『小松豊年獅子踊』披露【川西町】大光院ほか商店前会場:置賜の宝発掘プロジェクト(仮称)

置賜文化フォーラム
『小松豊年獅子踊』披露【川西町】大光院ほか商店前会場



           



8月16日(金)に川西町小松地区に伝わる「小松豊年獅子踊」が披露されました。
小松地区に伝わる「小松豊年獅子踊」は、平安時代に起源を持つとされる民俗芸能です。


川西町「小松豊年獅子踊」

日時:平成25年8月16日(金) 午前9時00分〜

巡演順番:1.大光院
     2.大光院赤御堂
     3.やまか
     4.繁昌軒
     5.錦屋
     6.ヤマザワ川西店
     7.中央公民館

主催:小松豊年獅子踊会
   小松豊年獅子踊保存会



毎年、8月16日に置賜山大光院(だいこういん)、8月27日に諏訪神社にそれぞれ踊りを奉納しています。
そして、奉納を終えると町内を練り歩き、商店前などで踊りを披露します。
この日は、川西町内の大光院や赤御堂前、ヤマザワ川西店など上小松内5ヵ所を会場に、大人・中学生による獅子踊りが奉納されました。


小松豊年獅子踊の獅子頭はすべて黒色で、また衣装は紺色が牡獅子(おじし)、橙色が牝獅子(めじし)、黄色が供獅子(ともじし)となっています。
そのほか、太鼓を持つ仲立(なかだち)、色鮮やかな衣装に身を包み花笠をかぶった花笠(はながさ)・早乙女(さおとめ)、まとい持ちがいます。
太鼓、笛、唄に合わせ、3匹の獅子が田植えなど農作業を表す舞や踊りを披露。
前、中、末の3庭すべてを披露すると50分ほどかかるため、普段は「中の庭」のみを披露しているそうです。
戦時中は一時途絶えたものの、文化遺産としての重要性が再認識され1949年に復活しました。
大人の披露する「小松豊年獅子踊」は、県指定無形民俗文化財となっております。


伝承活動の一つとして、大人の発表の前に、川西町立川西中学校の生徒たちによる豊年獅子踊も披露されました。
1972(昭和47)年ごろから、後継者育成のため町立新山(しんざん)中学校に郷土芸能クラブがつくられ、夏休み中に生徒たちが小松豊年獅子踊の練習に取り組んできました。
時を経て中学校の名前が川西町立川西中学校と変わった現在も、郷土芸能クラブは継続されています。
川西の郷土芸能が代々受け継がれていくのです。


こちらでは、中学生の披露の様子をお伝えします。


【川西町 錦屋前での披露(午前11時25分より)】





牝獅子(めじし)





左奥から早乙女(さおとめ)、花笠(はながさ)。
手前は仲立(なかだち)。





花笠は、華やかな薄紫の衣装に身を包み、早乙女とは違った雰囲気です。





花笠と早乙女による太鼓。





最大の見せ場である牝獅子の輪くぐり。

はぐれた子獅子を火の中までも探しに行く様子を表現した火の輪をくぐる「狂い獅子」です。
中学生の披露では火はつけませんが、大人の披露と同様、盛り上がりを見せ大きな歓声と拍手に包まれていました。








3匹の獅子と、花笠・早乙女が交互になり、踊る場面もあります。





牡獅子(おじし)





供獅子(ともじし)





牝獅子(めじし)





踊りを終えたら、まといを先頭に行進です。
華やかな衣装に身を包み、歩く様子が綺麗でした。





【ヤマザワ川西店での披露(午後12時より)】





大勢の観客が見守る中、中学生のラスト披露となります。
中学生は、町内4ヵ所で獅子踊りを行いました。











中学生3年生の「花笠」担当の女子生徒2名です。

発表を終えた後に、女子生徒さんにインタビューさせて頂いたところ、
「紫色が好きなので、今年は憧れの「花笠」の衣装を身にまとい、演じることができて、嬉しい。
中学を卒業しても、「小松豊年獅子踊」に参加できる機会があるなら、これからも参加したい。」

と話してくださいました。











輪くぐりの様子です。





歌・笛を担当されるのは、「小松豊年獅子踊会」のみなさんです。
「小松豊年獅子踊会」は、大人のみなさんで、踊会のみなさんも自身が中学生の頃はこの獅子踊りに参加したそうです。
今では立派な継承者として、中学生にも指導を行い、「小松豊年獅子踊」の伝承・保護活動を行なっております。



【大人による披露】
県の無形民俗文化財に指定されている大人による獅子踊りもご紹介します。
小松豊年獅子踊のクライマックスを飾る火の輪くぐりの場面です。





燃え盛る火の輪。
本来、火を嫌う獣がなぜ火の輪に向かっていくのか疑問に思う人がいるかもしれません。
この場面は子獅子をさらわれた母獅子が探し歩き、狂った様子が表現されているのだそうです。
火の輪をくぐることで、母獅子の子どもを思う気持ちが伝わってきます。





実際に牝獅子を演じている人はというと、少なからず危険が伴い、勇気と経験が必要です。
練習を重ねてきたとはいえ、実際に火を点けるのは本番だけだそうで、演技者の緊張感は相当なものだと思います。
火の輪に注意を払うのはもちろんですが、くぐり抜けたその後にも危険が潜んでいます。
アスファルトなど地面に向かって、素手で飛ん込んでいくため、着地するまで気を抜くことはできません。
また、火の輪持ちとのコンビネーションも重要です。
火の輪持ちは、牝獅子役の足が曲がったりして輪にひっかかりそうになれば、すかさずうまくくぐり抜けられるように輪を移動するのです。
踊り手の経験と信頼関係が華やかな場面を支えているのです。



この日の発表以外に練習にも取材に伺い、一生懸命な姿を拝見し、練習を積み重ねてきた中学生の見事な獅子踊りはとても素晴らしく心を打たれました。
同じ日に、白鷹町の八乙女八幡神社で小学生が披露する「八乙女の舞」に伺ったのですが、どちらも子どもを主体とする伝統芸能で、共に素晴らしい発表で感銘を受けました。

見ている側としては、中学生の披露は、中学生が披露しているとは思えないほど、大人と同様に上手でしたし立派だと感じましたが、
演じる側としては、向上心を持ち、まだまだ目標高く踊っているのだと感じました。
中学生の熱い思いを胸に感じ、この獅子踊りの経験を大人になっても伝承していき、守り続けて欲しいと切に願います。
参加している中学生の生徒はみな、地域を愛し、川西の人々が守り続けてきた「獅子踊り」に特別な思いを抱き、参加していると感じることができました。

中学生による「小松豊年獅子踊」の次回の披露の場は、中学校の文化祭となるそうです。
今後のご活躍も楽しみにしております。


川西町「小松豊年獅子踊」

日時:平成25年8月27日(火) 午前9時15分〜

巡演順番:1.諏訪神社(川西上小松)前 (午前9時15分より)
     2.以後13時頃まで、上小松地区内を中心に4ヶ所程度を巡行。
     ※写真撮影は、諏訪神社がお勧めです。

主催:小松豊年獅子踊会
   小松豊年獅子踊保存会



皆さんもぜひ「小松豊年獅子踊」に足を運んでみてください。
置賜文化フォーラム編集員の文化リスがお送りしました。





○取材日    平成25年8月16日(金)

○取材協力   原田正明さん(小松豊年獅子踊会会長)
        小松豊年獅子踊会の皆さん
        川西市立川西中学校「郷土芸能クラブ」の皆さん
        川西町中央公民館 ほか








2013.08.20:Copyright (C) 置賜文化フォーラム
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