◆磐城壽に思う◆:ヤマガタンAnnex|山形の地酒-地ワイン-地ビール

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◆磐城壽に思う◆


12月19日大安、故郷から離れ山里長井の地で醸された‘磐城壽’ 待望の新酒一番酒が初出荷の日を向かえた。

3月11日の大震災で津波が襲い酒蔵の全てを流出するという悲運を乗り越え、故郷の酒を造り届けようとする造り手の強い信念が籠った酒である。

この晩、自分も楽しみにしていた‘季造り しぼりたて’を味わうべく酒と向き合った。

先ずはこの凛とした佇まいに感じ入るものがあり、レッテルを凝視してみる。

すると“The Fishermen's Toast”なる横文字が躍っている。

‘漁師達の祝杯’という意味なのだろう横文字と同歩調するかのような波頭、光を放つのは太平洋に輝く朝日か。

このレッテルを見ているうちに見たことも無いはずの漁師町の入り江の情景が脳裏を過ぎる。

地酒を志して間もなく二十年、多くの銘柄に接してきた中でここまで地元を意識した潔さを感じさせるものはあっただろうか。

古より故郷浪江の民の食文化を守ってきた自負心が醸す魂の酒。

そんな実直な浪江の人達が醸す酒ならば背筋を伸ばし、真剣に利かせて頂かなくてはならない。

霞が架かったような薄にごりの酒をグラスに注ぎ口に運ぶ。

瞬間に口中に広がる綺麗な甘味、結構な厚さを感じさせながらもクドサの欠片も残さない切れ味の良さ。

米のエキスを最大限に引き出した旨味が新酒ならではの新鮮な香味を伴なって口中を駆け巡る。

とても初めての蔵で造った最初の酒とは思えない完成度とレベルの高さである。

この地の水を熟知し蔵癖を掴んだ暁には更に酒徒を唸らせる酒が醸出される事は間違いないだろう。

奇しくも震災がご縁となってお付き合いが始まった大介専務が杜氏を勤める鈴木酒造店。

山紫水明、水と緑と花の町 長井。

この地を第二の故郷と定め、家族で酒造りを続ける磐城壽を地元の酒販店として精一杯応援して行きたいと思う。

2011.12.20:Copyright (C) まるはち酒店
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