「キミが働く理由(わけ)」福島 正伸 中経出版:生涯学習ノート
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「キミが働く理由(わけ)」福島 正伸 中経出版
2009.07.24:Copyright (C) 年だからでなく年がいもなく
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セミナーは毎度のことであるが「あなた何のために働くのか」という重たい問いかけからスタートする
受講生は突然に「書いてみて」、といわれても戸惑う
サポートする側からしても、その答えをどのように就活に活かしていけばいいのかということについて明確な指針は持っていない
そんななか、先日本屋へ行ったらこの本に遭遇した
見返りに「働く理由がわからない人、仕事に不満がある人、転職した人、仕事にまつわるあらゆることで、少しでも悩んでいる人、 この本を読んでみてください」とあったので早速買ってみた
この種の本は哲学的に書かれると、読み手にとってはわかりづらいものになるが、この本は読みやすくてわかりやすい。しかも説得力がある
そのはずである
著者自身が学生のときから「何のために働くのか」ということで自ら悩み、答えを求めて試行錯誤した自らの体験を通して書いているからである
著者は50歳になるが、活動の幅は驚くほど広い
そのなかで注目したのは10代20代の若者に自立して生きるヒントを提案しているということである
「すべての人が夢を見つけ、ワクワクして働けるようなヒントを伝える」ために、日本全国で講演を中心に活動しているが、その数は回数で5000回、のべ人数にして20万人以上になるという
その裏打ちがあるからこの本は説得力があるのではないかと思いながら読み進めた
伝えたいメッセージは25にまとめている
ポイントをまとめて表示したり、行間を空けたりして読みやすくしていてくれているので中高年齢者には助かる
25のメッセージはどこから読んでみてもいい構成となっている
印象に残ったメッセージは19番目のメッセージである
「自分らしく働けるか、働く場に自分の存在価値を感じられるか。その2つが、若者が心から望んで働くためのキーワードになります」である
このように解説している
『これまで人が働く動機付けは、「働く=生活のため」だった。働く意味などはあまり関係なく、報酬や待遇などが、動機付けになっていた。他人や社会とのつながりよりも、自分が出世するとか、どれだけの報酬を得るのかを、まわりと比較してきた。それが働く動機で、存在価値を動機にしてこなかった。だから、次第に人が疲れていってしまった
今までのような動機付けは機能せず、社会の価値観も完全に崩壊してしまった
今働いている社会人が格好良く生き生きとしていないために、若者たちは大人の言うことは聞かなくなったり、その価値観にあわせようと思わなくなったのではないか
今の若者たちは、他人や社会とのつながりを感じながら生きようとしている
とにかく仲間を大切にし、人を大切にする
競争ではなく、助け合う、そこに集まった人が助け合うことで、みんなが元気になりやる気になる
助け合うことに価値観を変えると、いつの間にか人が集まるようになる
その新しい価値観が、「働く意義とは、何?」ということ
働くとは、そこに社会的価値観、存在価値を感じながら、自分らしく取り組むことだと思う
「存在価値」と「自分らしさ」、その2つがキーワードになると思う』
読んでいくとなるほどと思うが、セミナーでお付き合いする若者はどうであろうか
「自分らしさ」ということについてどれほど自己認識しているのか
「存在価値」という価値観を具体的に意識しているのか
次回に個別相談があるので、一人ひとりと話しながら確認していってみたいと思う
それぞれが持っている「働く意味」を確認しながら就職活動へ活かしていくしかない
この本を読んで感じたこと
このような若者の新しい価値観が根づいていくためには、世の中の大人が、親が意識を変えて、仕事の意味を掴めるようにサポートしていくことの必要性を感じる
大人自身が悩み迷っている
働いている親が子供に向かって「今日も仕事が楽しかったな。明日、仕事に行けると思うと興奮しちゃうな」(メッセージ8)といえるような意識のチェンジと社会の仕組みの改革
の必要性
子供自身もインターン制度を利用して仕事と人に直に触れて仕事の意味を感じてほしい
またこうも思う
子供を養えないような非正規社員の待遇や、昨今の派遣切りや雇用止めの現象のなかで、この著者がメッセージとして送っている価値観を具現化させていくには個人の意識改革だけでいけるのか
若者の価値観をうんぬんするのであれば、経営者の価値観はどうなのか
国際競争の名の下に人をコストとして取り扱う価値観はどうなのかということ
「キャリアは世直しに通ずる」であり「世直しは余直し」である
若者就職支援という切り口から突きつけられるのは、キャリアカウンセラーとしての自分自身の生き方、価値観のあり方であり、その表現の仕方であるように思う
人の意識の問題と同時に社会の動きや仕組みについても視点を広げながら就職活動をする若者たちとお付き合いしていきたいものである
この本から多くのヒントをもらえたと思う