山下浩一郎先生にインタビュー【伝国の杜こども狂言クラブ】:置賜の宝発掘プロジェクト(仮称)

置賜文化フォーラム
山下浩一郎先生にインタビュー【伝国の杜こども狂言クラブ】



           



今回は、伝国の杜こども狂言クラブの発足当初からご指導をご担当されている和泉流狂言師の山下浩一郎先生にインタビューしたお話を掲載致します。
こども狂言クラブの山下先生による稽古(6/23)の様子はこちらをご覧ください。


■伝国の杜こども狂言クラブ ご指導者 和泉流狂言師 山下浩一郎先生インタビュー



山下浩一郎先生
和泉流狂言師
Q.こども狂言クラブのご指導をすることにあたって、大切にされていること、心がけていることはございますか?


子ども達に狂言を教えていく上で、狂言を突き詰めていく使命感、ミッションを持ちながら指導しています。

一番は、狂言を通して日本を知ってもらうことです。
狂言は和装に親しみますので、足袋の履き方だったり、着物の着付けの仕方だったり、私たちの生活の周りに当たり前のようにある、日本そのものを知って欲しいという思いがあります。

こども狂言クラブの活動では、着物を着せるのは親御さんになります。
ですが、最近は親の世代も着物の着方を知りません。
狂言クラブの子ども達の親御さんからも、「着物の着付けがわからないので、教えてください。」と言われることも多いです。
親御さんも着物の着付けを学び、そうすると狂言以外の場においても、例えばお祭りの日に子どもに、日本の伝統である着物を着せていこうという気持ちになると思います。

着物の着方など、子供から質問されたりする際、答えられないのでは子どもの鏡になりませんから、親御さんも子供に教えるためにいろいろと調べるように努力をします。

このことは狂言に限らず、あらゆる場面においても子供に聞かれたらなんでも答えられるようにならなくてはならないと思います。
そういった面でも、親御さんにも学んで頂くことで、親御さんと子ども達が一緒になり、成長していくのが狂言です。

狂言を通して、狂言以外の伝統を学んでいって欲しいという思いがあります。
神社のお参りの仕方や生活においてなど、全てにおいて言えることなのです。

いずれ狂言クラブの子ども達が成長し、大人になり、日本以外の国に行く機会も出てくるかもしれないです。
日本を知り、理解し、日本の文化をリスペクトする心を持っていたら、日本以外の文化に触れたとき、はじめて相手の国の文化もリスペクトすることができます。

”文化の違いが理解できない”ではなく、”日本の文化はこうだが、相手の国の文化にはこういった部分がある”と思いやりを持つことができると思います。


Q.山下先生にお話を伺ってる際、山下先生に「伝統芸能」とは何だと思いますか?と質問を投げかけられました。山下先生はこうおっしゃいました。

伝統芸能というのは、アイデンティティ。
自我の確立であり、自分とは何者なのか?と考えさせられる原点だと思います。
その一つが伝統であり、将来、わが国日本で生きていくうえで子ども達が支えられる原点になります。


Q.私たちが日本で生まれ、日本で育ち、日本の伝統を知ることで、自分が何なのか。を振り返る原点になるのですか、深いお話をありがとうございました。
子ども達に教えるにあたって、簡単なことばかりではないと存じますが、難しいと感じたことはございますか?


狂言自体が、日頃の私生活と距離がありすぎることが教えるにあたって一番難しく感じます。
子ども達に狂言を好きになってもらうことが一番ですので、狂言を好きになると、自然と狂言そのものをリスペクトすると思いますので、まず狂言を楽しいと思って取り組んでもらえたらと思います。


―ありがとうございました。


■取材を終えて

狂言から派生し、学べることは世界へ目を向けるまでに及び、その規模は計り知れないです。
山下先生の熱心なご指導が子ども達にも伝わっているのだと思います。
こども狂言クラブの今年度の活動は演目は決定したものの、練習等は始まったばかりです。
これからが子ども達の頑張りどころだと思いますので、これからも密着取材したいと思います。


さて、本日は白鷹町の八乙女八幡神社の「八乙女の舞」の取材に行ってきます。
「八乙女の舞」は、小学校5、6年生の8名が舞う「子ども伝統芸能」です。
高畠町の安久津八幡神社の舞とは、違う種類の舞のようですので、同じ巫女舞でもどのように違うのか・・取材が楽しみです。
こちらも追ってブログでもお伝えしますね。


置賜文化フォーラム編集員の文化リスがお送りしました。








2013.07.12:Copyright (C) 置賜文化フォーラム
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