元高校生ら12人が参加。予算編成や事業の見直しをなどについて、行政手法を疑似体験する様子が写真つきで紹介されていた。
市議の顔ぶれを見て、ふたたび腰を抜かしてしまった。4人のうち2人が以前、公職選挙法違反(寄付行為の禁止)の疑いで話題になった人物で、もう1人が今回の”慇懃無礼”居士(班長)だったからである。花巻市が進める「消防団員育成強化」事業の一環として、登録店を利用した団員に対し、料金割引などの特典を与えるという制度で、2人が経営する店も登録指定を受けていた。平成29年9月定例会の決算特別委員会で、私がその事実関係をただした結果、当時の消防本部の担当者は「恩典そのものが寄付行為に当たる」と法律違反を認め、登録を除外した事実を明らかにした。
傍らのテレビは菅原一秀・経済産業相が同じ公職選挙法違反容疑の責任をとって辞任したというニュ−スを流し続けている。コンプライアンス(法令遵守)を鼻先でせせら笑うような愚劣な輩(やから)があちこちに生息している。「どの面(つら)さげて、自治体経営だと?!」―。この倒錯した光景はもう「悪夢」そのものでしかない。(コメント欄の「悪夢の光景」を参照)