▼「図書館とは屋根のついた公園である」…新図書館のプロポーザル選定副委員長に吉成さん〜現代版「羅須地人協会」を〜「IHATOV・LIBRARY」の実現への一歩か!!??
「年間来場者を15万人から100万に伸ばせ」―。『賑わいを創出する図書館』という著書の帯にはこんな言葉が踊っている。この驚くべき数字を実現したのは元「みんなの森 ぎふメディアコスモス」総合プロデューサーの吉成信夫さん(69)。図書館の最前線に身を置くその吉成さんが新花巻図書館にかかる設計業務の担当業者を決める「プロポーザル選定委員会」(委員長=乾久美子・横浜国立大学大学院教授ら6人)の副委員長に選出された。心強い人材である。 メディアコスモスは岐阜市内にある市立中央図書館を中核とした複合施設で、2015(平成27)年7月にオープン。吉成さんは公募によって、初代図書館長に就任。5年間の館長職を経てその後、メディコスの総合プロデューサーに。この間、2022(令和4)年には「図書館と市民運動を軸に地域の可能性を追及している」として、図書館の先進的な活動に送られる最高賞「ライブラリーオブザイヤー」を受賞した。見通しがきく広々とした内部空間と金華山や岐阜城、鵜(う)飼いの長良川など取り入れた雄大な周辺環境の整備は著名な建築家、伊東豊雄さんが手がけた。 吉成さんと岩手とは不思議な縁(えにし)で結ばれている。(宮沢)賢治好きが高じて、東京生まれの吉成さんは1996(平成8)年、賢治生誕100年のこの年に一家で岩手に移住。賢治が技師として働いた旧東北砕石工場に併設して建てられた「石と賢治のミュージアム」(一関市東山、1999年オープン)の開設をほぼ一人で担った。また、自然と共生する“賢治ワールド”を実現しようと2年後には葛巻町の廃校を利用した「森と風のがっこう」(NPO法人岩手子ども環境研究所)の開設にこぎ着けたほか、一戸町奥中山の「いわて子どもの森」(県立児童館)の館長なども歴任した。 「図書館とは屋根のついた公園である」―。この言葉にうなった。以来、私は図書館の理想像を求めて、吉成さんの“追っかけ”を始めるようになっていた。「森と風のがっこう」があった廃校跡地にも足を運んだ。吉成さんが館長に就任したのはオープンのわずか3か月前のこと。会館1周年の記念講演でこう述べている。 「私が館長として考えてきたことは、柳ヶ瀬商店街を活性化することに図書館がどうやって寄与で きるのか、ここに来た人をどうやって向こうまで振り向けられるのか、それから、どうやったら本を通じて商店主たちを浮かび上がらせることができるか、スポットライトを浴びせることができるのかということを考えたかったわけです」―。現図書館が建つのは岐阜大学の旧医学部の跡地。「柳ヶ瀬ブルース」が流れた柳ヶ瀬商店街にも次第に活気か戻りつつある。私は雷に打たれたような衝撃を受けた。「まるで、当市が置かれた状況と瓜二つではないか」ー 吉成さんの著作に『ハコモノは変えられる―子どものための公共施設改革』(2011年1月刊)がある。行政主導型からの発想の転換を促し、それを実践してきた“奮戦記”ともいえる記録である。名勝・金華山を望むテラス席は人気の的で、霊峰・早池峰山を遠望できる当地の立地環境とも似通っていた。「(花巻)病院跡地に新図書館を」という私の強い思いは吉成さんの背中を追い続けた当然の結果だった。 「駅前か病院跡地か」―足かけ5年以上に及んだ“立地”論争については、当ブログでその都度、言及してきたので繰り返さない。ただ、吉成さんこそが場所を特定する際の「対話型」市民会議のファシリテーター(進行役)として、最適任だと思っていただけに「あとの祭り」の悔しさはぬぐえない。なぜ、「駅前立地」が決定してからの登場だったのか。なぜ、図書館の生命線のひとつと言われる「場所」選定に際しではなかったのか。昨年4月にメディコスを退任した吉成さんはいま、柳ヶ瀬商店街の無印良品内にある「本のひみつ基地」の主(あるじ)である。こんな本の目利きは副委員長の就任あいさつで、以下のように語っている(要旨) 「花巻は、宮沢賢治が生涯を過ごしたまちとして全国に知られています。彼の残した共生的な世界観や自然観は、今なお国内外で輝きを増し続けています。花巻の文化的風土が育んできた先人たちの学びの精神を受け継ぎ、賢治という傑出した知性を輩出したこのまちに、新たな図書館が生まれます。プロポーザルを提出される皆さんには、新たな図書館像、言い換えれば、新たな時代の羅須地人協会を期待します」 新「羅須地人協会」宣言に胸が高鳴った。吉成さんは新著の「はじめに」で高らかに謳っている。「公共施設は誰のためのものなのか?という問いががずっと私の内にあった。巨額の税金を投入してつくるものである以上、魂の入っていないハードとしての『ハコモノ』は作ってはいけないと強く思っていたからだ。そういう意味で言えば、これからお話しするものがたりは、ハコモノは変えられる!という私の人生を賭けた格闘の日々の記録かもしれない」 私は将来的には「IHATOV・LIBRARY」(まるごと賢治「図書館」)を病院跡地に独立館として、立地することを夢見ている。仲間たちはそのためのオンライン署名(以下)を呼びかけている。吉成さんの“追っかけ”はこれから先も終わることはない。”夢の図書館”に的確に応答してくれるのは、座右の書として賢治の『農民芸術概論綱要』を掲げる、この方しかいないと思うからである。なお、公募プロポーザルによる業者選定は12月3日に最終決定する予定になっている。 (写真は吉成さんの新著。“全身図書館人”の面目躍如。沖縄のシーサー(魔除け)たちも大喜び) ≪追記―1≫〜出版記念会〜『賑わいを創出する図書館』 図書館の“魔術師”とも呼ばれる吉成信さんの新著『賑わいを創出する図書館』(KADOKAWA)の出版を祝う会が7月17日に岐阜市内で開かれ、開館9ヶ月半で来館者100万人を達成した快挙を祝福した。その様子な以下から 『賑わいを創出する図書館』出版 メディコス初代館長の吉成 ... ≪追記ー2≫〜ハラスメント被害者が救われる世の中を 「匿名」を希望する方から次のようなコメントが寄せられた。 「はじめまして。こちらのブログは少し前にあがっていた花巻市スポーツ協会事務局長のパワハラ騒動の記事で知りました。私は協会に近い人間です。件の人物については昔から様々な方面で問題になっていました。増子さんのおかげで、今回やっと問題が表沙汰となり個人的には感謝しています。当人は今も反省することもなく、何の処分も受けずにのさばっていると聞きます。これは協会の対応も問題視するべきではないでしょうか。被害者への冒涜と考えます。この問題が風化されぬよう、増子さんのお力添えを切に願います」 ★オンライン署名のお願い★ 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」と話している。 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振るって署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。 ●オンライン署名の入り口は以下から https://chng.it/khxdhyqLNS ●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」 https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba ・ヒカリノミチ通信(増子義久) https://samidare.jp/masuko/ ・おいものブログ〜カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」 https://oimonosenaka.seesaa.net/
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2025.07.26:masuko
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