ヤマガタンver9 > 山と人の物語 vol.5 『山が支える、誰かの働く場所』

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▼山と人の物語 vol.5 『山が支える、誰かの働く場所』

山と人の物語 vol.5 『山が支える、誰かの働く場所』/

はじめに

山は、木だけを育てているわけではありません。
そこには、人の働く場があり、成長する場があり、
未来へつながる大切な営みが広がっています。

林業と福祉が交わる場所──
今回は、山が生み出す「誰かの働く場所」についてお伝えします。


誰にでも役割がある 〜薪づくりの現場から〜

私たちの現場では、薪づくりを通して、障がいのある方たちも多く活躍しています。
薪を作る仕事は、一見単純に見えるかもしれません。
しかし、そこにはたくさんの工程と役割が存在します。

  • 玉切りされた丸太を運ぶ人

  • 薪割り機で木を割る人

  • 割った薪をきれいに積み上げる人

  • 配達の準備を手伝う人

それぞれが、自分のペースで、コツコツと仕事に向き合っています。
「できた」「できる」という実感が、小さな自信を育てていくのです。

毎日の作業の積み重ねが、山を整え、誰かの暮らしを温め、
そして、働く一人ひとりの未来を少しずつ切り拓いています。


「できること」を見つけるサポート

福祉的な支援を取り入れた林業の現場では、
一人ひとりの“できること”に着目する工夫を大切にしています。

たとえば──

  • チェーンソーで木を倒すのではなく、割った薪をまとめる

  • 複雑な機械操作ではなく、手作業でできる部分を担当する

  • 外作業が苦手な方には、屋内で乾燥薪の選別をしてもらう

そんなふうに作業を細かく分解し、個々の強みに合わせた役割をつくります。

安全管理にも気を配り、
声かけや作業工程の見える化を徹底することで、
誰もが安心して作業に集中できる環境を整えています。

できることがひとつ増えるたびに、表情が変わり、
作業の合間には自然と笑顔が生まれる。
その瞬間に立ち会えることこそ、私たちの喜びです。


山も、人も、未来へつなぐ

山を守ることは、単なる自然保護ではありません。
そこには、人が働く場をつくり、育て、つないでいく力があります。

荒れてしまった山を整備し、
薪を生産し、
それが地域の人々の暮らしを温め、
さらに障がいのある方たちの働く場を支える。

山の循環は、そのまま「人の循環」につながっているのです。

持続可能な林業と、福祉の力を組み合わせる。
それは、これからの時代に求められる新しい山との向き合い方だと、私たちは信じています。


おわりに

山が育むのは、木だけではありません。
そこには、人の成長も、希望も、未来も、
静かに、しかし確かに根を下ろしています。

これからも私たちは、山を守りながら、
そこに集うすべての人たちの「働く場所」と「生きる場所」を支えていきたいと思います。

次回は、森と未来をつなぐ「植林」と「次世代への想い」をテーマにお届けします。
どうぞお楽しみに。


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