▼マダリソの思い出 あの子はどこ?2009/11/09 13:22 (C) 精のノート
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僕の配属先の学校はスラムの中に孤児や社会的に弱い立場にある子供たちに教育を提供することを目的に作られた。
だから多くの子供たち(8割)が孤児であった。
その家は小さく、バラック小屋だったり、ビニール袋や段ボールで覆った家だったり、決して衛生的にも良いとは言えないような環境に住んでいる。
そのほとんどはおばあさんや遠い親戚にあずけられて育てられている。それはそれで肩身の狭い思いや大変な思いをしているのだが・・・が・・・・。
それでも彼らはいい方だと思わされることがある。
それは、家を、家すら持つことができない子供を見る瞬間だ。
そうストリートチルドレンがお金をせびってきたとき、何か変なものを売ろうとしてきたとき、正直なところ不快感を感じつつも、彼らに一銭たりともあげようとしない自分への罪悪感と彼らの生活の暗さを思う憐憫の情で胸がふさがり、思わず目をそらしてしまいたくなる、その瞬間、僕の生徒たちはまだ幸せな方なのかと思ってしまうのだった。
そんなある日、かなり衝撃的な出来事に遭遇した。
ある日の夕方、もう日が暮れるころ、帰宅途中、おおきなバスターミナルのあるシティマーケットでバスを待っていた。その時、僕の方に寄ってきた集団があった。
とっさに、ああストリートチルドレンがまた来たなと思い当った。(シティマーケットはアーケードがついているため雨風をしのげるので彼らが住みつくことで有名だった)。
その直後、僕は自分の目を疑った。
その一団の中に僕の見知った顔、明らかに僕の記憶にある顔があったのだ。
そう、まぎれもなく僕の生徒だった。
捕まえて話を聞くとその子は家を追い出され、行くところがなくここに流れてきたそうだ。彼は幾度か家を追い出され、そのたびにストリートチルドレンとなっているところを同僚が発見し、また別の家に引き取ってもらったりして家を転々としていたのだが、ついに行くところがなくなったのだ。
とりあえず彼と彼の仲間のためにポケットに入っていたわずかな現金を渡し、翌日同僚たちと今後どうするかを相談することを約束し、そのため、翌日に学校へ来るように指示した。
が・・・・
結局彼とはそれ以来会っていない。
他になにか方法があったのではないのか、なぜあの時彼を放してしまったのか、なぜ彼が学校に来てくれなかったのか、いろんな後悔と思いがあって、つらい思い出として僕の記憶に残っている。
彼のようなストリートチルドレンを見るたびに彼の顔と状況を思い、やるせない思いをしてきた。二年間の活動中、最もつらい思い出である。
今、ザンビアにはたくさんの家を持たない子供がおり、社会問題になっている。彼らはシンナーを手放すことができず、マリファナを吸って空腹感を満たしている(ごまかしている)ものもいる。
まだ未熟で判断力に乏しく、生きる力も育っていない子供が道端に放り出される。
彼らが安心して暮らせる社会をどうやって作り上げることができるのだろうか。
写真はストリートチルドレンへの対応を呼びかける看板