映画「トウキョウソナタ」:生涯学習ノート
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映画「トウキョウソナタ」
世界的に名の知られた黒沢 清監督の作品。カンヌ国際映画祭「ある
視点」部門で審査員賞を受賞しました
日本の今の家族の閉塞感が描かれています。必死に生きている父、母、
息子2人の4人家族が、外部の大きな力に翻弄されていく様をリアル
に、シニカルに描いています。親の権威、虚勢、価値観、母親の空の
巣症候群、リストラ、失業、戦争、学校、などの多くの問題のなかで
揺れ動く家族像が黒沢監督独自のタッチで、少し誇張した映像(黒沢
ワールド)で描かれています
どこの家族にもありそうな家族のつながりを見つめ直すことができる
作品といえますが、観終わったあと不思議な温かさを感じます
父親はある会社の総務課長の職をリストラされますが、家族には言え
ずにいます。ネクタイをしめたま求職活動をするがうまくいかず追い
詰められていきます。
母親は家族の中での居場所が希薄になっていき
ます。子供に手がかからなくなった分、心の中に隙間が生じてきてい
ます。
長男は大学生でアルバイトばかりしていますが、突然にアメリ
カの軍隊を志願して出て行きます。
次男は小学生ですが、ピアノが好
きで、親の反対を押し切って給食代をごまかしてピアノ教室へ通って
います(ピアノ教室の先生から天才と認められ音楽専門学校の中学を
受験する場面で映画が終わります)
父親は親の権威を振りかざし、価値観を押し付けます。その権威や価
値観が借り物であることに気づいてはいないのです。そんな父親役を
香川照之がうまく演じています。
食事の場面がよく出ます。会話のない食事、父親が箸に手をつけるま
で家族は待っている食卓風景。冷たいような描写ですがなぜか温かさ
を感じます。つい前まで日本の家族には普通の懐かしい風景です。
母親は、父親や子供たちから少し引いた立ち居地で登場します。母親
とは何なんなんだろうか、という問いが投げかけられます。母親役の
小泉今日子がはまり役を演じます。彼女の遠くを見つめるような目つ
きは、何かを訴えかけています。よりどころのない内面を表している
のでしょうか。
そんな母親は強盗という外部からの力で自分を取り戻そうとします。
(強盗役は役所広司)
この映画でキャリア・再就職支援に関して興味ある場面を見つけました
一つは冒頭のシーンですが、父親が健康機器メーカーの総務課長をリス
トラされる場面です
会社の経営陣の一人が、リストラを避けるために「あなたが、できるこ
とはなんですか?」「わが社に何を提供してくれますか?」と突然に訊い
てきます。会社に残るために、総務課以外のところで発揮できる能力は
ないか、と総務課長に問いかけたのです
総務課長は答えることができませんでした。総務畑中心に仕事をしてき
た彼にとっては自信をもって答えられるものはなかったのです。
「課長や部長はできます」と答えてしまう管理職は今でも多いのでしょ
うか
また一般事務系の方々は、どうしても何ができるかという具体的表現に
慣れていないのでしょうか
物語中盤、今度は就職活動で面接に行くと、また質問されます
「あなたは何ができますか?」と
「何でもやります」と答えた彼に、求人側は「何でもじゃ・・・」と渋
い顔を示します。「急に何ができますか・・・といわれても芸能人ではな
いので・・」「私は総務課長を長年やってきたのですから・・・」と言う
元総務課長に対して「うちの会社でなにをしてくれるか、と言うことを
聞いているのです。我々は何を材料にあなたを判断すればいいのです
か?」「さっきカラオケが好きだといったよね、じゃカラオケここで
歌ってよ」と追い討ちをかけます「ここで、ですか・・・!?××」、と
元総務課長は切れてしまいました。その元総務課長にたしてさらに追い討
ちのセリフ「何でもやります、というようないいかげんなことをいって、
会社にはいってうまくやろうとするのですか!」
映画ではこの後元総務課長は大荒れに荒れてしまいますが、求職者として
自分が何を求まられているかがわからないままです
求人側の厳しいセリフが入ったこの場面は求職活動をしている中高年齢
者のかたがたに観せてやりたい!と痛切に思いました
この二つの場面は実際に再就職支援セミナーで一番力を入れて話してい
るところですが分かってもらうことが難しいところです
求職活動をしているほとんどの人が、過去の履歴だけで自分を採用して
もらえると思い込んでいるのです。自分を見直して、自分を求人側に向
かって表現していくということの重要さがなかなかわかってもらえない
のです。
数回のワークショップ(書き込み作業)と事例検討、意見交換などを経て
ようやく分かりかけてもらえる課題なのです
高齢求職者の意識改革をしてもらうために事例として使えそうな場面とし
て印象に残りました
2008.11.26:Copyright (C)
年だからでなく年がいもなく
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視点」部門で審査員賞を受賞しました
日本の今の家族の閉塞感が描かれています。必死に生きている父、母、
息子2人の4人家族が、外部の大きな力に翻弄されていく様をリアル
に、シニカルに描いています。親の権威、虚勢、価値観、母親の空の
巣症候群、リストラ、失業、戦争、学校、などの多くの問題のなかで
揺れ動く家族像が黒沢監督独自のタッチで、少し誇張した映像(黒沢
ワールド)で描かれています
どこの家族にもありそうな家族のつながりを見つめ直すことができる
作品といえますが、観終わったあと不思議な温かさを感じます
父親はある会社の総務課長の職をリストラされますが、家族には言え
ずにいます。ネクタイをしめたま求職活動をするがうまくいかず追い
詰められていきます。
母親は家族の中での居場所が希薄になっていき
ます。子供に手がかからなくなった分、心の中に隙間が生じてきてい
ます。
長男は大学生でアルバイトばかりしていますが、突然にアメリ
カの軍隊を志願して出て行きます。
次男は小学生ですが、ピアノが好
きで、親の反対を押し切って給食代をごまかしてピアノ教室へ通って
います(ピアノ教室の先生から天才と認められ音楽専門学校の中学を
受験する場面で映画が終わります)
父親は親の権威を振りかざし、価値観を押し付けます。その権威や価
値観が借り物であることに気づいてはいないのです。そんな父親役を
香川照之がうまく演じています。
食事の場面がよく出ます。会話のない食事、父親が箸に手をつけるま
で家族は待っている食卓風景。冷たいような描写ですがなぜか温かさ
を感じます。つい前まで日本の家族には普通の懐かしい風景です。
母親は、父親や子供たちから少し引いた立ち居地で登場します。母親
とは何なんなんだろうか、という問いが投げかけられます。母親役の
小泉今日子がはまり役を演じます。彼女の遠くを見つめるような目つ
きは、何かを訴えかけています。よりどころのない内面を表している
のでしょうか。
そんな母親は強盗という外部からの力で自分を取り戻そうとします。
(強盗役は役所広司)
この映画でキャリア・再就職支援に関して興味ある場面を見つけました
一つは冒頭のシーンですが、父親が健康機器メーカーの総務課長をリス
トラされる場面です
会社の経営陣の一人が、リストラを避けるために「あなたが、できるこ
とはなんですか?」「わが社に何を提供してくれますか?」と突然に訊い
てきます。会社に残るために、総務課以外のところで発揮できる能力は
ないか、と総務課長に問いかけたのです
総務課長は答えることができませんでした。総務畑中心に仕事をしてき
た彼にとっては自信をもって答えられるものはなかったのです。
「課長や部長はできます」と答えてしまう管理職は今でも多いのでしょ
うか
また一般事務系の方々は、どうしても何ができるかという具体的表現に
慣れていないのでしょうか
物語中盤、今度は就職活動で面接に行くと、また質問されます
「あなたは何ができますか?」と
「何でもやります」と答えた彼に、求人側は「何でもじゃ・・・」と渋
い顔を示します。「急に何ができますか・・・といわれても芸能人ではな
いので・・」「私は総務課長を長年やってきたのですから・・・」と言う
元総務課長に対して「うちの会社でなにをしてくれるか、と言うことを
聞いているのです。我々は何を材料にあなたを判断すればいいのです
か?」「さっきカラオケが好きだといったよね、じゃカラオケここで
歌ってよ」と追い討ちをかけます「ここで、ですか・・・!?××」、と
元総務課長は切れてしまいました。その元総務課長にたしてさらに追い討
ちのセリフ「何でもやります、というようないいかげんなことをいって、
会社にはいってうまくやろうとするのですか!」
映画ではこの後元総務課長は大荒れに荒れてしまいますが、求職者として
自分が何を求まられているかがわからないままです
求人側の厳しいセリフが入ったこの場面は求職活動をしている中高年齢
者のかたがたに観せてやりたい!と痛切に思いました
この二つの場面は実際に再就職支援セミナーで一番力を入れて話してい
るところですが分かってもらうことが難しいところです
求職活動をしているほとんどの人が、過去の履歴だけで自分を採用して
もらえると思い込んでいるのです。自分を見直して、自分を求人側に向
かって表現していくということの重要さがなかなかわかってもらえない
のです。
数回のワークショップ(書き込み作業)と事例検討、意見交換などを経て
ようやく分かりかけてもらえる課題なのです
高齢求職者の意識改革をしてもらうために事例として使えそうな場面とし
て印象に残りました