「富太郎」の佐川と「賢治」の花巻…首長の“通信簿”の雲泥の差!?:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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「富太郎」の佐川と「賢治」の花巻…首長の“通信簿”の雲泥の差!?


 

 「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎を生んだ高知県佐川町と、世界的な童話作家で詩人でもある宮沢賢治のふるさと「イ−ハト−ブ」…天と地とをひっくり返したような光景の逆転に正直、目ん玉が飛び出るような思いになった。首長の政治姿勢(理念)次第で、まちの姿がこうも違ってしまうものなのか―。さ〜て、今回の登場人物は堀見和道・佐川町長と片やわが上田東一・花巻市長である。ともに最高学府(東大)を卒業後、民間企業を経て首長になった。堀見町長は平成25(2013)年10月に初当選し、上田市長はそのわずか4ケ月後に市長に就任。現在2期目の両首長の“通信簿”をこっそり、のぞいてみると…。

 

 上田市長が国の優遇制度が得られやすい「立地適正化計画」に市政運営の基盤を据えたのに対し、堀見町長は「市民参加」型のまちづくりを目指しているのが特徴。市街地活性化や定住促進に力点を置く上田市政は昨年、住宅付き「図書館」の駅前立地という構想を打ち出し、大方の市民の反対にあって、撤回の止むなきに至った。これに対し、堀見町政を象徴するのが「みんなでつくる総合計画」(第5次佐川町総合計画、2016年策定)。巻末には計画づくりに参加した353人の発言が並んでいる。「自分が発言したひと言が、全体の計画のなかに具体的に載っていると、その発言をした人はうれしいですよね。一つひとつを実践するときには、発言した人は必ず参加してくれます」―。こう語る堀見町長は就任と同時に「衆人環視」の下で仕事がしたいと、執務机を役場1階のオ−プンスペ−スに置いている。

 

 「新花巻図書館―まるごと市民会議」が今回、定期購読を始めた図書館専門季刊誌「LRG」(ライブラリ−・リソ−ス・ガイド)の最新号(2020年秋号=第33号)は「みんなにとっての図書館」をテ−マにした特集。そのひとつに「『みんなでつくる総合計画』の実践から」と題する堀見町長へのインタビュ−記事が掲載されている。この計画は2016年度のグッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞。その理由について、こう述べている。

 

 「地方自治体が長期的なまちづくりの方針や将来像、その実現の手段などを総合的、体系的に示す『総合計画』は、10年間のまちづくりの大事な指針であるにもかからず、どの地域も似た内容のものが多く、その地域に住まう住民や、行政職員に、積極的には読まれない、活用されないという課題がありました。平成26年度より、高知県佐川町では『みんなでつくる総合計画』プロジェクトと称し、町長、役場職員、地域住民が手を取り合って、町の魅力を再発掘し、10年後の佐川町について議論を重ね、みんなが一丸となって誇りに思える総合計画づくりに取り組んできました。住民一人ひとり、『みんなが主役』の新しいまちづくりプロジェクトです」―

 

 一方、堀見町長はコロナ禍での将来のまちづくりについて、上掲対談の中でこんな抱負を語っている。「これから、いちばん実現したいことは、『植物のまち佐川』を、ウィズコロナやポストコロナ時代のまちづくりの一つのモデルとして、世界へ発信したいと思っています。牧野博士は、植物を育てることで思いやりの心を育むことができると教えてくれていますし、『憂欝(ゆううつ)は花を忘れし病気なり』という素敵な句を詠んでいます。花を愛で、思いやりあふれるまちであることを、子どもから大人までみんなが誇りに思って自慢し合えるような、そんなまちにしたいと思っています。それが、大きな夢ですね。そうなったら、世界一幸せなまちになると思っています」―

 

 「市民パワーをひとつに歴史と文化で拓(ひら)く/笑顔の花咲く温(あった)か都市(まち)/ イーハトーブはなまき」―。上田”強権”(パワハラ)市政の下で、このまちの将来都市像が泣いている。

 

 

インタビュ−記事には“目からうろこ”の堀見語録が満載。以下にそのいくつかを紹介したい。“通信簿”の評定は市職員や市民の皆さんにお任せすることに…

 

 

●選挙のときに掲げたスロ−ガンは、「みんなで創造(つく)ろう!チ−ムさかわ」でした。でも、「みんなで総合計画をつくる」というだけでは、得票にはつながらないですよね。一般的には、「〇〇を無料にします」というような直接的な言葉のほうが票を集められると言われています。そういった公約にもよいものもあると思いますが、本質的な改革にはならないと思ったので…

 

●「みんなで」と言うときに、とても気をつけていることがあります。意識しているのは、「こうしなければならない」とか「こうすべきだ」という言葉を使わないことです。総合計画のなかで25のアクションを挙げていますが、それは「どれか一つでもやってみませんか」というメッセ−ジなのです。トップダウンだと、仕事もやらされる感が強く、面白くなくなってしまいます。

 

●佐川町だけではないと思うのですが、行政は計画をつくることが目的になってしまっている場合が多いです。「計画ができました」「概要を配りました」で一段落してしまうのです。帰ってくるまえに佐川町の第4次総合計画も読んだのですが、計画の内容はすごくよいなと思いました。特に、「フアシリテ−タ−を育てていく」と具体的なことが書いてあり、なかなか前向きだと感じました。でも「フアシリテ−タ−は何人いるの?」と聞くと、「いや、やれていません」と答えが返ってくる。

 

●(「チ−ムさかわ」に)職員は、最初はとまどったと思います。できるだけ横断的に関わってほしかったので、仕事も増えました。チ−ム力を高めるために、最初の頃に2回合宿をしました。考えをまとめるときやアイデアを深めていくときには、結東力を高めるためにも1泊2日の合宿をするのがよいのです。職員に対しては、できるだけ怒らない、命令をしない、上からやれと言わないことを意識しています。職員は税金で給与をもらっているわけですから、町民のために公のために働くことがベ−スになければなりませんので、そうしたことを、ときには厳しく伝えながら、できるだけ職員とベクトルを合わせるように配慮しながらやっているつもりです。

 

 

●(「地域しあわせ風土スコア」というアイデア政策について)私は、町長や役所は、一生懸命仕事をしてマネジメントを続けていくことで、より町民が幸せになることだと思っているのですが、10年前よりも幸せになったかどうかは測りにくいと思っていました。お金とか名誉とかではなく、心の幸せとして「ほっとする」「あなたらしく」「なんとかなる」「ありがとう」「やってみよう」という5つの気持ちと、それを後押しする価値観や土壌があるかで地域の人の幸せを測るという考えは、すごく画期的なことだったと思っています。

 

 

 

(写真は牧野博士から贈られたソメイヨシノが咲き誇る「牧野公園」。日本の桜名所100選のひとつ。同じ“花”巻も負けてはいられない=高知県佐川町で。インタ−ネット上に公開の写真から)

 

 

 


2021.01.08:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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