▼底なし沼のイーハトーブ議会…狂騒曲第1番「報酬10万円アップ」〜アレッ、今度は“パワハラ”市民の登場だって!!!???
「言わずもがなのことですが、目の前にいる皆さんは有権者によって選ばれ、市政を託された議員という立ち位置にあります」―。最大で月10万円アップを内容とする「議員報酬に関する市民説明会」の席上、私は質問に先立ってこう発言した。目の前には8人の議員が居並び、中央にはこの問題を審議する「報酬調査検討特別委員会」委員長の高橋修議員(明和会)が陣取っていた。参加者はわずか5人。私は1カ月前の議場の光景を思い出しながら、ふたたび全身に悪寒が走るのを覚えた。当時のブログに私はこう書きつけている。 ●「いつまでやってんのか」―。まるで、ヤクザの口上丸出しの発言にびっくりした。6月10日開催の花巻市議会6月定例会で、新花巻図書館にかかる設計業務委託費の審議の際、(駅前立地への)賛成討論に立った高橋修議員(明和会)が興奮しながらいきなり、まくしたてた。「私が言ってるんじゃないですよ。家族も親戚も周りも全部…」。そして、「この予算を否定することは民意を否定することにつながる」と言い及ぶに至って、この老残の身もついに怒り心頭に発した。キレタ。「馬鹿野郎、お前に言われる筋合いはないよ」(6月10日付当ブログ参照)● 「議員としての責務と活動領域は拡大し、議員の専門性が求められているところや、若い世代や女性など多様な人材が議会に進出しやすい経済的な活動基盤を確保していくため…」―。現行の議員報酬は月額「339,000円」。今回の改定案は413,000円(74,000円増)と439,000円(10万円増)のいずれかへという内容である。資料を見やりながら、またキレタ。「このテーマに入る前にまず、議員のあるべき資質を問いたい」。1年前もこんな酷暑だった。私を含めた後期高齢者のグループはフラフラになりながら、新図書館の「病院跡地」への立地を求める街頭署名に立っていた。杖をつき、車いすに身を委ねながら、署名を呼びかける姿が目の前に去来した。 「あれから1年、この国はますます酷(ひど)くなっている。収まる気配のない物価高、令和の米騒動にトランプの関税騒ぎ…。参院選を前にした2万円のバラマキ給付、これだって、元をただせば国民の税金、そして今度はその税金を私たち議員にだって。冗談じゃない、ふざけるんじゃない」―。テンションが高まり、高橋議員じゃないが、こっちもヤクザ口調に。「ちょっと、言葉使いに留意して」と高齢の議員が間に入った途端、さらにテンションがアップした。件(くだん)の議員が6月5日付の当ブログに登場いただいた照井省三議員(社民クラブ)だったからである。この人とは浅からぬ因縁がある。 私が現役市議だった当時、議員説明会の席上である質疑をめぐって対立し、照井議員から体当たりを食らったことがあった。同僚議員が間に入って事なきを得たが、またもや危うきに…。「あの発言の真意を個人メールでもいいから聞かせてほしい」と高橋議員に告げようとしたら、目の端に照井の議員の影が。ニアミスで終わったが、もしタックルが決まっていたらとゾッとした。何しろ、この人は高校時代にラグビーで鍛えた鋼(はがね)の持主だからである。 <第2幕> 「報酬説明会に参加しました。激しいやり取りの背後には茫々たる寂寞感だけが広がっていきました。80年前、シベリアの凍土に死した父親がまるで、手招きでもしているように…。この地球はいま、身の毛もよだつような“狂気”のただ中にあるように思います」―。私は親しい知人のFBにこんな投稿をし、疲れた体をベットに投げ出した。遅い目覚めを吹き飛ばすような文面に飛び起きた。20代男性は自らのFBに「報酬の増額に関する説明会に参加してきた」として、こう記していた。 「どっちが暴◎団だよって、剣幕でしたね(苦笑)。市民説明会の名物なんでしょうかね。聞いてる側も慣れてないと結構、心削られるんでね、市民説明会系(市民からの意見・質問も聞くタイプの集まり)は覚悟して望(ママ)んだ方いいなと勉強になりました。女性とか若い人の立候補が少ないのは、ああいうパワハラ市民のせいだと思いました(お気持ち表明)。もっとね、高校生とか参加させて『うわっ』ってさせたほうが、教育には悪いけど牽制になるのかもしれない、逆効果かな。議員って大変なんだなあ」 この若者の知人らしい、60台とみられる男性がこんなコメントを返していた。「アッハッハ…やっぱり、刺激が強かったかなぁ〜?!まっ、場数を踏めば慣れますよ。お疲れ様でした。サラリーマンだと、上司のパワハラに耐える料がサラリーか…?!」―。FBによれば、この若者はいまや飛ぶ鳥を落とす勢いの「参政党」の支持者らしい。当然ながら、思想信条の自由は憲法に定められた基本的人権である。この投稿に接し、私はむしろガラス細工のような純粋無垢な若者を絶望の淵に追い落とした(私を含む)大人(政治)の責任を感じてしまった。 その一方で、「暴◎団とかパワハラ市民」呼ばわりされた私に対し、それをたしなめるどころか逆に「アッハッハ」と下卑た高笑いを振りまく投稿には心底、怖気(おぞけ)が走った。他方では…「運のいいことに能登で地震があった。(珠洲=すず)たま、なんだっけ。能登半島の北の方」―。永田町界隈ではこんな発言をした国会議員が参院予算委員長の地位を追われた。そういえば、東日本大震災に際し「東北で良かった」と言って、首になった大臣もいた。「いつまでやってんのか」発言といかほどの違いがあるのか。 “異論”を排除する排外主義が全国津々浦々を席巻(せっけん)しつつある。足元で浴びせられた“パワハラ市民”というアッと驚く表出…それが若者の口をついて出たことに私は大きなショックを受けた。その余りにも”あっけらかん”な口調に…。歴史家のトインビ―は「自国の歴史を忘れた民族は滅びると言った。かつて、ナチスドイツがホロコースト(ユダヤ人の大量虐殺)に走ったように、いま目の前ではガザ(パレスチナ人)に対して、逆ホロコーストが繰り広げられている。 「物言えば、唇寒し」―。銀河宇宙の彼方から、宮沢賢治作詞作曲の「イーハトーブ狂騒曲」の調べが聞こえてきた。相手をおもんぱかることを意にも介さないこの種の人種たちには尻尾(しっぽ)を踏まれた側(トラ)の痛みは分からないのかもしれない。「虎の尾を踏む」とは、事態が危険水域に迫りつつあることを意味している。 ・私は市民説明会の席で、徳島県南部の那賀町(人口6,302人)の報酬問題を例に取り上げた。同町の議員定数は14人。議員報酬は182,000円で、この20年間据え置かれたまま。今年6月定例会で、当市と同程度の106,600円アップの288,600円を提示した。5月中に町内12か所で説明会を開催したが、「いまこの物価高の中で…」という声が多く、議会側が結局、提案自体を取り下げた。 一方、当市の説明会は7月9日、10日、13日の3日間でわずか計5回、来年4月からの実施を見込んでいる。なお、説明会への参加者は計26人で、東和会場はたったの1人。新図書館の立地場所に係る意見集約をするための「対話型」市民会議と同様、”民意”の反映からはほど遠いものだった。 ・私は報酬アップのチェックポイントのひとつに議会の最高法規である「議会基本条例」の達成度を挙げた。同条例の16条は「議会は、本会議及び委員会における議案の審議及び審査にあたり結論を出す場合にあっては、合意形成に向けた自由討議等を通じて、議員相互間の議論を尽くすよう努めるものとする」と定めている。私は2023(令和5年)3月定例会にこの規定の実現方を陳情したが、反対多数で否決された経緯がある。今回のアップ案もその経過が分かる会議録は未公開のままで、当局側と同じ“密室”体質が浮き彫りになった。 ・今回の報酬問題の是非を判断する直近のケーススタディとして、新図書館関連の予算審議がある。6月定例議会(6月10日)の採決では賛成16対反対8で、設計業務委託費などの予算が可決された。賛成討論をしたのは高橋議員ら2人で、「病院跡地」への立地を求める市民の側への誹謗中傷に終始した。反対討論をしたのは4人の議員で、ほどんどの議員は「駅前立地」への賛成理由を示さないまま、ゴーサインに手を挙げた。市民を二分したこの問題に対し、無言の行を通すのは議員の自殺行為に他ならない。 ・議員報酬を「生活給」と誤解している向きが有権者だけでなく、議員の中にも見受けられる。しかし、議員の兼業禁止は「自治体との取引額が年間300万円以下であれば認められる」(2022年10月、地方自治法改正)——など緩和される傾向にある。逆に言えば、議員報酬は純粋に政治活動に当てられるべきものであり、だからこそ「議会基本条例」の達成度が不断から問われなければならない。ちなみに、岩手県の毎月勤労統計調査によれば、今年4月現在の県内全産業の平均給与額は264,984円である。 (写真はガラガラの説明会場。このまちの実態をさらけ出すような寒々とした光景である=7月9日夕、花巻市花城町のまなび学園で) ★オンライン署名のお願い★ 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。一方、市民運動側は七夕の7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」と話している。 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振るって署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。 ●オンライン署名の入り口は以下から https://chng.it/khxdhyqLNS ●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」 https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba ・ヒカリノミチ通信(増子義久) https://samidare.jp/masuko/ ・おいものブログ〜カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」 https://oimonosenaka.seesaa.net/
→画像[大 中 小]
2025.07.13:masuko
→トップへ
(C)はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
powered by samidare
system by community media (Free CMS)