尾崎 豊:生涯学習ノート
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その夜、何気なくチャンネルをまわしていたら、その尾崎 豊の映像が飛び込んできた
あわてて新聞のテレビ番組の紹介欄をみると、『「歌伝説」・尾崎 豊 ▽同級生が語る素顔』と書かれている
NHKの放映衛星放送で90分番組として放映されていたのだ
尾崎 豊がデビューした当時、私は45,6歳
単身赴任とも重なり、仕事人間の極みで、尾崎の歌など聞いたこともなく関心もなかった
若い歌手がデビューしてあれよ、あれよという間に頂点まで上り詰め、そして突然に死んでしまった、という印象だけが残っている
だから今回観る尾崎豊の死後30年ぶりの映像は私にとっては初映像といってもいい
映像画面は尾崎 豊の出身中学校の傍に同級生7,8名ほどが集まり、尾崎の中学校時代からデビュー当時、そしてその後の死にいたるまでの同級生達からみた尾崎 豊像を語り続ける
それに合わせて中学生時代からの尾崎 豊の素顔やデビュー当時のライブの模様、そして頂点に駆け上がった当時の映像が放映されていく
同級生達は語る
尾崎はスカートめくりの常習犯であったが茶目っ気があって憎まれず愛されていた
いじめにあっている女性を見ると救いの手を差し伸べた男気のあるやつ
尾崎は教室でも何かを大学ノートに書きなぐっていた
読んでみろというので読んでみると、自らの内面を見つめ、社会を見つめ、そこで揺れ動く少年の心を表す言葉、言葉、言葉の山
それを歌詞としてまとめ、曲をつけて尾崎 豊は教室でも歌っていた
プロを目指していたというが同級生たちは本当にプロを目指しているなど気がつかなかった
と言う
テレビの画面での同級生達のそんな話を聞きながら、尾崎 豊がライブで歌う映像を観る今までの歌手や芸能人にはない純真な魂を歌いあげようとする精神のようなものを感じる
若き尾崎 豊独自の世界からのメッセージが老いたる心にも伝わってくる
全身汗びっしょりで歌いまくる尾崎 豊 顔からは大粒の汗の雫が流れる
自分の想いを曲に託して絶叫するかのような歌い方は30年後の今でも、何かを伝えてくる
尾崎の叫びに似たような歌い方と悩ましげな目を写したとき、女房は「麻薬をやっている目ね」とつぶやいたが、そうであったのだろうか
そうではなかったと思う
純でまっすぐな想いを歌に託してぶつけすぎて燃え尽きてしまったのではないだろうか
男とも女ともいえないような、艶やかさを見せるしなやかな姿態と顔
芸能人に特有な、垢や媚びたような匂いは全く見せない
むしろ孤高の人の感じだ
歌詞もいい
当時の若者の閉塞感や大人社会に対する必死な叫びも伝わってくる
尾崎 豊の歌に当時の多くの若者は自分達の想いや叫びを託したのではないだろうか
若者の代弁者としてのカリスマ的存在として見えてくる
90分の最後は「I love you 」の歌
なんとその映像は秋田の某会場での映像であった
尾崎の歌声に合わせて1緒に歌いだす秋田の若者
恥ずかしがりやの秋田の若き女性達が声高く「I love you 」を歌う
尾崎 豊は若者の心を掴んだのだ
その映像を観ながら気がついた
歌う尾崎の表情と態度はデビュー当時の爆発力は消えていたことを
このときから死への時間はそう長くはなかったのではないか
26歳という若さで突然に亡くなってしまった尾崎 豊
今生きていれば46歳頃だろうか
どんな歌手になっていたのか 想像はつかない
年とった尾崎 豊は想像したくない気もする
ひょっとしたら歌手を辞めていたかもしれない