勝天6 『長尾政景の溺死の謎』:山形の歴史・伝統

山形の歴史・伝統
勝天6 『長尾政景の溺死の謎』


「天地人」の第1話で冒頭にいきなり死んでしまったのが、坂戸城主の長尾政景公。

あまりにもいきなりだったので、状況を把握できない視聴者の方もいらっしゃったかもしれません。

文献に伝わる彼の死因は、「舟遊びをしていて溺死」。

たくさんの家臣がいるであろう城の主が、溺死って・・・。

しかも、舟遊びって・・・。

どんだけ酒飲んだの?と、最初は思いました。


しかし、調べれば調べるほど、その死は謎に満ちています。


場所は、「野尻池」と書かれている書物が多く、「え?長野の野尻湖?」と勘違いしがちです。もちろん、長野県ではありません。

では、どこでしょう?


写真は、長尾政景公のお墓。

2m近く土が盛られ、一段高くなっています。

そのそばにある看板には、こう書かれています。

野田尻淵(銭淵説が有力)。


坂戸城のふもとを流れ、外堀の役目を果たしていた魚野川。

坂戸山裾にぶつかり大きく蛇行し、渦巻いていたところが銭淵でした。

坂戸城の山の真下、すぐそこという位置です。


過去形なのは、今は埋め立てられたため、昔と地形が異なっているからです。

先日、現場といわれている場所周辺を見ました。

今では銭淵公園という公園になっていました。

公園内に池があり、噴水が出ています。

ここで亡くなったんでしょうか?

今では、地形が変わってしまったので、何ともわかりませんでした。

それまで持っていたイメージは、「池」でしたが、現場を見て「川」もしくは「淵」という印象に変わりました。

はたしてゴボゴボッ・・・と人間が縦に沈んでいくほど深かったのかは、疑問です。

昔は、深かったのかな。

川の流れでえぐられて深かったのかもしれませんし、渦を巻いていたのかもしれません。


それ以上に疑問なのは、家来がいるはずなのに溺死するか?です。

家来が見ている中で、大人が船から落ちて溺れる・・・考えにくいシチュエーションですよね。

これには、いくつかの説があります。

1.舟遊びの最中、酒に酔っていたため溺死した説。

ドラマになんないですよね。


2.謙信による暗殺説。

謙信の配下になる前は、政景は謙信と争っていました。

配下になったものの、謙信が自分の家来に命じて暗殺させたという説です。


3.宇佐美定満、あるいは下平秀広などによる謀殺説。

天地人は、この宇佐美定満説ですね。

前述のお墓の近くの看板には、「千手城主・下平吉長により・・・」とありました。

様々な説があるわけです。


同船していた家臣(国分彦五郎)の母の後日談では、引き揚げられた政景の遺骸の肩下には傷があったという。

ちなみに彦五郎はこの事件で一緒に死んでいます。


本当に謎が多く、誰がどういう思惑で・・・と考え出すと気になって仕方がありません。

ちなみに、政景の上田長尾家の家督は、長男が若くして亡くなったため、次男の喜平次顕景(のち上杉景勝)が継ぎました。

しかし、第1回のドラマの通り、喜平次は謙信の養子となってしまったため、後継ぎがいなくなり、無嗣断絶となりました。

さて、あなたはこのミステリーをどう考えますか?
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