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●赤湯八幡神社の白檀塗りの獅子頭
金泥に「透(すき)」(飴色のクリアー)を塗りタテガミを植えて完成
透(飴色のクリアー)を塗る前
赤湯の烏帽子山八幡神社の獅子頭をモデルにして獅子頭を制作中である。二回り小振
りの獅子頭に仕上がる予定である。
現在八幡神社には大型の獅子頭が二頭あるが、神社火災消失前には江戸期高畠金原の
原田弥市の作の獅子頭が所蔵されていたと言う記録があった。
赤湯八幡神社の明治の獅子頭
(獅子宿燻亭9 置賜の大獅子2)
https://ssl.samidare.jp/note/?p=detail&l=511804&tl=&lo=&op=&c=&off=&kw=
(獅子宿燻亭7 弥市の植えた椿)
https://ssl.samidare.jp/note/?p=detail&l=449468&tl=&lo=&op=&c=&off=&kw=
弥市の制作した獅子頭は初代の獅子頭かどうかも不明であり、現在は写真もなく手掛かり
は無いが、獅子舞の様式から考えると現存する獅子同様の大型の獅子だったのだろう。
さて、獅子頭はとあるご縁で個人の方からの依頼で、赤湯の八幡様の明治六年 谷 直隆の
獅子頭を手本に小振りの獅子頭を制作した。獅子頭の塗りが特殊な塗りで「白檀塗り」
である。2代目の平成16年の作は秋田川連の佐藤克之の作は明治の作とは違い、形も塗り
もまた別の作風と漆芸技法だった。
宮内熊野神社初代の獅子頭 目尻や鼻先辺りに薄っすら箔が見える
(国指定文化財サイトの写真引用)
宮内熊野神社の初代の獅子頭は、一見漆黒に見えるが白檀塗りで、何回も塗り重ねによっ
て銀箔及び金箔が見えにくくなっている。芸工大で二作目を制作したが、その事は認識さ
れないまま黒に塗られてしまったのは残念である。
二井宿大社神社の白檀塗りの獅子頭
以前取材した、高畠町二井宿大社(おおやしろ)神社の獅子頭は見事な白檀塗りで幕末米
沢の仏師 桂八郎の作ではないだろうか。二井宿と原田弥市の住む金原新田とは山一つ越え
た集落で時代も同時期である。二井宿大社神社の白檀塗りの獅子を見て、弥市が白檀塗り
の赤湯八幡神社の獅子を納め、その後焼失したが、白檀塗りは再興された明治六年の獅子
に繋がったのではないか?
また二井宿大社の獅子は宮内熊野神社の獅子頭の白檀塗りに影響されたとも考えられる。
桂八郎は宮内熊野所蔵の白木の獅子頭を制作していると推測されるからである。
大幕の中央に大型の獅子頭を取り付け練り歩く赤湯烏帽子山八幡神社の獅子舞と同様の様
式の獅子舞といえば、高畠町深沼の八坂神社の大正期の獅子頭も白檀塗りである。地元の
漆職人が手掛けている。箔の置き方もそれぞれ個性が見られる。
白檀塗りは銀箔や金箔、銀泥や金泥、金銀のフレークを貼り、その上塗りに飴色の透明な
透き漆を塗って仕上げる。その金銀の反射が独特の輝きを発する。
比較的金箔より安価な銀箔の上に塗る透き漆によって金箔に見せる技法もあり、関東の大
型の金獅子はこの技法を使ってコストを抑える獅子頭もあるというが判別が難しい程だ。
今回、初めて試験的にこの技法の効果を見る為に、金泥とカシュー塗料の「透」を使って
再現してみた。本年3月に納品した勧進代總宮神社の森助獅子の眼も漆工の白檀塗りの一
種である。
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2024.11.18
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(C)
獅子宿燻亭10
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