勝天10 『長男なのになぜ与六』:山形の歴史・伝統

山形の歴史・伝統
勝天10 『長男なのになぜ与六』


喜平次 「与六、わしらの芝居が好評なようじゃぞ。」

与 六 「はい。喜ばしい限りです。そういえば、第1話で野うさぎを連れてきた子供のころのお船。」

喜平次 「うむ。お船がどうした。」

与六  「あの子は、西洋の楽器が弾けるそうでございます。」

喜平次 「ほほぉ。どのような楽器じゃ?」

与六  「6つの弦を使った琵琶のような楽器にございます。なんでも『学園天国』という歌もうたうそうです。」

喜平次 「怪しい。もしや他局の廻し者ではあるまいな。」

与六  「なにかのカラクリを使ったのかもしれませぬ。」

喜平次 「からくりテレビだけにか。」

与六  「おそれいりましてございます。」

喜平次 「ところで、前から気になっておったことがある。」

与六  「はい。」

喜平次 「そなた、長男なのになぜ名前が『六』なのじゃ?弟も与七じゃし。」

与六  「それをいったら、喜平次さまも御当主なのに『次』ではありませぬか。」

喜平次 「わしには、10歳でこの世を去った兄がおった。じゃから、次男で喜平次。問題なかろう。」

与六  「なるほど。実は私の名は、長尾政景公からいただいたものでございます。」

喜平次 「ほほぉ。わが父から。」

与六  「ご承知の通り、お父上のお名前は『六郎』でございました。」

喜平次 「うむ。じゃから、一字とって与六か。」

与六  「左様でございます。」

喜平次 「それにしても、のちにわしと謙信公の跡目を争う上杉景虎。あやつも北条の七男なのに三郎じゃのう。」

与六  「何か言われがあるのかもしれませぬ。もしくは、太平の世を望んだとか。」

喜平次 「それは、どういう意味じゃ。」

与六  「太平サブロー・・・。おあとがよろしいようで。」

喜平次 「跡目を争っただけにな。」


与六の名前については、あくまで一説。

長尾家嫡男は、先祖代々「六郎」を名乗ります。

政景公が、樋口惣右衛門兼豊の長男誕生を祝って自分の幼名である「六」を与えて「与六」とした、という説です。

北条三郎が七男なのになぜ3なのか、についてご存知の方、ぜひ教えてください。

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