「見て見ぬふりができない」…暮らしと政治の勉強会Part2〜”他人事”からの脱却へ:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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「見て見ぬふりができない」…暮らしと政治の勉強会Part2〜”他人事”からの脱却へ
2022.04.17:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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「一緒になって、汗をかく。弱者にそっと、手を差し伸べる。見て見ぬ振りができないのが私の性分」―。花巻市内でフェアトレ−ド商品などの販売を手がける「おいものせなか」(新田史実子代表)が主催する「暮らしと政治の勉強会」Part2が17日に開かれ、先の市長選で惜敗した前花巻市議会議長の小原雅道さんが選挙選を振り返りながら、市政課題などについて話した。「さらば!おまかせ民主主義」を掲げた勉強会の第2弾で、小原さんは「行政も議会も常に市民から通信簿を付けられている側にあることを忘れてはならない。つまり、謙虚であることが最優先」と力を込めた。
「撃(う)ちてし止まん」、「進め一億、火の玉だ」…。私はふいに前日、宮沢賢治・花巻市民の会(阿部弥之代表)が開催した市民講座での光景を思い重ねていた。教材は賢治の「農民芸術概論(綱要)」で、「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という一文で知られる作品である。質疑の場で私はメッセ−ジ性の高い詩「雨ニモマケズ」に今次のウクライナ戦争をからめた、「弾ニモマケズ」と題するパロデイがネット上で行き交っている事例を紹介(3月11日付当ブログ参照)。上田東一市長が「いいね」と応答したことについての感想を求めた。
参加者の多くが年配者だったせいもあるが、冒頭のような戦時スロ−ガンを例に挙げ、「賢治は詩の中で(戦争などの)争いごとは『つまらないから、やめろ』と言っている。まるで、戦争を煽(あお)りたてるような無神経さにゾッとした」、「世界平和を訴えるイ−ハト−ブ(賢治が目指した理想郷)のトップの資質に絶望した。恥ずかしい」…。ある参加者が「表現の自由がある」と反論したのに対し、「それとこれとはまったく別次元で、ある意味で賢治を愚弄するものだ」と盛り上がった。「賢治の理念が今回のような危機とどうリンクできるのか、あるいはできないのか」―。私は最近ずっと、こんなことを考え続けている。質問の趣旨はそのことだった。一方で、東日本大震災の際に「雨ニモマケズ」が追悼歌として、英訳されたという記憶も脳裏の片隅にあった。
上田市政はその後、ウクライナの人道支援のため「イ−ハト−ブ花巻応援基金」(ふるさと納税)を通じた寄付金を募ったり、避難民の受け入れを表明しているが、どうしても“後だしジャンケン”の印象はぬぐえない。小原さんの話を聞きながら、出馬時の初心を思い出した。この人がトップに座っていたならば、愚劣な”パロディごっこ“は決して起きなかっただろうと改めて思った。この日の勉強会には定員の12人が参加。「これまでの自分の無関心を反省している」、「コロナや戦争などいま、時代は大きな転換期を迎えている。多様性を排除してはならない」…など活発な意見が相次いだ。私の独りよがりかもしれないが、そこに通底するのはやはり「イーハトーブ花巻」の実現を標榜する当市の未来に対する不安のように感じた。「ワクワク花巻/まちづくり/ひとづくり」のスローガンを掲げた小原さんの出馬の弁がいまさらながら、輝いて見えた。
「優しさって、なんだろう。それは宮沢賢治さんの『雨ニモマケズ』にある、たくさんのことを見てたくさんの声を聴いて、お互いに理解し合い考えて行動する。それが私の考える優しさです。子どもたちには夢を、若者には希望を、お年寄りには安心を。誰ひとり残さない!優しさを後回しにしない!」(リ−フレットより)
(写真は久しぶりに元気な姿を見せた小原さん(一番奥)=4月17日、花巻市上小舟渡の「おいものせなか」で)
《追記―1》〜「おまかせ民主主義」からの脱却
本日の勉強会に出席した「gakusei?」を名乗る方から、以下のようなコメントが寄せられたので転載します。
「全くその通り。本日参加させて頂きました。今の市長はトップに立つ人間の器にありません。ほとんどの市民がそれを知らず、彼に票が集まりました。投票率の低下も問題ですが、その裏には『期待しても変わらない、今までもそうだった…誰がなっても一緒だ』というような諦めもあるのではと考えています。私もかつてそう思っていました。小原さんならその人柄と行動力で、地域や市民を変えていけるのではと希望が持てました。私たち市民も、行政に任せっきりにするのではなく行動に移していって、花巻の魅力を伝えて行く事が大事だと感じました。面倒臭い、分からないではなく、政治に関心を持ってどんどん首を突っ込んでいきたいです」
《追記―2》〜主催者のブログから
勉強会の詳しい内容について、主催者「おいものせなか」のブログ(17日付)に掲載されたので、全文を以下に転載します。
※
今日は、「暮しと政治の勉強会」の2回目が行われました。参加者は12名で、皆さん花巻を良くしたいという想いの方たちです。ゲスト講師は小原雅道さんです。はじめにまさみちさんから、テレビ局の報道マンから議員になった経緯も含めての自己紹介の後、参加者の皆さんからの質問や意見で盛り上がりました。早速、前回講師の増子義久さんがブログにUPしました。ヒカリノミチ通信 http://samidare.jp/masuko/
勉強会では、花巻市長の上田さんの3期目当選後の横暴ぶりを心配する声もありました。3月議会で、市民説明会では声が大きい人は遠慮してもらい指名制にすると市長が公言したのです。反対する市民の意見は排除するというとんでもないことを議会で述べたと。びっくりです。また、参加者の一人は東和町の民俗資料館が閉館するのを憂えて、子どもたちの学習の場にリニュ−アルしたらどうかという市民の意見を市民懇談会(市長との対話)で発言したら、市長が途中でキレて「どれだけ金がかかると思ってるんだ―。そんなの自分でやれ―」とすごい剣幕で怒ったと。その場にいた市職員は黙っていたそうです。
前にも、市民懇談会で意見や提案をすると市長に怒られたと聞いてはいましたが。そんな話が次々出てきて、あらためて市政の監視が必要だと感じました。皆さんの市政や市長のやり方への不満も出ましたが、肝心なのは、これからどうしたら活気ない花巻を良くしていくかです。花巻はたくさんの温泉、宮沢賢治、高村高太郎、空港、新幹線と他にはないいい資源に恵まれているのに、それにあぐらをかいて、まちづくりに努力していないと皆さん共通の意見です。
いろいろな話が出て、時間が足りないくらいで、最後にまさみちさんいわく、「行政はまちづくりに大事だけれど、あてにしないで」、「市民の意識や声がまちを変えていく」のだと。そして、今回よくわかったのが、まさみちさんの人柄の良さです。市議会議長を退任され、市長選で敗れて、次の動きを聞きたい参加者の質問には明言は避けましたが、これだけは言えることは、「人の役に立ちたいということです」ときっぱり。またこういう勉強会をやってほしいという声で30分超過で閉会でした。まさみちさん、みなさん、ありがとうございました。