沖縄の「辺野古・普天間」問題で陳情―朝日新聞全国版に紹介:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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花巻市議会の3月定例会で、私が提出した日米地位協定の抜本的な見直しを求める陳情が賛成多数で採択されたのを受け、今度はその延長線上の「辺野古・普天間」問題に関する陳情書を13日付で同議会に提出した。6月7日に予定されている6月定例会の総務常任委員会の審査に付されたうえで、本会議最終日の13日に賛否がはかられる日程になっている。
この問題については、沖縄県民でつくる「新しい提案・実行委員会」(安里長従代表)が今年3月、「名護市辺野古の新基地建設の阻止に向け、米軍普天間飛行場の代替施設の必要性を含めて、候補地を国民全体で議論し、民主的に決めるよう働きかける」―陳情を当花巻市議会など全国すべての1788地方議会に提出している。しかし、県外や郵送による請願・陳情についてはほとんどの議会で審査対象から除外しているケ−スが多く、当市議会も「取扱要綱」でそう定めている。本土の地方議会では革新系会派が主導する形で、東京都の小金井、小平両市議会が同趣旨の陳情を採択。意見書を内閣総理大臣など関係機関に提出しているが、陳情者はいずれも沖縄出身者。このため、私は「新しい提案」の趣旨に賛同し、本土に在住する個人として陳情することにした。
一方、岩手県議会は3月定例会で全国で初めてとなる「沖縄県民投票の結果を踏まえ、辺野古埋め立て工事を中止し、沖縄県と誠意をもって協議を行うことを求める」―請願を共産党、社民党、改革岩手の各会派所属の議員が紹介議員となって採択している。沖縄県における県知事選や県民投票、衆院補選などで示された米軍基地反対の「民意」に対し、今度は本土側がどう応答するかが問われている。以下に陳情書の全文を掲載する。
※
件名
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設(新基地建設〉を直ちに中止し、「世界一危険」だと言われる同飛行場(普天間基地)の今後の運用のあり方について、沖縄県を除く県内外への移転が可能かどうか―国民的な議論を盛り上げることにより、民主主義と憲法に基づいて公正に解決することを求める。
陳情の趣旨
沖縄県にはわずか0・6%の国土面積に米軍基地の約70%が集中している。この基地偏重の実態は逆にいえば、「国民全体の安全を担保する役割の大半が沖縄に押し付けられている」ということを意味する。各種世論調査では、米軍基地の存在規定である「日米安全保障条約」を支持する国民の割合は8割を超えている。「安全保障」は日本全体の問題であるという自明の立場に立てば、こうした負担の一方的な押しつけは「沖縄差別」の最たるものと言わざるを得ない。そして、この構造的な差別を底支えしているものこそが、本土側の「無知・無関心」である。今回の陳情は「憲法の根本義」―いわば、真の民主主義の実践への試みでもある。
陳情の理由並びに内容
当花巻市議会は3月定例会で、米国側に治外法権的な「特権」を認める日米地位協定の抜本的な見直しを求める陳情を賛成多数で採択した。一方、辺野古移設に伴う埋め立て工事の賛否を問う県民投票(2019年2月24日)で、反対の意思表示が7割以上に達したにもかかわらず、工事は現在も強行されている。新基地建設はこうした沖縄県民の民意に背を向けるだけではなく、全国市議会議長会や全国知事会の「見直し」要望・提言に見られるように、全国的に高まっている地位協定見直しの機運にも逆行するものである。
他方、政府は普天間基地の返還について、「辺野古移設が唯一の解決策」という態度を崩していない。しかし、埋め立て海域の大浦湾では、専門家の間で軟弱地盤や活断層の存在が指摘され、政府は工期や工法、工事費の詳細さえ明らかにしていない。こうしたことから、返還どころか逆に普天間基地の固定化につながるのではないかという懸念さえ出ている。
そもそも、普天間基地に駐留する海兵隊は1950年代、「反基地運動」が強い本土から移駐してきた経緯がある。したがって、沖縄駐留を正当化する軍事的・地政学的な理由はきわめて根拠が薄弱で、実は「本土側の理解が得られない」という“政治的理由”による駐留だったことを政府高官も認めている。
こうした沖縄の現実を「他人事」としてではなく、本土の側が当事者意識をもって議論し、具体的には以下の3点についての意見書を採択し、地方自治法第99条の規定により、政府並びに関係機関に提出していただきたく、ここに陳情する。
1)辺野古新基地建設工事を直ちに中止し、普天間基地を運用停止にすること
2)全国民が責任をもって、米軍基地が必要か否か、普天間基地の代替施設が日本国内に必要か否か―当事者意識をもった国民的議論を行うこと
3)国民的議論において、普天間基地の代替施設が国内に必要だという結論になるのなら、沖縄の歴史及び米軍基地の偏在にかんがみ、沖縄以外の全国のすべての自治体を等しく候補地とし、民主主義及び憲法の規定に基づき、一地域への一方的な押し付けとならないよう、公正で民主的な手続きにより解決すること
最後に「受難者」に寄り添うことの大切を訴えた郷土の詩人、宮沢賢治のメッセ−ジを掲げたい。当市がまちづくりの基本にすえる、この賢治精神はそのまま、沖縄の地に直結していると思うからである。
●「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」(『農民芸術概論綱要』)
●「アラユルコトヲ/ジブンヲカンジョウニ入レズニ/ヨクミキキシワカリ/ソシテワスレズ…南ニ死ニサウナ人アレバ/行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ」(詩『雨ニモマケズ』)
(写真は日々、陸地化が進む辺野古新基地の建設現場=インタ−ネット上に公開された写真より。沖縄県名護市辺野古で)
《追記》〜沖縄、本土復帰47年
沖縄が米国の統治下から日本に復帰して、5月15日で47年になった。辺野古新基地建設や普天間飛行場の移設問題などで揺れる現状について、同日付の朝日新聞は一面や社会面、社説などで特集記事を掲載した。「沖縄の基地負担/『本土も我が事に』、「辺野古移設の可否/『国民的議論を』」などの見出しで報じた記事の中に、本プログの陳情(同上)も紹介されている。以下にその部分を転載する。
「本土側の動きも出始めている。岩手県花巻市の元市議増子義久さん(79)は安里さんたちの動きに合わせ、13日にほぼ同じ内容の陳情を市議会に提出した。市外在住者からの陳情は議会運営委員会でコピ−を配るだけだからだ。『安全保障はどこの住民にも関係する問題。本土の議会は議論を始め、沖縄に応答すべきじゃないか』(増子氏)。…衆院事務局などによると、2018年4月以降、堺市や岩手県など少なくとも10の地方議会で、辺野古での工事中止や沖縄との対話などを求める意見書が可決された。…新潟大准教授の左近幸村さん(39)は『沖縄の基地問題を考えることは、安全保障や民主主義、地方自治など、自分たちの社会を捉え直すことだと思っています』」(要旨)