日本列島…ついにメルトダウン:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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日本列島…ついにメルトダウン


 

 

 「空気」から「気配」へ―。「忖度(そんたく)」の生みの親となった「KY」(空気を読む&読まない)だったが、最近はその空気さえ希薄になり、この世に充満しているのは「気配」なのだという。善と悪、加害と被害、有と無、…こんな対抗原理がある日突然、入れ替わっていることに気が付く。犯人はどうもこの気配という代物みたいである。“潮目”はあの「トイレ」事件ではなかったかと私はにらんでいる。

 

 5月14日の衆院・予算委員会―。野党議員が「加計学園」問題を追及していた時、安倍晋三首相がトイレ休憩を求めた。突然の要求に委員会室に「え〜っ」という声があがった。「トイレにも行けないなんて、総理はかわいそう」―。この場面がテレビに映されると、ネット上にこんな声が行き交った。野党による「首相いじめ」という構図である。「森友・加計」問題で“疑惑”の渦中に置かれていた安倍首相がいじめの被害者に入れ替わった瞬間だった。記憶や記録がないという理由で「あった」ことが「なかった」ことにされ、後に「実はあったこと」が判明すると、その中身は改竄(かいざん)され……と卒倒してしまいそうな永田町劇を毎日のように見せつけられる日々だが、今度は本当に卒倒してしまった。

 

 加計学園の加計孝太郎理事長と安倍首相が面会したことを示す文書が愛媛県に残っていた問題で、当然のことながら双方は面会の事実を否定し続けてきた。いわゆる「愛媛県」文書には「加計理事長は国際水準の獣医学教育を目指す」と語り、「そういう考えはいいね」と安倍首相が応じた―という内容が記されていた。ところが、今月28日の衆参の予算委員会を前にした26日、加計学園側から「実はあの面会はなかった。獣医学部の誘致を有利に進めるための作り話だった」というメ−ルが報道機関に一方的に流された。そもそも「なかった」ことがあたかも「あった」ことのようにねつ造されたという珍事である。逆もまた真なり―。面会の事実を認めてしまったことに気が付かない「架空面会劇」…間抜けな“猿芝居”ではある。もう、卒倒するしかない。

 

 「首相とあたかも関係があるような説明をして、認可や補助金を得ようとする学校法人がいます。ご注意を」―。まずは首相官邸ホ−ムペ−ジでこう警告してはどうか、と朝日新聞の「天声人語」(28日付)が皮肉っていたが、事態はそう甘くはない。一方、地元・岩手日報の「風土計」(29日付)はダンテの『神曲』(地獄篇)を引き合いに出しながら、こう書いた。「究極のうそつきには、うそと真実の境界がない。自分の言葉で自分をだましてしまう」。マスコミの格好のネタ―「飛んで火に入る夏の虫」…とはこのことか。

 

 医師の鎌田實さんは自著『空気は読まない』の中にこう書いている。「空気は、人に、街に、時代に伝染する。じわじわ広がり、いつの間にか、気分を高揚させたり停滞させたりする。ときには、景気さえ左右し、経済を動かす。ときには、国を間違った方向に動かす。ときには、人間の行動や生き方までも、操っていく。まわりから浮きたくないと、必死で空気を読む。空気にとらわれる。結局、小さな生き方から出られない。気概を忘れていく。気が抜けていく。心が鬱々(うつうつ)としてくる。空気に流されるな。空気をつくり出せ。空気をよどますな。空気をかきまわせ。それが新しい生き方になる。それが新しい時代をつくり出す。信じていい。空気は…読まない」―。

 

  一方、「気配」の生みの親であるフリ−ライタ−の武田砂鉄さんは近著『日本の気配』の冒頭にこう記している。「本書のタイトルは『日本の気配』である。なぜ、空気ではなく、気配なのか。空気読めよ、とは言われるが、気配読めよ、とは言われない。気配なんて読めないからだ。今、政治を動かす面々は、もはや世の中の『空気』を怖がらなくなったように思える。反対意見を『何でも反対してくる人たち』と片せば、世の中の空気ってものを統率できる、と自信に満ち満ちている。『空気』として周知される前段階を『気配』とするならば、その気配から探りを入れてくる。管理しようと試みる。差し出された提案に隷従する私たちは、『気配』から生み出される『空気』をそのまま受け流す」(本書より)

 

 武田本の帯にはこうもある。「『空気』が支配する国だった日本の病状がさらに進み、いまや誰もが『気配』を察知することで自縛(じばく)・自爆する時代に?『空気』を悪用して開き直る政治家たちと、そのメッセ−ジを先取りする『気配』に身をゆだねる私たち」―これを称して、私は「メルトダウン」…国家の炉心溶融(ろしんようゆう)と呼びたい。

 

 ナチスドイツの宣伝相、ヨ−ゼフ・ゲッベルスはかつて、こう言い放った。「嘘も百回繰り返せば、真実になる」、「小さな嘘より大きな嘘に、大衆は騙(だま)される」―。

 

 

(写真は社会を読み解く鎌田本と武田本。いずれも現代ニッポンの危うさに警告を与える)

 

 

 

 

 


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