まなじりを決して、いざ!?:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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まなじりを決して、いざ!?



 「コンプライアンスは、一義的には議員お示しのとおり、法令遵守と訳されておりますが、広義のコンプライアンスとして、法令はもとより県や市町村の条例、規則等、さらには社会的な規範の遵守まで包括されると、そのように解釈されているのが現在においては一般的になっていると理解しております」(平成26年6月定例会)―。花巻市の上田東一市長が就任直後に胸を張った言葉がいまも鮮明に記憶に残っている。任期があと半年を切った9月定例会の一般質問で、この認識を踏まえた上で議会と行政の立ち位置を定めた「二元代表制」について改めてただした。13日から3日間、上田市政を総括する最後の決算特別委員会が開かれる。いざ!?

 今回の質問のきっかけは議員の個人的な政務活動に市職員が「公務」として同行するという事案を受け、その是非を問うた。今年6月、特定のアウトドア—メ—カ—の会員である議員からの依頼に市職員が同行、観光開発などについての助言を受けた。この件について、上田市長はこう答弁した。「執行権を有する行政と議決権を付与された議会とは本来は互いに牽制しあう関係にあり、原則としては好ましくない。しかし、今回のケ—スは総合的に判断して市政の発展に寄与するものと考えられ、是認した」。また、公務出張を決裁した亀澤健・副市長は「地域振興に資する方策であり、何ら問題はない。貴重なご助言として承りたい」。何ともまあ、人を食ったような言い草ではないか。言葉の背後からチラッと、舌が見えたような気がした。一方で「花巻市議会基本条例」(前文)は以下のように規定している。

 「花巻市議会は、二元代表制のもと、市長とともに市民の信託を受けた市の代表機関である。議会は多人数による合議制の機関として、市長は独任制の機関として、それぞれの異なる特性を生かし、市民の意思を市政に的確に反映させるために競い、協力し合いながら、市としての最高の意思決定を導く共通の使命が課せられている。(中略)このような使命を達成するため、議会は主権者である市民の代表機関であることを常に自覚し、市民との関係、市長その他の執行機関との関係、議会の活動原則及び議員の活動原則等を定め、市民の信託に全力で応えていくことを決意し、議会の最高規範としてこの条例を制定する」(平成22年6月17日)

 二元代表制を補完する規定として、市職員と議員にはそれぞれが対になるような「倫理」基準が定められている。重要な定めなので、双方を以下に紹介する。

●「花巻市職員倫理規程」第3条(倫理行動規準)=平成25年5月2日
(1) 職員は、市民全体の奉仕者であり、市民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について市民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等市民に不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならないこと
(2) 職員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならないこと
(3) 職員は、法律又は条例により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の市民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならないこと(以下略)

●「花巻市議会議員政治倫理要綱」第3条(政治倫理規準)=平成26年4月1日
(1)市民の代表者として、その品位と名誉を損なう一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑をもたれるおそれのある行為をしないこと
(2)市民の代表者として、常にその人格と倫理の向上に努め、その権限又は地位を利用して、不正に影響力を行使し、又は金品を授受しないこと
(3)市の行政庁の処分又は市が締結する売買、賃貸借、請負その他の契約に関し、個人、特定企業、団体等を推薦し、紹介する等その地位を利用して有利な取り計らいをしないこと(以下略)

 私は一連の質問の締めくくりに、元総務大臣で鳥取県知事でもあった片山善博(現早稲田大学教授)さんの言葉を引用した。

 「『(車の)両輪』は車軸で繋がっているが、通常二つの『車輪』には適度な距離がある。距離があるからこそ、そこに異論や反論の入り込む余地がある。そんな異論や反論を交えて議論したり、そこから合意を形成したりすることで、『両輪』は安定して前に進むことができる。ところが、現実の多くの(ほとんどの)自治体では、『両輪』の間にほとんど距離がない。ぴったりくっついている。そこには異論や反論の入り込む隙間がない。したがって、議論もない。これを一体化と言ってもいいが、癒着と言う方がわかりやすい。両輪が癒着した『一輪車』である。『一輪車』と化した議会ではまともな議論を欠いたまま、執行部が提案した議案はすべて無傷で可決される。何ごとも人目につかない所で決められていて、表の議場では質問者と首長が原稿を整然と読み合う儀式が繰り広げられる。これを筆者は『八百長』と『学芸会』だ批判した」(『世界』2016年12月号)

 一輪車には絶えず、転倒の危険がつきまとい、両輪を欠いた車は前には進めない。


(写真は登壇しての一般質問。13日から始まる決算特別委員会では上田市政の全体総括をする=9月6日、花巻市議会議場で)

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