菅野園は農農業機械を更新できるか?:ヤマガタンAnnex|山形の農業〜農林水産
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菅野園は農農業機械を更新できるか?
昨日、コンバインの整備代金の見積もりと、新しい機械を紹介するカタログをもって農業機械屋の村さんがやって来た。見たらコンバインの整備代金が90万円。勧められた新しいコンバインがなんと500万円。コンバインとは田んぼの中を走る稲刈り機械のこと。前に刃がついていて茎ごと刈り取り、瞬時に脱穀し、モミはタンクに、茎を小さく切断して田んぼにバラまいていく、そんな機械だ。足回りはキャタピラーでできている。
「エーッそんなの無理だ!毎年、絶望的に安い米代金が続いているのに、そんなお金があるわけがない。」と思わず叫んでいた。
昨年の秋は雨続き。稲刈りには最悪の環境だった。田んぼがぬかるんでコンバインが動けない。足回りはキャタピラーだからぬかるみには強いのだが、それでも田んぼのあっちこっちで立ち往生している姿を見かけた。機械が壊れたとの話も聞いた。我が家でも故障をおこし、田んぼまで何度か村さんに来てもらっていた。なにせ、3条刈りのコンバインを中古で手に入れたのが10年ほど前。以来、丁寧に使ってきたとはいえそろそろ故障が出てもおかしくない頃だ。今年は何とか稲刈りを終えたが、きっと機械には多くの不具合ができているだろう。そこで来年に備えて機械屋に点検と整備した場合の見積もりを頼んでいた。あえて修理ではなく、見積もりとしたのにはわけがある。安くおさまればいいが、もしも高い修理代となった場合、この機械は高額の修理に値しないのかもしれない、すでに寿命が来ているのかもしれないとの考えがあったからだ。
コンバインの一日の稼働時間はせいぜい6時間。モミ乾燥機の容量もあり、それを面積に置き換えれば40a(100m×40m)。年間稼働日数は我が家の場合、11日間で足りる。実際には1か月近くかかるのだが、あくまで稼働日数を言えばこんなもんだ。10年間で110日。もしここで廃棄となれば、130万円で買った中古のコンバインの寿命が10年で尽きたということになる。高額の割には稼働期間が短い。だからと言って機械の共同化はやりにくい。稲も作物、刈りとりには適期があり、またお天気にも左右されやすいので刈りたい時が重なるからだ。
「菅野さん、ここはよ〜く考えてくださいよ。90万円かけて整備する価値があるかどうか。古い機械だから部品がそろそろ切れる頃でもあるしな。」と村さん。
我が家には3つの選択肢が準備されているというわけだ。90万円で修理を行い、なお古いコンバインを使い続けるか。または新しい機械を500万円で買うか。あるいはもう一度中古のコンバインを探してくるかだ。
村さんは「古いコンバインは論外だ。中古も当たりはずれがあって勧めない。菅野さんには若い後継者がいるのだから、やっぱりここは新しく買った方がいいと思うよ。」と言う。機械屋が新しいコンバインを買えというのは当然だろうが、そうは行かない現実があるんだよなぁ。
今年のJAへの売り渡し価格は1俵(玄米60kg)で13,000円前後だ。だけどその生産費は15,000円ぐらいかかっている。農水省東北農政局が言っているのだから間違いはない。生産原価を割って販売する状態がすでに10年以上続いていて、産業としてはまったく成立していないのだ。稲を刈るだけの500万円もする機械などとても買える状態にはない。もし、私に後継者がいなければ稲作はここで終わりだろう。残りの機械をすべて売りに出して、販売農家としては廃業する道を選ばざるを得ない。
だが、幸か不幸か・・・いや、幸いにもだ。我が家には、殺菌剤ゼロ、殺虫剤ゼロ、化学肥料ゼロを基本とした稲作に情熱を燃やし、直に消費者の台所とつながることで何とかこの苦境を乗り越えようとする若い後継者がいる。息子だ。そのような道を歩もうとしているからと言って決して先が明るいわけではないが・・。
500万円は重すぎる投資であることには変わりはない。
悩ましい現実が続く。
(拙文・月間「地域人」大正大学出版会・おきたま通信「百姓の独り言」より
2017.04.04:Copyright (C)
ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
コメの赤字の処理について
素人からの質問です。
よろしければお教えください。
「コメは原価割れの販売」とのことですが、その差額はどうやってカバーしているにでしょうか。
箭内(やない)東京の一市民
2017.04.17:箭内克寿:
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昨日、コンバインの整備代金の見積もりと、新しい機械を紹介するカタログをもって農業機械屋の村さんがやって来た。見たらコンバインの整備代金が90万円。勧められた新しいコンバインがなんと500万円。コンバインとは田んぼの中を走る稲刈り機械のこと。前に刃がついていて茎ごと刈り取り、瞬時に脱穀し、モミはタンクに、茎を小さく切断して田んぼにバラまいていく、そんな機械だ。足回りはキャタピラーでできている。
「エーッそんなの無理だ!毎年、絶望的に安い米代金が続いているのに、そんなお金があるわけがない。」と思わず叫んでいた。
昨年の秋は雨続き。稲刈りには最悪の環境だった。田んぼがぬかるんでコンバインが動けない。足回りはキャタピラーだからぬかるみには強いのだが、それでも田んぼのあっちこっちで立ち往生している姿を見かけた。機械が壊れたとの話も聞いた。我が家でも故障をおこし、田んぼまで何度か村さんに来てもらっていた。なにせ、3条刈りのコンバインを中古で手に入れたのが10年ほど前。以来、丁寧に使ってきたとはいえそろそろ故障が出てもおかしくない頃だ。今年は何とか稲刈りを終えたが、きっと機械には多くの不具合ができているだろう。そこで来年に備えて機械屋に点検と整備した場合の見積もりを頼んでいた。あえて修理ではなく、見積もりとしたのにはわけがある。安くおさまればいいが、もしも高い修理代となった場合、この機械は高額の修理に値しないのかもしれない、すでに寿命が来ているのかもしれないとの考えがあったからだ。
コンバインの一日の稼働時間はせいぜい6時間。モミ乾燥機の容量もあり、それを面積に置き換えれば40a(100m×40m)。年間稼働日数は我が家の場合、11日間で足りる。実際には1か月近くかかるのだが、あくまで稼働日数を言えばこんなもんだ。10年間で110日。もしここで廃棄となれば、130万円で買った中古のコンバインの寿命が10年で尽きたということになる。高額の割には稼働期間が短い。だからと言って機械の共同化はやりにくい。稲も作物、刈りとりには適期があり、またお天気にも左右されやすいので刈りたい時が重なるからだ。
「菅野さん、ここはよ〜く考えてくださいよ。90万円かけて整備する価値があるかどうか。古い機械だから部品がそろそろ切れる頃でもあるしな。」と村さん。
我が家には3つの選択肢が準備されているというわけだ。90万円で修理を行い、なお古いコンバインを使い続けるか。または新しい機械を500万円で買うか。あるいはもう一度中古のコンバインを探してくるかだ。
村さんは「古いコンバインは論外だ。中古も当たりはずれがあって勧めない。菅野さんには若い後継者がいるのだから、やっぱりここは新しく買った方がいいと思うよ。」と言う。機械屋が新しいコンバインを買えというのは当然だろうが、そうは行かない現実があるんだよなぁ。
今年のJAへの売り渡し価格は1俵(玄米60kg)で13,000円前後だ。だけどその生産費は15,000円ぐらいかかっている。農水省東北農政局が言っているのだから間違いはない。生産原価を割って販売する状態がすでに10年以上続いていて、産業としてはまったく成立していないのだ。稲を刈るだけの500万円もする機械などとても買える状態にはない。もし、私に後継者がいなければ稲作はここで終わりだろう。残りの機械をすべて売りに出して、販売農家としては廃業する道を選ばざるを得ない。
だが、幸か不幸か・・・いや、幸いにもだ。我が家には、殺菌剤ゼロ、殺虫剤ゼロ、化学肥料ゼロを基本とした稲作に情熱を燃やし、直に消費者の台所とつながることで何とかこの苦境を乗り越えようとする若い後継者がいる。息子だ。そのような道を歩もうとしているからと言って決して先が明るいわけではないが・・。
500万円は重すぎる投資であることには変わりはない。
悩ましい現実が続く。
(拙文・月間「地域人」大正大学出版会・おきたま通信「百姓の独り言」より