日本一の無法地帯…辺野古から(中):はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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日本一の無法地帯…辺野古から(中)
2018.12.07:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
献花台
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「米機2機、接触し墜落/夜間給油の訓練中、1人死亡5人不明/高知室戸岬沖」―。12月7日付の沖縄地元紙の一面トップに大見出しが躍(おど)っていた。一方、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移転先である名護市辺野古の新基地建設現場ではこの日も護岸工事用の石材や土砂などを積んだ大型ダンプカ―が終日、埋め立て予定地に面する米軍キャンプ・シュワブを出入りした。抗議の声を上げる人たちの姿もめっきり、減った。背後のフェンスに色あせたノボリが雨に濡れながら翻(ひるがえ)っていた。「脱植民地」と染め抜かれていた。こんな言葉を目にするのは国内ではここしかあるまい。「そう、ここは植民地そのものなんだ」―
近くに住む金城武政(62)に1年半ぶりにお会いした。毎日、ゲ−ト前での座り込みを欠かさない。母親は「アポロ」という名前のバ−を経営していた。米国は48年前の1969年7月、アポロ11号による人類初の月面着陸に成功した。「Aサイン(米軍専用)」のバ−を開業したのはその直後だった。店名はこの成功にあやかった。当時はベトナム戦争の真っ只中。札束を握りしめた米兵たちがひっきりなしにやってきた。オ−プンを前にした店に米兵が押し入った。母親から10ドルを奪ったうえ、コンクリ−トブロックで頭を殴りつけて逃走した。即死状態だった。52歳の余りにも若い死だった。「オレはひとりになってもあきらめないよ。『阿波根』精神を死ぬまで貫きたい」と金城さんは力を込めた。
「米軍と話をする時はなるべく大勢の中で何も手に持たないで、座って話をすること。耳より上に手を上げないこと」―。“オキナワのガンジ−”と呼ばれた阿波根昌鴻(あわごん しょうこう=1901年―2002年)は生涯をかけて、非暴力・平和主義の運動を生き抜いた。沖縄本島・本部港からフェリ−で約30分、人口4200人弱の伊江島(国頭郡伊江村)に「ヌチドゥタカラ(命が宝)の家」と名付けられた反戦平和資料館があり、“陳情規定”(6か条)の冒頭にはこう書かれている。金城さんは「勝つことはあきらめないことさ」と明るく言った。
2016年4月28日、辺野古の現場から車で40分ほどのうるま市に住む女性(当時20歳)が元米海兵隊の軍属に暴行されたうえ、殺されるという凄惨な事件が起きた。わずか2年半前の事件にもかかわらず、その記憶はもはや薄れつつあるようだ。ましてや、60年近く前に米軍統治下で起きた最悪の事故についての記憶は霧の彼方に消えてしまったのであろうか…。本土ではもちろん沖縄でさえ、この悲劇を知る人は少ない。
同じうるま市の市街地に住宅に囲まれるようして市立宮森小学校があり、敷地の片隅に「仲よし地蔵」と彫られた石碑が建っている。揮ごうは作家の武者小路実篤。1959年6月30日午前10時40分ごろ、米空軍のジェット戦闘機が操縦不能になり、パイロットは空中で脱出したが、無人の機体は民家35棟をなぎ倒した後、石川市(当時、現うるま市)にあった宮森小学校のトタン屋根校舎に衝突、さらに隣のコンクリ−ト校舎を直撃して炎上した。犠牲者は 小学生11人を含む17人、重軽傷者210人。校舎3棟のほか、民家27棟、公民館1棟が全焼、校舎2棟と民家8棟が半焼する大惨事となった。事故当時、学校は2時間目終了後のミルク給食の時間で、ほぼ全児童が校舎内にいた。火だるまになった子どもたちは水飲み場まで走り、そのまま息絶えたと伝えられている。
朝刊で眼にした米軍機の事故、新基地建設を強行する辺野古の現場…。いろいろな光景が走馬灯のように頭をめぐった。仲よし地蔵に手を合わせていた時、犠牲になったと同じ小学生が石碑のまわりを掃き清めていた。「脱植民地」という言葉の意味が真に迫って胸に突き刺さった。宜野湾市内の保育園に米軍機の部品カバ−が落下した事故からこの日で、1年が経過した。
(写真はプラカードを掲げ、基地建設の反対を訴える人と「脱植民地」のノボリ=12月7日午前11時ごろ、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ周辺で)
《追記》〜10月16日付当ブログ「共産党のダッチロール」並びに11月28日付当ブログ「追記」参照
【東京】東京都小金井市議会は6日、米軍普天間飛行場の移設問題について全国で議論することなどを求める意見書を、旧民進党系会派や共産党会派などの賛成多数で可決した。辺野古新基地建設の阻止に向け有志が取り組む「新しい提案」の実践に基づくもので、意見書の可決は全国初。沖縄の基地問題についての世論を喚起し、全国各地での議論にも影響を与えそうだ。
意見書は辺野古新基地建設工事を中止し普天間基地の運用停止を求めると共に、普天間基地の代替施設が国内に必要かどうかを国民全体で議論するよう求めた。代替施設が国内に必要だとの結論になった場合には「沖縄県以外の全国の全ての自治体を候補地」として検討し、基地が一地域に一方的に押し付けられないよう訴えている。宛先は衆参両院議長や首相など。
賛成討論に立った共産会派の水上洋志市議は「辺野古新基地建設の中止と普天間基地の運用停止を求め、国民的議論を提起していることに賛同した」と狙いを語った。片山薫市議は「意見書の提出は第一歩であり、この間に喚起された市民の関心をさらに広げる必要がある」と強調した。反対討論はなく採決を行い、賛成13、反対10の賛成多数で可決した。意見書のきっかけとなる陳情を提出した、小金井市在住で県出身の米須清真氏は「小金井市の市議たちが陳情内容に真剣に向き合ってくれた結果だ。全国各地で取り組みが広がれば、今後予想される司法の場でも(県内移設を止める)証拠の一つに活用できるのではないか」と可決を喜んだ(7日付「琉球新報」)。