ダブルチョンボの合わせ技で一本勝負…あぁ、無情の「イ−ハト−ブ」…が、実は本当だったというお話し…1抜けた、2抜けた〜底抜けた!?:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
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ダブルチョンボの合わせ技で一本勝負…あぁ、無情の「イ−ハト−ブ」…が、実は本当だったというお話し…1抜けた、2抜けた〜底抜けた!?
2019.11.07:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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「これじゃ、まるでエイプリルフ−ル(4月1日)ならぬ“ノベンバ−フ−ル”(11月1日)じゃないか」―。月初めのその日に相次いで勃発した“椿事(ちんじ)”に私は思わず、わが目を疑い、ついには卒倒してしまった。地方行政の基本原則…二元代表制の両翼を担っているはずの花巻市と花巻市議会の「ダブルチョンボ」である。
朝起きるとまずパソコンを開け、花巻市のHPを点検することが議員時代からの習い性になっている。その日、ふるさと納税の11月分の返礼品の追加分として、象牙の印鑑がリストに加えられていた。密猟などによって、アフリカ象が絶滅の危機にさらされているという新聞記事が記憶の片隅に残っていたせいかもしれない。一瞬、ワシントン条約との関係で大丈夫かなという思いが頭をよぎったがその時はそのまま、やり過ごした。そして、夕方に何げなくHPを開いてみると、あれっ、その記述がそっくり、消えてなくなっているではないか―。あの“エアガン”騒動(8月9日付当ブログ「真夏の夜の“ミステリ−“…上田城、ついに落城か!?」参照)の悪夢がむっくりと目を覚ました。
ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の取引に関する条約)は1975年に発効し、現在は日本を含めた182か国とEUが締約国に名を連ねている。象牙の国際取引は原則禁止とされ、今年夏に開かれた第18回締約国会議ではケニアなどから「国内市場の完全閉鎖」が求められるなど、象牙取引をめぐる環境はますます厳しさを増している。今回の会議では完全閉鎖は見送られたものの、日本などに対して密猟や違法取引(密輸)をなくす対策の実施状況の報告を義務付けた。象牙は印鑑やアクセサリ−、数珠(じゅず)、彫刻品などに加工され、とくにアジアでは古くから貴重な工芸品として珍重されている。現在、日本国内の在庫は取引禁止以前に輸入されるか、特例として持ち込まれた象牙がほとんどで、その加工や販売に違法性はない。
今回、ふるさと納税の返礼品に出品されたのは市内の印房店から申請があった直径15ミリメ−トルの丸型印鑑や実印と認印、銀行印が三本セットなった数量限定品で、たとえば10万円の寄付に対しては三本セットが返礼されることになっていた。応募開始前に不都合に気が付いたため、“エアガン”騒動の際に申し込みが殺到したような”実害”はなかった。突然、リストから削除したことについて、定住推進課の菊池郁哉課長は「法的に問題はなく、他の自治体でも同じ品を提供していることもあったので…。ワシントン条約については正直、無知だった。ただ、前例(エアガン騒動)もあるので、今後は担当職員全員で慎重に精査したい」と話している。
一方で、花巻市当局がHP上にリストアップしたちょうどその日、インタ−ネットのプラットフォ−ム・国内最大手の「ヤフ−」はショッピングサイトやオ−クションサイトでの象牙関連商品の取引を禁止する措置に踏み切った。楽天やメルカリなどの同業種も2年前に出品から撤退している。「以前、当社のサイトを通じて取引された象牙が外国に違法に持ち出されたケ−スがあった。条約の精神を無視することはできない」というのがヤフ−関係者の言だが、「民」と「官」との認識の乖離(かいり)には「どてびっくり」(ノックアウト)である。つまりは“エアガン”騒動の時もそうだったが、過度な返礼品(地場産品)競争がずさんな選定につながったということなのだろう。と、話はここで打ち止めになるはずだったのだが…
同じ11月1日発行のはなまき市議会だより「花の風」を開いて、またのけぞってしまった。広報広聴特別委員会(瀬川義光委員長ら9人の議員で構成)の委員たちが持ち回りで担当する「連載シリ−ズ」の第5回目に「地球温暖化/今世紀末には海面は1・1m上昇する」という大見出しがおどっていた。野生動植物にとっても「温暖化」は大敵である。すわ一大事と、本文を読み進むうちに本当に卒倒してしまったという次第である。「1・1m」の数字の根拠がどこにも出ていないという摩訶(まか)不思議に遭遇したのである。
今年9月下旬、国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は「有効な対策が取られないまま、地球温暖化が進むと今世紀末に世界平均の海面水位は最大で1・1m上昇する」とする認識を公表した。私が調べた結果、数字の根拠はこれしか見つからなかった。ところが、このことに関する記述が本文には一行もなかったのである。
新聞記者の端くれだった私にとって、「見出しは新聞の生命線」という思いが強い。専門部署の整理部(当時)が記事の内容をいかに見出しに凝縮させるか…悪戦苦闘している姿をいまも思い出す。「まずは見出しで読ませる」―が新聞メディアの鉄則なのである。ましてや、記事にないことを見出しに取るような事態に際しては「お詫びして訂正します」という謝罪文の掲載は必至で、場合によっては当事者の処分に発展することも少なくなかった。つまり、本来はあり得ない「想定外」が今回、実際に起きたということである。筆者は広報広聴特別委員でもある共産党所属の久保田彰孝議員。時代を先取りする前向きな姿勢には敬意を表したいが、「フェイク」(嘘)は許されない。次号でその経緯を明らかにすることを期待したい。
それにしても、と近頃つくづくと思い知らされる。宮沢賢治の理想郷「イ−ハト−ブ」をまちづくりの基本に掲げる我がふるさとの土台はとうに崩壊してしまっているのではないか……と。それとも、我われ市民の方がなめられているのだろうか。まったくもって、あぁ、無情である。
(写真は密猟や密輸で絶滅の危機にさらされるアフリカ象の象牙の山=インタ−ネット上に公開の写真から)
《追記》〜泣きっ面にハチ…本当だった「あぁ、無情!?」
免停中の花巻市の消防士(26)が6回にわたって、救急車の運転(救急出動)をしていた事実が8日明るみに出て、上田東一市長ら幹部が深々と頭を下げる姿がテレビに映し出された。HP上に掲載された経緯によると、この消防士は今年6月末、東北自動車道でスピ−ド違反を犯し、罰金刑を言い渡されていた。花巻市交通安全対策協議会が主催する「交通安全コンクールチャレンジ100」に、この消防士が参加していたことから発覚した。当ブログで言及した「イ−ハト−ブ」の崩壊が図らずも証明されるという皮肉な結果になった。このニュースはあの”エアガン”騒動に続いて、全国のメディアで一斉に報じられた。コンプライアンス(法令遵守)に厳しい上田市長は以下のようなコメントを発表したが、後日のために全文を掲載する。なお、今年1月には同市の別の消防士(21)が女性に乱暴(強制性交等未遂)した疑いで逮捕されるという事件も起きている。
「市民の安全・安心を守るべき立場にある消防士が、免許停止期間中の救急車の運転を含む重大な交通違反行為を行ったことは、市民の皆様の信頼を大きく損ねるものであり、心よりお詫びを申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。花巻市としては、本件に関する警察の捜査に協力するとともに、捜査の進展を見守りつつ当該消防士に対しては厳正な処分を行い、また、消防職員の運転免許の保持・有効期限の確認を徹底するなどの再発防止策を講じ、職員一丸となって職務にまい進し、一日も早く市民の皆様からの信頼を回復できるよう努めてまいります」