夢の図書館を目指して…全国署名に向け、キックオフ!!??:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
夢の図書館を目指して…全国署名に向け、キックオフ!!??


 

 「図書館は賢治ゆかりの病院跡地へ」―。「花巻病院跡地に新図書館をつくる署名実行委員会」(瀧成子・代表)が7日、市内のまなび学園で決起集会(キックオフ)を開き、全国規模の署名活動が本格的にスタ−トした。病院跡地への立地を求める三団体(「新花巻図書館を考える会」「新花巻図書館―まるごと市民会議」「イ−ハト−ブ図書館をつくる会」)の主催で、郷土出身の童話作家、宮沢賢治をベ−スに据えたまちづくりを訴えている。

 

 私自身、その実現を強く望むひとりである。イ−ハト−ブのど真ん中に位置するこの地こそが「夢の図書館」にふさわしいとずっと、思ってきた。そしていま、賢治の薫陶(くんとう)を受けた幾多の先達たちがいっせいにその後押しをしてくれているような気がする。ほとばしるようなその思いを私は連帯のメッセ−ジとしてしたためた。南は九州・沖縄から北は北海道まで、いや海の向こうの地まで多くの賛同者を結集したいと願う。署名用紙など関係資料は下記のアドレスからダウンロ−ドして下さい。

 

 

 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です」(『春と修羅』序)―。宮沢賢治は自らを“現象”と位置付けているから、言ってみれば永遠に不滅の存在である。というわけで、いつでもどこでもひょいと姿をみせる“神出鬼没”ぶりがこの天才の稀有なる持ち味である。

 

 高木仁三郎(物理学者)、井上ひさし(作家)、中村哲(医師)、吉本隆明(評論家)、むのたけじ(ジャ−ナリスト)、色川大吉(歴史家)…。賢治の影響を受けた人材に贈られる「宮澤賢治賞・イ−ハト−ブ賞」には分野を超えた顔ぶれがキラ星のように並んでいる。14年前、賢治賞の授賞式に臨んだ際のその人の第一声がまだ、頭の奥に刻まれている。

 

 車いすに乗って登壇した吉本さん(故人)は「ぼくはこれまで、いろんな人の悪口を言ってきましたが、言わなかった人っていうのは、宮沢賢治ぐらいです」と切り出した。「古事記」や「遠野物語」に着想を得た代表作『共同幻想論』は全共闘世代のバイブルとも呼ばれた。のちには『宮澤賢治』のタイトルで、独自の賢治論も展開した。「ぼくの好きな宮沢さんの『雨ニモマケズ』という詩が学校の天井に貼ってありました。ぼくはいつでもその下でそれを眺めていました。これはどういう人で、どういうことを考えていたかということを、毎日のように思っていました」―。戦後最大の知の巨人ともいわれた人のこの“賢治”体験に虚を突かれたことを覚えている。

 

 「この土地で『なぜ20年も働いてきたのか。その原動力は何か』と、しばしば人に尋ねられます。人類愛というのも面映(おもはゆ)いし、道楽だと呼ぶのは余りに露悪的だし、自分にさしたる信念や宗教的信仰がある訳でもありません。良く分からないのです。でも返答に窮したときに思い出すのは、賢治の『セロ弾きのゴ−シュ』の話です」―。4年前、アフガニスタンでテロの凶弾に倒れた医師の中村さん(享年73)は2004年、イ−ハト−ブ賞を受賞した際、現地からこんなメッセ−ジを寄せた。その11年後に同賞を受賞したアニメ作家の高畑勲さん(故人)は同じ作品をアニメ化した。

 

 「『春と修羅』には、コロナ禍におかれた私たちが文明社会の中の人間というものを捉えなおす上で非常に重要な言葉が書かれている。まず、冒頭で『わたくし』は『現象』だと言っている。これは『わたくし』という生命体が物質や物体ではなく『現象』である、それはつまり自然のものであるということ」(『ポストコロナの生命哲学』、要旨)―。コロナパンデミックの渦中にあった2021年9月、生物学者の福岡伸一さんは共著の中で、こう語った。このウイルスの謎を解く水先案内人がまたしても賢治だという指摘にびっくりした。

 

 「宮澤賢治とは一体、何者なのか」―。こんな認識を共有する仲間たちが「イ−ハト−ブ図書館をつくる会」を結成し、他の市民団体と一緒に全国に賛同の署名を呼びかけています。現在、当市では新図書館の建設をめぐって、「JR花巻駅前か旧花巻病院跡地か」という“立地”論争が続いています。同会など市民団体は賢治が生前、教鞭を取ったゆかりの地でもある「病院跡地」への立地を望んでおり、私も同じ気持ちです。

 

 「イ−ハトヴとは一つの地名である。強て、その地点を求むるならば、大小クラウスたちの耕していた、野原や少女アリスが辿った鏡の国と同じ世界の中、テパ−ンタ−ル砂漠の遥かな北東、イヴン王国の遠い東と考えられる。実にこれは著者の心象中に、この様な状景をもって実在したドリ−ムランドとしての日本岩手県である」(『注文の多い料理店』広告チラシ)―。賢治は自らの理想郷(イ−ハト−ブ)を称して、ずばり“夢の国”(ドリ−ムランド)と呼んでいます。

 

 私たちはいまこそ、「賢治ワ−ルド」をいっぱい詰め込んだ新図書館を実現したいと心から願っています。ご理解とご協力をお願いいたします。

 

 

 

 

(写真はありし日の吉本さん。“共同幻想”現象を巻き起こした原点は賢治だった=インターネット上に公開の写真から)

 

 

 

《追記》〜市民力、全開!!〜病院跡地への立地を求めて、署名運動

 

 花巻市内でフェアトレ−ド店を経営する新田文子さんが主宰する「暮らしと政治の勉強会」が今回の岩手知事選で全開、“市民力”の大切さを教えた。さらに、宮沢賢治ゆかりの地「イ−ハト−ブ」にふさわしい“夢の図書館”を目指した市民団体が全国規模の署名運動を展開中。署名用紙などのラウンロ−ドは以下のアドレスから。11月23日必着。

 

https://oimonosenaka.com/

 

 

 


2023.10.07:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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