号外―脱線・転覆の危機!?…イ−ハト−ブ「銀河鉄道号」、内外とも多難な船出:はなめいと|岩手県花巻市のコミュニティ

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号外―脱線・転覆の危機!?…イ−ハト−ブ「銀河鉄道号」、内外とも多難な船出


 

 

 「(計画書の中には)図書館の立地場所として、生涯学園都市会館(まなび学園)周辺と明記してある。ところが、今年1月に市当局が公表した『新図書館』構想の中ではJR花巻駅前に変更になっている。計画自体を変更すべきではないか」―。16日開催の花巻市議会決算特別委員会(櫻井肇委員長=共産党)で、舌鋒鋭い質問で知られる照井明子議員(同党)が声を張り上げて当局側を追及した。取り上げられたのは上田東一市長の政策決定の根幹になっている「立地適正化計画」。市街地活性化を促すため、「都市機能誘導区域」と「居住誘導区域」を導入するという内容で、国の有利な補助制度が受けられるとして、平成28(2016)年6月に策定され、上田市長が「全国で3番目」とことあるごとに自慢するするスロ−ガンである。

 

 上田市長の答弁がなかなか、挑発的だった。「場所の変更についてはすでに平成30年12月段階で議員の皆さんや市民にも公表しており、了解が得られたものと思っていた。今後さらに市民の声を聞いた上で、この場所が適地だということになれば、その時に計画変更をしたい」―。「立地適正化計画」は図書館問題について、こう記述している。「花巻駅周辺の都市機能誘導区域においては『総合花巻病院移転事業』、生涯学園都市会館周辺への『図書館(複合)の移転・整備事業』などを実施する…」―

 

 「だったら、遅くとも駅前立地を公にした、その時点で指摘すべきではなかったのか」という上田市長のハラが透けて見えた。この点では私も同感である(議員在職中、私自身は何度か”イーハトーブ”図書館の実現を訴えた)。事実、図書館問題に対する議会側の対応は随分と鈍かった。議会側に「新花巻図書館整備特別委員会」が設置されたのは、「新図書館」構想の公表から遅れること1カ月半の今年3月18日。「立地適正化計画」の中に図書館立地が明記されてからはすでに4年以上の時が流れている。座して見過ごしてきた議会側の怠慢はどうみても否めない。委員会審議が思わぬ方向に飛び火した。

 

 議会側に設けられた「図書館特別委」の小委員会の委員長でもある伊藤盛幸議員(市民クラブ)が市内中心部に昨年7月、オ−プンした「花巻中央広場」のトイレ設置の経緯について質問した際、上田市長が突然、委員長の許可を得ないままに発言を始めた。この広場も実は「立地適正化計画」のひとつとして、当初は「居住誘導区域」に指定されていた。しかしその後、周辺に急傾斜地があるため、国交省から「住民の生命に著しい危害が生じる恐れがある」(レッドゾ−ン)として、用途の計画変更を求められていた。この日の決算特別委員会でその旨が報告された。「崩落防止の擁壁設置に予定外の費用がかかった」などと上田市長はその経緯を説明したが、肝心の広場敷地は当初指定のまま(居住誘導区域)になっていることには言及しなかった。私にとって、「レッドゾ−ンに囲まれた住宅地」はまさに、賃貸住宅付き「図書館」そのもののイメージだが、伊藤議員の追及はそこまでは及ばなかった。

 

 「いまの発言には本人と保護者の属性に触れる部分がある。個人情報保護の面から会議録からの削除を求めたい」―。上田市長が今度は委員長の許可を得た上で、しかも管轄の教育委員長の頭越しに、気色ばんだ口調で発言した。伊藤源康議員(明和会)が昨年度からスタ−トした県立大迫高校の“留学制度”の状況についてただした際、担当課長が説明した内容に対する削除要求だった。櫻井委員長は「了解した」と応じた。「当局側は説明員として、議会に出席している。だとすれば、部下の発言に全責任を持つのはトップとしては当然」―こんな理屈は理解しつつも、その余りにも唐突な要求に腰を抜かした。試しに議会トップの小原雅道議長に見解を聞いてみた。

 

 「ほどんど経験したことのない要求だった。説明員として筋を通したとはいえ、本来なら発言当事者の真意をただした上で、議会全体で対応を協議すべき事案だと思う」……危うし!イーハトーブ「銀河鉄道号」!?新しい「菅」政治が始まったこの日、内外ともに前途多難な船出ではある。そういえば、当市出身の童話作家、宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』には、北大西洋上で氷河に激突し、1513人が犠牲になった20世紀最大の海難事故「タイタニック号」の悲劇(1912年)も描かれている。

 

 

 

(写真は鋭い口調で当局側を追及する照井議員。こぶしを振り上げたまでは良かったが…=9月16日午後、花巻市議会議場で。インターネット中継の画面から)

 

 

 

 

《追記-1》〜上田市長の、異様な!?「図書館」論議

 

 「図書館」問題になると、上田市長のボルテージは一気に上がる。政策立案過程における不手際のなせるわざなのか、それとも議会側の認識不足のせいなのか。私はその両方だと思う。感情むき出しの議会答弁の光景は市議会HPにアップされている9月9日付の、大原健議員の一般質問の録画配信を見てほしい。

 

 

《追記ー2》〜こっちは異例!?「市長答弁」の検証へ

 

 花巻市議会は開会中の9月定例会における一般質問に対する上田市長の答弁の中に不適切な部分があるとして、23日に議会運営委員会(瀬川義光委員長ら8人)を開いて、その内容を検証することになった。上記ブログで触れたように上田市長の質疑応答の対応には首を傾げたくなるような振る舞いが多々あり、市民からも不満の声が漏れていた。”市長発言”が俎(そ)上にのるのは極めて、異例のことである。ふいに、10年前の”悪夢”を思い出した。東日本大震災にからんだ質問をした際、あろうことか議会側から「その内容は議会の品位を傷つける」という理由で、私に対する「発言調査委員会」が設置され、懲戒処分を受ける羽目になった。今度は市長に対する「発言調査」、隔世の感がある。

 

 

 

 


2020.09.16:Copyright (C) ヒカリノミチ通信|増子義久
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