▼成田の三獅子2018/05/05 08:35 (C) 獅子宿燻亭7
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本日の山形新聞で成田の例祭の獅子舞いの紹介記事が掲載されていた。
気合い十分な角力の表情と大きく口を開けた迫力の獅子舞の写真もあった。幕の柄も見事に写っている。
その角力の飯沢氏が写真を送ってくれた。
成田八幡神社では例祭後の次の朝から片付けを行い、獅子連中で獅子頭のお清めを念入りに行う。
その際に、獅子頭のチェックを兼ね破損を確認する。
その写真には、中央の今回の獅子舞で用いた新しい獅子頭通称「渋谷2号」、その右が総代長所蔵の獅子
左端が今回新調の飯沢家の獅子頭である。
渋谷獅子1号2号の区別は前歯が揃ってるかと金箔の擦れ具合で分かる。2号は上の歯を前に出した表情で、グッと噛み締めている表情だ。
渋谷2号は何故か下の歯の金箔が擦れ、早くも地の黒が露出しまった。
まぁー、1号より軽くなったので動きが軽快になっての事だろう。
制作する時は1・2号共に同じ柳から生まれたので兄弟。
昨年納めた一頭は、総代長が所蔵している。1号は蔵に収めたあとらしく機会があったら四頭並べてみたいものだ。
三頭木地の大きさや彫師の体調も違っているので、ちょっとづつ表情が違う。
いずれも神社の獅子で一番古いとされる平吹獅子をモデルにしたものだが、目が慣れてくるというか形の読み込みまで時間がかかる。
二作目の獅子は、そのモデルの平吹獅子の良さを最大限引き出しながら、ちょっと渋谷テイストを織り込んでいるつもりだ。
それと耐久性の問題。あの激しい歯打ちで1作目の獅子はデビュー初日
で舌が飛んでしまったと言う、まさかの破損の苦渋を味わった。
その為2作目は下地に強化プラスチック(FRP)を埋め込んで補強している。
しかし、これから何が起こるか分からないし、樹脂による補強の耐久性については未知数である。
平吹獅子の破損修理から、幾度の大修理を重ねていた事が分かった。
また塗り替えも複数行われ、明治、大正、昭和の記名も赤外線カメラで確認している。
昭和の大修理では下顎を鉄板を当てて固定し漆で布を覆って固めて修理を行っていたが、重くなって
効果は少なかったようだ。
獅子頭を修理する事は、大変勉強になる事で獅子彫にとって重要な仕事である。
また、破損を防止する手だても考えている。
大抵の破損は歯打ちから割れが入るもので、放置して使用していると重篤な破損に繋がる。
前歯の上か下に衝撃を吸収し破損を防止しながら、歯打ちのパコーンとした音も失わないウレタン
ゴム系の素材を導入し始めている。
川西町西大塚の獅子頭は総重量9kgと破格の重さで、下顎が頭部の衝撃に耐えられない。
幾度も修理し下顎だけ新調したが、それも破損し現在修理中で、上顎全体に衝撃吸収のゴムを
取り付けるという最終手段を行っている。
それが駄目であれば、アゴにショックアブソーバーでも取り付けるか、ある程度軽い獅子頭を
新調してもらう他無いのである。