私は政務活動費で、こんな本を買いました:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ
私は政務活動費で、こんな本を買いました


 

 地方議員の調査、研究などに支給される「政務活動費」をめぐる不正使用が全国的に問題になっているが、花巻市の上田東一市長が議会側に正式に受理された収支報告書の内容(使途)に介入するという前代未聞の事態が起きている(6月7日付当ブログ「『地方政治家のあるべき理想像』―そして、真逆の市長暴言」参照)。当市の政務活動費は年額24万円で、各議員に一括支給される。「花巻市議会政務活動費の交付に関する条例」によると、交付者は市長で、議長は収支報告書の写しを市長に送付することになっている。つまり、予算執行者の市長はその使途についても知り得る立場にある。その一方で、適正な運用を期するために議長には「調査権」が与えられている。

 

 今年4月10日付で受理された私の収支内訳(平成29年度分)は「資料購入費」が195,112円。うち新聞2紙(朝日新聞と岩手日報)の購読料が75、571円で、残りの119、541円が図書購入費。また、インクカ−トレッジやコピ−用紙、文房具などの「その他の経費」が32,854円で、差し引きの残額12,034円はすでに市側に返還している。一方、花巻市議会では平成28年12月、地方議会総合研究所の広瀬和彦所長を講師に招いて、「政務活動費の効果的な運用」についての研修会を開いた。その中で、広瀬所長は図書購入費に関して、「市議としての政治活動全般に必要、有益な知識を得るための必要経費だ」としたうえで、「幅広い知見を持つためにもジャンルを超えた本を読んでほしい」と述べた。

 

 例えば私がなぜ、「沖縄」関連の図書を多く購入しているのか。そのことと地方自治との関係性について、説明したい。日米安保条約と日米地位協定によって、在日米軍は日本国内に駐留しているが、その約7割が沖縄に集中しているのは周知の事実である。私たち花巻市民を含めた国民の安心・安全を担保する役割の大半が沖縄という一地方自治体に押し付けられている。“受益者負担”という観点から見てもこれはおかしい。だから、沖縄以外の地方自治体も当然のことながら、この不条理から目を背けてならない―というのが私の基本的な立ち位置である。小学生にでも分かる理屈である。沖縄の現実を知るためにまず本を読み、現地にも何度も足を運んできた。地方議員として、当然あるべき政務活動であると考えたからである。

 

 そのうえで、私は平成27年9月定例会で上田市長にこう質(ただ)した。「政治理念あるは政治哲学として、沖縄の痛みをどのように共有していくのか」―。こんな答弁が返ってきた。「花巻市域内の問題でない以上、憲法と地方自治法に定める市の権限と役割から、当市の地方自治に直接関連するとの判断をすることはできないものと考えています」(会議録から)―。ある意味で予想された通りの答弁だったが、双方に最低限の議論のきっかけができたことは評価できた。しかし、今回は違った。政務活動費について、誰も質問していないにもかかわらず、市民の代表者で構成する議会本会議場でその中身に口出しをする無礼もさることながら、二元代表制を足蹴(あしげ)にする強権支配に「安倍一強」の投影を見る思いがした。そもそも「市政とは何か。(質問要件とされる)市の一般事務とは何か」という議論をわきに置きながら、購読本を「市政」に限定するような“誘導発言”にその底意(そこい)が浮き彫りになった。

 

 一方で、議会側にも政務活動の範囲をめぐる論争はついて回る。例えば、平成28年6月定例会に日米地位協定の抜本的な見直しを求める請願が出されたことがあった。請願者は東日本大震災の被災者で、私が紹介議員になった。地方自治法はこう定めている。「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」(第99条)―。この種の議論で必ず持ち出されるのが、いわゆる「(国の)専管事項」論と「公益」論である。その意味では行政側と立脚点は変わらない。

 

 「岩手県には米軍基地はなく、地位協定との接点はない。ただ、花巻市民も観光などで沖縄を訪れることは多く、万が一でもそうした犯罪に巻き込まれることは想定しなければならない」(詭弁としての公益論)、「議会とは市民の願いを実現するために市政に働きかけるのが仕事であり、議会の権限外」(国の専管事項論)。一見、沖縄の現実に理解を示したように振る舞いつつ、不思議なことに革新系議員が主導する形で請願は不採択になった。米兵による婦女暴行や後を絶たない米軍機の事故や騒音…。こうした受難を少しでも減らそうと沖縄の全41市町村議会は日米地位協定の改定を求める意見書を提出している。この気の遠くなるような乖離(かいり)がすべてを物語っている。例えばそれは「沖縄差別」という言葉で代替されることなのかもしれない。

 

 

 以上、市議2期目の議会最終日(6月18日)を迎えるに当たり、政務活動費と購入図書との位置づけについて、その一例として「沖縄」問題へのアプロ−チを通じて、私なりの見解を述べたつもりである。「地方自治の本旨」(憲法第92条)に直接かかわる問題でもあるからである。沖縄関連本の手引きがなかったら、一地方議会での関連質問はそもそも想定できなかったと思う。「ジャンルを超えた」読書を勧めた広瀬所長の慧眼(けいがん)に感謝したい。『書を捨てよ、町へ出よう』は寺山修司の評論集のタイトルである。そこには彼一流のアイロニ−(逆説)やレトリック(修辞)、カリカチュア(風刺)が込められている。平成29年度中に政務活動費で購入した図書の全リストを以下に掲載する(購入順)。政務活動の範囲を逸脱していると言うのなら、その理由を教えてもらいたいものである。

 

 

1、「魂でもいいから、そばにいて―3・11後の霊体験を聞く」(奥野修司、1512円)

2、「沖縄 草の声・根の意志」(目取真俊、4531円)

3、「裸足で逃げる沖縄夜の街の少女たち」(上間陽子、1836円)

4、「命こそ宝―沖縄反戦の心」(阿波根昌鴻、842円)

5、「これってホント?誤解だらけの沖縄基地」(沖縄タイムス編集局編、1836円)

6、「森友学園事件の深層『皇国ニッポン』」(週刊金曜日臨時増刊号、700円)

7、「米軍と農民―沖縄伊江島」(阿波根昌鴻、842円)

8、文芸誌「文学界」2017年7月号(文藝春秋、970円)

9、「水俣を伝えたジャ−ナリストたち」(平野 恵嗣、2052円)

10、「今こそ、韓国に謝ろう」(百田尚樹、1400円)

11、「日本中枢の狂謀」(古賀茂明、2560円、中古)

12、「沖縄を生きるということ」(新城郁夫、2561円、中古)

13、「辺野古問題をどう解決するか―新基地を作らせないための提言」(新外交イニシアティブ、2344円)

14、「在日米軍 変貌する日米安保体制」(梅林宏道、950円)

15、「醜い日本人―日本の沖縄意識」(大田昌秀、1757円、中古)

16、「スノ−デン、監視社会の恐怖を語る」(小笠原みどり、2172円、中古)

17、「永遠の道は曲りくねる」(宮内勝典、1998円)

18、「影裏/第157回芥川賞受賞」(沼田真佑、1404円)

19、文芸誌「文学界」2017年9月号(文藝春秋、970円)

20、「狂うひと―『死の棘』の妻、島尾ミホ」(梯久美子、3240円)

21、「歴史を学び、今を考える―戦争そして戦後」(内海愛子、1620円)

22、「キジムナ−Kids」(上原正三、1836円)

23、「向井豊昭傑作集/飛ぶくしゃみ」(向井豊昭、2376円)

24、「小熊英雄詩集」(小熊英雄、756円)

25、「Journalism(ジャ−ナリズム)」2017年8月号(朝日新聞出版、800円)

26、「花びら供養」(石牟礼道子、2700円)

27、「ヒストリア」(池上永一、2052円)

28、「教団X」(中村文則、864円)

29、「R帝国」(中村文則、1728円)

30、「ルポ沖縄/現場記者が見た『高江165日』」(阿部岳、1512円)

31、「知ってはいけない/隠された日本支配の構造」(矢部宏治、907円)

32、「ダ−クツ−リズム入門/日本と世界の『負の遺産』を巡礼する旅」(風来堂、1620円)

33、「2084 世界の終わり」(サルサル・ブアレム、2592円)

34、「遠い山なみの光」(カズオ・イシグロ、756円)

35、文芸誌「文藝」2017年11月号(河出書房新社、1610円)

36、「リスクと生きる/死者と生きる」(石戸諭 、3155円、中古)

37、「日本二千六百年史」(大川周明、1188円)

38、「野火」(大岡昇平、464円)

39、「野火」DVD(1798円)

40、「東北おんば訳/石川啄木のうた」(新井高子、1944年)

41、「戦争とこころ―沖縄からの提言」(沖縄戦・精神保健研究会、1944円)

42、「ニュ−ヨ−クの王様」DVD(1849円)

43、「漫画 君たちはどう生きるか」(羽賀翔一、吉野源三郎原作、1404円)

44、「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎、1048円)

45、「忘れられた巨人」(カズオ・イシグロ、1058円)

46、「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ、864円)

47、「日の名残り」(カズオ・イシグロ、821円)

48、「日本人と象徴天皇」(NHKスペシャル取材班、778円)

49、「新宿歌舞伎町俳句一家『屍派』」(北大路翼、1728円)

50、「銀河鉄道の父」(門井慶喜、1728円)

51、「原発労働者」(寺尾紗穂、821円)

52、「黙殺/報じられない“無頼系独立候補者”たちの戦い」(畠山理仁、1728円)

53、文芸誌「群像」2018年1月号(講談社、980円)

54、「仕方ない帝国」(高橋純子、1728円)

55、文芸誌「群像」2018年2月号(講談社、980円)

56、「憲法の裏側、明日の日本は…」(井上達夫、1944円)

57、「トランプ症候群、明日の世界は…」(井上達夫、1944円)

58、「おらおらでひとりいぐも/第158回芥川賞受賞」(若竹千佐子、1296円)

59、「おひとりさまVSひとりの哲学」(上野千鶴子、821円)

60、「縄文の思想」(瀬川拓郎、907円)

61、「保守の真髄―老酔狂で語る文明の紊乱」(西部邁、907円)

62、文芸誌「群像」2018年3月号(講談社、980円)

63、文芸誌「すばる」2018年3月号(集英社、950円)

64、文芸誌「文学界」2018年3月号(文藝春秋、970円)

65、総合雑誌「世界」2018年3月号(岩波書店、918円)

66、「維新の影―近代日本一五0年、思索の旅」(姜尚中、1512円)

67、岩波講座「文学(13)―ネ−ションを超えて」(小森陽一、3672円、中古)

68、「その後の震災後文学論」(木村朗子、2160円)

69、「保守と立憲―世界によって私が変えられないために」(中島岳志、1944円)

70、「琉球独立は可能か」(川瀬俊治、2376円)

71、「人間の居場所」(田原牧、799円)

72、文芸誌「群像」2018年3月号(講談社、980円)

73、「硫黄島」(菊村到、350円)

74、「東北を置き去りにした明治維新」(星亮一、1620円)

75、「ミライミライ」(古川日出男、2484円)

76、「仁義なき幕末維新/われら賊軍の子孫」(菅原文太、864円)

77、「日本人が忘れた日本人の本質」(山折哲雄、929円)

 

 

(写真は平成29年度に購入した「沖縄」関連本の一部)

 

 

 

 


2018.06.17:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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