陳情不採択―実質的な門前払い…議会改革、凋落の一途:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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陳情不採択―実質的な門前払い…議会改革、凋落の一途
2019.06.13:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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花巻市議会6月定例会に提出していた「辺野古・普天間」問題に関する陳情(5月13日と6月7日付当ブログ参照)の採決が13日開催の本会議で行われ、付託先の総務常任委員会に続いて、議長を除く25人全員の反対で否決された。一方、議員発議で提出された「辺野古埋め立て反対の沖縄県民の民意を尊重すべきだとする」―意見書(案)は賛成16、反対9で可決された。
陳情不採択の理由について、同委員会の藤原伸委員長は「陳情者が求めている辺野古新基地建設の中止と普天間基地の運用停止は論理的に矛盾している」という珍妙かつ支離滅裂な経過説明を披歴。受け止め方によっては、「世界一危険」と言われる普天間基地の固定化にあえて手を貸すような乱暴な論理を展開した。さらに、「国民的議論」の要求については、その理由を明示しないまま、実質的な審査拒否―門前払いによる不採択という前代未聞の醜態(しゅうたい)をさらけ出した。最近、耳目を集めたステルス戦闘機F35Aの墜落原因と言われる「空間識失調」を思わせる迷走ぶりである。
一方、折衷案のような形で提出された前掲「沖縄県民投票の結果を尊重し、辺野古埋め立て工事を中止し、沖縄県と誠意をもって協議を行うことを求める」―意見書案は岩手県議会が今年3月に可決した同趣旨の意見書のほぼコピペ(引き写し)。また、私の陳情と同趣旨の意見書を可決した先行の東京都小金井市議会や小平市議会の経緯についてもほとんどの議員がその無知さ加減をさらした。さらに、陳情審査に当たっての対応について、議会事務局サイドは「議会側から要求があった場合は資料提供するが、それ以外は賛否の誘導につながりかねないので、当方から提供することはない」とした。たとえば、先行事例に賛否両論があるのであれば、活発な議論を促すためにもその双方を提供すればいいだけの話である。考えて見れば、いや考えるまでもなく、これも己の立場を正当化しようとする子どもじみた屁理屈である。
かくして、憲法第16条で保障された「請願(陳情)権」や地方自治法第99条に定められた「意見書」提出など国民に付与された神聖な権利行使はまさにそのことに真正面から取り組むべき立場にある地方議会と議会事務局のタッグによって、封殺されてしまったのだった。
全国で初めて、「辺野古・普天間」問題の意見書を可決した小金井市議会はそこに至るまで紆余曲折の議論を重ねた。共産党会派の議員は当初「国民的議論」について、「米軍基地の国内移設を容認するものと受け止められかねない」と反対したが、議員間討議を通して、この部分を意見書に追記することで合意に達した。同市議会の水上洋志議員(共産党)は「国内移設を前提するものではなく、あくまでも国民的議論を求めるもの。つまり、辺野古新基地の建設中止と普天間基地の運用停止を求めるため、国民的な議論を提起していることに賛同した」と述べた。また、片山薫議員(市民といっしょにカエル会)も「意見書の提出は第一歩であり、この間に喚起された市民の関心をさらに広げる必要がある」と強調するなど、当花巻市議会と真逆の対応を見せた。
わがイ−ハト−ブ議会の議員たちは、「辺野古」(移設)と「普天間」(返還)とが表裏一体の関係にあるという基本的認識さえ持ち合わせていないらしい。また、議員発議の意見書案に反対の討論をした菅原ゆかり議員(公明党)は「防衛や軍事、安全保障などは国の専管事項であり、地方議会は市民の公益に関する議論に集中すべきだ」と相変わらず、陳腐で幼稚な意見を開陳してはばかることがなかった。
ところで、早稲田大学マニフェスト研究所(議会改革調査部会)がまとめた「議会改革度調査」によると、当花巻市議会は2011年、前年に制定された「議会基本条例」が評価されて全国第39位に輝いた。しかしその後は、断崖絶壁からダイビングするような凋落ぶりで、2018年はなんと第491位にまで陥落した。開かれた議会や議員間の自由討議を通じた合意形成、住民参加などを高らかに謳った議会基本条例が実は絵に描いたモチであったことが今回の陳情審査でも白日の下にさらされる結果になった。ちなみに隣の北上市議会は第26位である。あぁ、無情……
(写真は生物多様性の宝庫と言われる沖縄県名護市辺野古の大浦湾。この美(ちゅ)ら海の上では連日、土砂の投入が行われている=インタ−ネット上に公開の写真から)
《追記》〜市議会議長会表彰の怪
本日の本会議の冒頭、小原雅道議長と藤原晶幸副議長がその職に4年以上在籍した功績が認められ、全国市議会議長会の表彰を受けた。慣例だかどうかは分らないが、この両名が在籍期間内に一般質問や他の質疑で発言した姿を見たことがない。ちなみに他の地方議会では議長や副議長が一般質問に立つ例は多々ある。へそ曲がりから見れば、無言の行を押し通したことに対する”論功行賞”ではないのかと皮肉りたくもなる。宮沢賢治のふるさと―イ−ハト−ブ議会では何から何までが逆さま。賢治の号泣が聞こえてくるようである。