灯台下暗し(その4)…「新図書館はここっきゃない」!!??…:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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灯台下暗し(その4)…「新図書館はここっきゃない」!!??…
2022.11.22:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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JR花巻駅前か旧花巻病院跡地か―。新花巻図書館の立地場所をめぐる市側の態度表明に注目が集まる中、私は後者への立地を望む立場から、その理由を記した一文を岩手日報の「日報論壇」へ投稿した。掲載はまだ先になりそうだが、記者会見(24日)や花巻市立図書館協議会(25日)などこの問題を避けては通ることができない重要会議が迫っており、前倒しして当ブログに掲載することにした。また、同趣旨の寄稿文が同じ「日報論壇」に載っているので、参考までにコメント欄に添付する。
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目の前にこつ然と現れた広大な“空間”に身を置きながら、「図書館の立地はここしかないな」と直感した。花巻市は10月11日から27日まで市内17か所で新図書館の建設場所をめぐって、意見集約のための市民説明会を開催した。その第1候補に挙げられているのがJR花巻駅前のスポ−ツ店用地で、当局側はその取得に前向きな姿勢を見せている。
こんな折しもかつて、花巻城跡に隣接した旧総合花巻病院の移転・新築に伴って、24棟を数えた病棟が解体された結果、私たちは約100年ぶりに由緒ある遺跡など城跡のおもかげに接するという幸運に恵まれた。晴れた日には高台の城跡から霊峰・早池峰など北上山地の雄大な姿を望むができる。当該地は郷土の詩人で童話作家、宮沢賢治の作品にも数多く登場し、たとえば『四又(よまた)の百合』に出てくる“ハ−ムキャの城”とはすぐに、花巻城跡と察しがつく。
さらに、賢治が学んだ現花巻小学校と自らが教壇に立ち、“桑っこ大学”とも呼ばれた旧稗貫農学校に挟まれたロケ−ションはまさに「文教地区」にふさわしい立地条件と言える。現在「まなび学園」(生涯学習都市会館)として、市民に学びの場を提供している場所もこの地に隣接し、かつては賢治の妹トシが学んだ花巻高等女学校(県立花巻南高校の前身)の建物だった。これもまた、歴史の奇縁かもしれない。
実は「図書館法」(昭和25年4月)の生みの親が当地ゆかりの「山室民子」だということは地元でも余り、知られていない。慈善団体「救世軍」の創設者・山室軍平の妻で、花巻の素封家に生まれた旧姓・佐藤機恵子が民子の母である。民子は図書館法を起案するに当たって、生涯教育の大切さを訴えた。
1世紀という時空間をへて、今よみがえった「百年の記憶」と未来を見すえた「百年の計」と―。解体工事で全貌を現した「濁り堀」について、専門家グル−プは「一級品の貴重な遺構。現状保存が望ましい」と答申した。将来は原形を維持したまま、“歴史公園”として利活用できるのではないか。夢は広がるばかりである。いまこそ、山室民子の“遺訓”を生かすべき時ではないかと思う。花巻小学校とシニアが集う「まなび学園」の間にポッカリと浮かんだ空間。まさに、天啓(てんけい)とでも呼びたくなる、“生涯学習”の場にふさわしい環境ではないか。「天啓」とは「天(神)の啓示」を意味する言葉である。「魂の癒しの場」―。世界最古の図書館といわれるアレキサンドリア図書館(エジプト)のドアにはこう記されているという。
(写真は花巻城址の古地図。約100年ぶりに姿を現した堀跡(濁り堀)の西側に位置する広大な敷地が病院跡地=インターネット上に公開の写真から)
《追記》〜なぜ駅前?花巻の新図書館(コメント欄)
11月17日付の岩手日報「日報論壇」に花巻市在住の伊藤昇さん(80)の寄稿文が掲載された。「図書館とはなにか」という洞察に満ちた内容に感動した。合わせて、お読みいただきたい。